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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.56(懲戒解雇)

2011年01月30日 | 会社の法律ミニレッスン
 会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第56回は、「懲戒解雇」です


 解雇とは「使用者(会社)が一方的意思に基づき、労働者(従業員)との労働契約を将来に向かって解約すること」をいいます。
 解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇がありました。
 
■懲戒解雇
【違反行為への最も重い処分】
 懲戒解雇は、懲戒罰の一種で、重大な企業秩序違反行為に対する制裁罰としての解雇をいいます。企業目的の進行に害を及ぼす行為をした従業員を企業外に放逐する処分で、多くの場合、退職金の不支給や減額が伴うために企業が行う制裁処分の中で最も重い処分にあたります。
 企業が行う処分には、制裁となった行為と企業が科す制裁処分とのバランスがとれていることは必要になります。したがって、最も重い懲戒処分である懲戒解雇を行う場合は、当該処分の対象となった行為が重大な違反行為であることが必要となります。

 懲戒解雇では、企業外に放逐する処分ですから、他の譴責や減給といった処分の場合と違い従業員との紛争(懲戒処分の無効や退職金の支払い等)に発展するリスクが大きくなります。

■懲戒解雇の根拠
【就業規則に規定がある】
 会社が懲戒解雇を行う権利を有する根拠はどこにあるのでしょうか。
 学説・判例では、労働契約の本質上当然の権利とする見解もありますが、就業規則や労働協約に根拠となる規定がある場合に権利が発生するという見解が主流といえます。
 特に、労働基準法第89条第9号により、制裁に関する事項は、相対的必要記載事項、つまり、制裁を行うのであれば必ず定めなければならない事項とされています。この場合、就業規則には、制裁の種類と程度を必ず定めなければなりません。


 就業規則は大切ですね。「見直して、年度初めの4月から」とお考えの場合はお急ぎ下さい。

南海電鉄、4月から全駅禁煙

2011年01月27日 | 社会保険労務士
【南海電鉄、4月から全駅禁煙 関西大手私鉄で初】
    《日経Web 2011/1/27 2:35》より
 南海電気鉄道は26日、4月1日から全99駅を終日、全面禁煙にすると発表した。関西では2009年からJR西日本が京阪神にある251駅を全面禁煙にしているが、私鉄大手5社では初めて。

 南海によると、喫煙スペースは撤去する。利用客からの要望を受けるなどして決めたという。

 泉北高速鉄道も4月1日からの禁煙化を26日発表。兵庫県の山陽電気鉄道、神戸電鉄、北神急行電鉄の3社は3月1日から実施すると発表した。

 関西私鉄大手の阪急電鉄、阪神電気鉄道、近畿日本鉄道、京阪電気鉄道の4社は地下駅などを除き、喫煙ルームを設けたり、ホーム端を喫煙スペースにしたりするなどの分煙を実施している。「今のところ全面禁煙の予定はない」としている。

 首都圏では、JRのほか私鉄大手9社が全面禁煙に踏み切っている。

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 このブログでも何度か取り上げていますが、昨年12月には、厚生労働省の労働政策審議会(安全衛生分科会)から、「今後の職場における安全衛生対策について(報告)」の案が発表されました。その中に「受動喫煙防止対策の抜本的強化」が入っています。今国会で、この内容を基にした労働安全衛生法の改正案が提出される見込みです。

 職場だけでなく社会全体で受動喫煙が有害性であること、受動喫煙を防止しようという意識も高まっています。報告は、一般の事務所・工場等では全面禁煙や空間分煙の措置をとることをを事業者の義務としています。

 飲食店、ホテル等で利用客が喫煙できることをサービスに含めて提供している場所についても、労働者の受動喫煙防止という観点からは、全面禁煙や空間分煙の措置をとることを事業者の義務とすることが適当である、としています。

 とは言っても、利用客の喫煙に制約を加えることと営業上の支障が生じないか心配、でも働く人の健康も大切。なかなか難しい事業所もあるでしょう。当分の間、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とし、具体的には、「換気等による有害物質濃度の低減等の措置をとることとし、換気量等の基準を達成しなければならない」ようにするとなっています。早めの対応が必要ですね。

 愛煙家を除いては南海電車利用者は喜んでおられるでしょう。
 やるじゃない南海!でしょうか!?

