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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

労働政策審議会の答申

2009年12月29日 | 労働法
労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は28日、派遣法改正へ向けた報告書を長妻昭厚労相へ答申しました。また、雇用保険制度の見直しを目指す報告書を了承した。この報告書には、非正規労働者の雇用の安全網を拡充や保険料率を引き上げが入っています。


再度、答申内容を確認すると次のようになります。
◆登録型派遣の原則禁止
  …専門26業務や紹介予定派遣、育児介護等休業の代替要員派遣等は例外
◆製造業務派遣の原則禁止…常用雇用の労働者派遣は除く日雇い派遣の原則禁止
◆日雇い派遣の原則禁止
◆均等待遇
  …派遣元は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先労働者との待遇均衡
   を考慮する旨の規定を設ける。
◆マージン率の情報公開
  …派遣元は、マージン率公開や派遣労働者に1人あたりの派遣料金を明示
◆違法派遣の場合における直接雇用義務
  …期間制限を超えての派遣受入れや偽装派遣などの違法派遣の場合には、
   派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす。
◆法律の名称・目的に「派遣労働者の保護」を明記
◆施行期日…公布日から6ヶ月以内
      ただし登録型派遣、製造業派遣禁止は公布日から3年以内
      登録型派遣一般事務はさらに2年の暫定措置

厚生労働省は、労働者派遣法改正案を来年の通常国会への提出を目指します。


大企業では「業務請負や期間従業員で対応する」ことが多くなりそうです。海外進出もあるかもしれません。中小企業では人材集めに苦労することになりそうです。

登録型や製造業への派遣禁止で雇用の安定するのでしょうか?
労働者保護は大切なことです。安定した働き方を誰も否定はしないでしょう。
今回の改正が本当にその方向へ進んでいるのか?進むことを願います。

多様な働き方を制限しているので、逆に働き口を少なくしているのではという懸念もあります。それは使用者側の使いやすさのみを考えているからという批判を受けそうです。

でも、両方のバランスを考えていかなければと考えています。
どちらも不幸な結果に終わる可能性が大きい気がしませんか?
登録型で働くことが自分に合っている人もいるでは?そんな人を必要としている中小企業も多いのではと思いませんか?
ダメな部分は直しましょう。でも全部ダメなの?

3年+2年で5年以内に新しい仕組みが必要ですね。 

コンプライアンス経営へ No.3

2009年12月27日 | 会社の法律ミニレッスン
労働法に強くなりましょう!
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!


第3回は「有期労働契約」です。

労働者「働きます」(労務の提供です)使用者「給料を払いましょう」(賃金の支払い)という約束が始まり、労働契約ですね。
どんなことを約束するの?は決められています(第2回で「労働条件の明示」)
契約書として書面の交付にして下さい、の第1が「労働契約の期間」です。

・期間を定めないもの(普通に会社に勤めるとき、いつまで?定年まで)
・一定の事業の完了に必要な期間(橋の建設、いつまで?工事が完成するまで)
・期間を決めるとき(いつまで?今年の4月から来年の3月末まで)

さて、最後の契約期間を決めて約束することを「有期労働契約」と言います。

今なら契約期間は長い方が良いと思う人が多いのではないでしょうか。
労働基準法は、人身拘束の弊害を排除するため(例えば、戦前の話で安い賃金で長く働かされた)、制限を設けています。

◆期間を定める場合は最長3年です
以前は1年でしたが、平成16年から原則3年に延長されました。

原則と言うからには、例外があります。
◇60歳以上の人と契約するとき、5年まで契約可能
◇高度の専門的知識などを有する労働者とも、5年契約オッケーです

高度の専門的知識などを有する労働者って?
 ・公認会計士、医師、薬剤師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、
  税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士
      …こんなのを限定列挙って言います
 ・衣服や室内装飾のデザインを考案する業務、システムエンジニアの業務
      …この2業務には、賃金の総額が1075万円を下回らないこと
       という条件があります。(これがかつて選択式で出ました)


1年の約束を更新して、また1年、また1年…、事実上3年を超える期間になっても問題はありません。
でも、こうして契約が繰り返されると「きっと来年も」って期待しますよね。
ところが「ウチも厳しいから来年はいいわ、いらない」…、労働者の人は困りますよね。

事業主さんに、こうして下さいという基準が告示されています。
(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」と言います)
1.初めの約束時に続きがあるか(更新の有無)はっきりさせて下さい。
2.長く来てもらっている(3回以上更新、または1年超働いている)人には、
  次がないときは30日前は伝えてあげてね。
3.「なんでないの?ちゃんと証明して」と言われたら、雇い止めの理由を
  証明書にして渡しましょう。

トラブルが起こらないように注意して下さいな。


今日も長い長い文を最後までお読みいただきありがとうございました。

11月の完全失業率

2009年12月25日 | 社会保険労務士
【11月の完全失業率5.2%、0.1ポイント悪化 求人倍率やや改善】
 総務省が25日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は5.2%で、前月に比べ0.1ポイント上昇した。上昇は4カ月ぶり。完全失業者数は331万人で、前年同月比75万人増と、13カ月連続で増加。うち、勤務先の人員整理や倒産などで失業した「勤め先都合」は49万人増、「自己都合」は7万人増だった。就業者数は6260万人で131万人減少した。減少は22カ月連続。