既卒の新卒扱い、大手で広がる。主流は「3年以内」

2011年01月24日 | 社会保険労務士
既卒の新卒扱い、大手で広がる。主流は「3年以内」
 《PSRネットワーク 2011/01/24》より

 大学の既卒者(大学院修了含む)を新卒扱いで採用する動きが広がっています。トヨタ自動車など多くの大手企業が2012年春入社の採用活動で、募集対象を同年春の卒業見込み者だけでなく、卒業後3年以内の人にまで拡大するようです。既卒者にもっと門戸を開くよう求める政府の要請に応えるとともに、これにより「多様かつ優秀な人材を確保する」のが狙いです。
 今春卒業予定の大学生の就職内定率は過去最悪となる見通しです。こうした状況を踏まえ、政府は2010年、新卒者雇用に関する緊急対策を決定しています。雇用対策法に基づく「青少年雇用機会確保指針」を改正し、大学などを卒業後少なくとも3年間は新卒として採用に応募できるよう企業側に求めました。
 政府の要請に先立って11年春採用から卒業後3年以内の既卒者を新卒扱いとし、既に採用活動を終えたのはセブン-イレブン・ジャパン。
 以前から卒業見込み者と既卒者を区別せずに採用してきた企業も少なくありませんが、パナソニックのように採用のホームページに「既卒者も応募できる」と明記する企業も出てきているようです。

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 先週21日に東京電力(清水正孝社長)も12年春入社の採用から、大学などの卒業から3年以内の既卒者を新卒として扱う方針を表明しました。13年度採用から実施する方針を「今の採用状況からみて(既卒者採用の)ニーズは大きい」としています。

 大手企業で新卒採用枠を既卒者に開放する動きが広がってます。

 「再挑戦の機会を用意し、多様な人材の確保につなげる」ことは必要です。今までも「(既卒者を)従来から受け付けている」としていても、実情としては採用例は少なかったでしょう。それが変わってきました。良いこととして歓迎されるでしょうね。

 ただ、採用数が変わらなかったり、微増の状況では、新卒者に既卒者が加わって競争が厳しくなるだけということもなきにしもあらずですね。

コンプライアンス経営へ No.55(制裁その3)

2011年01月23日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第55回は、「制裁」その3です。

 懲戒を行うときの留意点の続きです。

□4.一事不再理の原則(二重罰の禁止)
 一つの事案に対して2つ以上の懲戒を行っていないこと。これを「一事不再理の原則(二重罰の禁止)」といいます。一事不再理とは、ある犯罪について判決が確定すれば、同一の犯罪について再度審理をしないという、刑事訴訟での原則です。会社における制裁処分でも、この原則が適用されるという考え方が、判例では主流になっています。

 例えば、減給処分を行い、同時に出勤停止処分をすることはできません。

 けれども、制裁事案が起こったときに、処分決定まで「自宅待機」を命じる場合があります。このときは賃金を支払っておれば、この自宅待機(=出勤停止)は正式な処分決定までの暫定措置であり二重処分にはなりません。
 また、以前に懲戒を受けていて、再び同じことを繰り返した場合に、前回以上に重い処分を課すことも二重処分にはあたりません。遅刻を何度もして譴責処分をして注意指導したけれど、再び遅刻を繰り返すので、今度は減給処分を課すことがあると思いますが、これは当然に大丈夫ということです。

□5.手続きの保障
 懲戒処分が適正とされるためには、就業規則に定めた懲戒の手続きに沿った対応が求まられます。特に、懲戒解雇等の重い処分を行う際には、弁明の機会を与える必要があります。

□6.平等主義(不当な動機や目的がない)
 これは、何度も遅刻を繰り返すAさんとBさんがいた場合、Aさんには譴責処分で、Bさんには減給処分では問題があるということです。同じ懲戒事由があれば同じ処分が必要になります。
 時期が前後して、異なる社員を同じ問題行動で処分されるときも前の問題行動の処分と後の問題行動の処分が平等に扱われるべきということです。


■減給制裁の制限
 減給処分はよく使われる懲戒処分ではないでしょうか。
 賃金を減額しますが、減給額が多額になると、社員の生活に大きな影響を及ぼすことになるので、労働基準法では、減給制裁の制限を設けています。『就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。』(労働基準法第91条)

 ところで、出勤停止という懲戒処分もあります。出勤停止期間中の賃金は支払いません。ノーワーク・ノーペイの原則です。出勤停止処分のために賃金が支払われなかったのは当然の結果になります。この場合は、上の第91条の規定(減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額以下、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一以下)とは関係がありません。

21年度特定健康診査の実施率(速報値)

2011年01月22日 | 社会保険労務士
 厚生労働省より、平成21年度の特定健康診査の実施率(速報値)が公表されました。

 特定健康診査?
 いわゆるメタボ健診のことです。平成20年度から医療保険者に対し、40歳から74歳までの被保険者、被扶養者を対象とした内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目した健康診査・保健指導の実施が義務付けられています。

【実施状況結果のポイント】
1.特定健康診査について
   対象者数…約5,220万人(平成20年度確定値約5,192万人)
   受診者数…約2,115万人(同約2,019万人)
   実施率…40.5%(同38.9%)

2.特定保健指導について
   特定保健指導の対象者になった割合…18.5%
  そのうち、
   特定保健指導を終了した者の割合…13.0%。
  平成20年度の確定値は、
   対象者数…約401万人、終了者数…約31万人。特定保健指導実施率…7.7%

3.内臓脂肪症候群について
   内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)該当者の割合…14.4%(同14.4%)
   内臓脂肪症候群予備群者の割合…12.3%(同12.4%)


 7割を目標にしている特定健診の実施率ですが、1年目よりわずかに増えていますが4割でした。
 組織別にみると
  市町村国保…31.4%(平成20年度確定値30.9%)
  国保組合 …36.0%(同31.8%)
  全国健康保険協会(協会けんぽ)…30.3%(同30.1%)
  組合健保…63.3%(同59.5%)
  船員保険…32.1%(同22.8%)
  共済組合…65.4%(同58.9%)
 中小企業のサラリーマンなどが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)が最も低いですね。続いて、自営業者などが加入する市町村国保で3割程度にとどまっっています。公務員などが加入する共済組合と大企業のサラリーマンなどが加入する企業組合健保は6割を超えています。

 「メタボ」と診断されるのは、
 1.腹囲の基準(男性85センチ、女性90センチ)以上で、
 2.血圧や血糖、コレステロールの2つ以上が基準を上回る
 診断された方…約311万人(14.7%)。

 メタボ予備軍は、腹囲+1つ以上が基準を上回った方で、約265万人(12.5%)でした。

 そして、21年度にメタボ健診を受け、基準を上回ったため特定保健指導の対象となったが、最後まで終了したのは13%でした。「メタボ」などと診断されても1割強の人しか指導が終わっていません。
 保険者の種類別に特定保健指導実施率(速報値)をみると
  市町村国保…21.5%(平成20年度確定値14.1%)
  国保組合 …6.9%(同2.4%)
  全国健康保険協会(協会けんぽ)…7.2%(同3.1%)
  組合健保…12.4%(同6.8%)
  船員保険…9.8%(同6.6%)
  共済組合…9.4%(同4.2%)

 最後に特定保健指導とは?
 特定健康診査の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、生活習慣を見直すサポートをします。
 特定保健指導には、リスクの程度に応じて、動機付け支援と積極的支援があります。(よりリスクが高い方が積極的支援)
□1.初回面接:個別面接20 分以上、または8名以下のグループ面接で80分以上
 専門的知識・技術を持った者(医師・保健師・管理栄養士等)から、対象者に合わせた実践的なアドバイス等を受けます。
□2.自身で、「行動目標」に沿って、生活習慣改善を実践します。
 積極的支援では、面接・電話・メール・ファックス・手紙等を用いて、生活習慣の改善を応援します(約3ヶ月以上)。
□3.実績評価として、面接・電話・メール等で健康状態・生活習慣(改善状況)を確認します(6ヶ月後)。