 厚生労働省が25日朝発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイント上昇の0.45倍だった。上昇は3カ月連続。有効求人は0.3%増、有効求職者は0.9%減だった。

 新規求人は前年同月比で13.8%減少した。産業別にみると、特に情報通信業(36.1%減)、宿泊業・飲食サービス業(25.0%減)の落ち込みが大きかった。ただ、前月比でみた新規求人は0.3%増加した。 《NIKKEI NET 12/25 (08:34)より》


【離職率、6年ぶりに就職上回る 1~6月雇用動向】
 厚生労働省が24日発表した2009年上半期(1~6月)の雇用動向調査によると、労働者全体における離職者の割合(離職率)は9.6%で、転職も含め新たに仕事に就いた就職者の割合(入職率、9.3%)を0.3ポイント上回った。離職率が入職率を上回るのは6年ぶり。厚労省は「下期も離職が上回る可能性が高く、雇用の不安定化が進む」とみている。(以下略)
《NIKKEI NET 12/24 (00:46)より》


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1週間後は来年ですね。ほんとうに振り返るとあっという間です。

「雇用の不安定化が進む」と厚労省。

社長さんは必死ですよ。会社を守ることが従業員や取引先など会社の関わる回りの人たちを守ることなのですから!

公務員と民間の会社との意識の格差の源はここですね。

派遣法改正案と多様性

2009年12月23日 | 社会保険労務士
2010度税制改正大綱が決定されましたねえ~
期待○○○…、様々でしょうね

こちらは…

【登録型派遣禁止、適用猶予は5年間に 需要多い業務対象】
 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会は22日、労働者派遣法改正に関する答申案を提示した。仕事があるときだけ働く登録型派遣は原則禁止するが、ニーズの高い一部の業務に限って公布から施行まで最長5年間、適用を猶予することを盛り込んだ。経営側の反発に配慮し、18日に出した原案を部分的に修正した。審議会は今後も会合を開いて内容を調整したうえで、年内に正式な答申をまとめる。

 厚労省は答申をもとに改正法案を策定し、年明けの通常国会への法案提出を目指す。登録型派遣は通訳や秘書など専門性の高い26業種や高齢者派遣などを除いて禁止する。製造業派遣も派遣元と雇用契約を結ぶ常用型派遣を除いて認めない。いずれも18日の原案通り、公布から3年以内に施行するとした。

 登録型派遣の扱いについては原案を一部修正した。登録型は若い女性の就業が多い。すべての業務を規制対象にすれば女性の社会進出に影響が出るとみて、需要の高い一部の業務は施行からさらに2年間、猶予期間を設けるとした。
《NIKKEI NET 12/22 (11:30)より》


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18日の骨子報告後、22日の部会が注目されていましたが…
・規制強化の方向が明確
・労働者保護色の強い内容
に大きな変化はありません。

登録型派遣の原則禁止と・(常用雇用の労働者派遣を除き)製造業派遣を禁止は、企業がどのような人材確保していくのかに大きな影響を与えるでしょうね。


「ワーク・ライフ・バランス」が言われていますが、描く姿は?
時々、こうあるべきだという観念が強すぎるのでは?と思うことがあります。

「多様な働き方の模索」を内閣府が出した『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』では謳われています。
5年後に一つの働き方がなくなります。

厚生労働省は「雇用政策研究会」を立ち上げて、あるべき雇用システムに向けての環境整備等を議論、来年6月までに報告書が出されるそうです。


一つではなく多くの中から「自分にあった」ものを選ぶことができるのは良いと誰もが思うはず!でも、同じものを選ぶ必要はなし、です。
自分には良いものが他人にも良いとは限らないですよね。
「登録型派遣って、本当に良くないのかな?」と改めて考える次第です。 

学びの習慣が大切!

2009年12月22日 | 社会保険労務士
昨日の日経新聞からです。

労働政策研究・研修機構の小杉礼子先生の分析が載っていました。
「自己啓発をする人ほど正社員への移行率が高かった」と推測されるそうです。「学校での学びの習慣が、キャリアを開く力につながる」と指摘されていました。

詳しくは21日朝刊21面をご覧下さいね。

この推測には、きっとそうだろうなあと、みなさんも納得されるのではないでしょうか。


何か目的があると、自らを動かす力になります。ところが、意志があっても具体的にどうして良いのか分からないくては続かないでしょうね。「思ってはいるのだけれど…」で終わってしまいます。

一般的な言い方になってしまいますが、1つ先の学校へ入るために、学校、塾や予備校で与えらたものをただやってきただけでは、なかなか「学びの習慣」を獲得したとは言えないでしょうね。
自己啓発も、この延長でやっていては多くを期待することは出来ないような気がします。

きっと、何かがプラスαされるのでしょうね。
いわゆる「やる気のスイッチ」を入れるきっかけになる何かが…


たまたま卒業時に不況であったという不運、そして、その不運に引きずられることが多い社会の理不尽さを誰もが解決したいと考えているはず。でも、悲しいかな厳しい現実があります。
それに負けることなく立ち向かっていくしかないですね。

自らを高める、仕事に役立つことを自分の意志で学ぶことが、この困難な状況を打開する1つの方法ということですね。