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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.58(未成年者の労働契約)

2011年02月20日 | 会社の法律ミニレッスン
 会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第58回は、「未成年者の労働契約」です。

 労働基準法では、18歳未満の者(年少者)に対して特別の保護規定を置いています。

 まずは、労働契約を結ぶことができる「最低年齢」から
 原則は中学生以下を働かせることはダメです。

 労働基準法第56条(最低年齢)
 使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。

 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、回りくどい表現ですが、一応、中学校を卒業するまではダメだということです。
 でも、TVをつけると子役で出ているじゃないかと…!?これはいいの?どうなってるのと素朴な疑問がでますね。但し書きがあります。

 労働基準法第56条第2項
2 前項の規定にかかわらず、別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。

 満13歳以上の児童は
 非工業的業種(=別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業)に限り
(1)健康および福祉に有害でない
(2)労働が軽易である
(3)修学時間外に使用する(働く)
(4)所轄労働基準監督署長の許可を得る
 条件で使用することができます。

 満13歳未満の児童は
 映画の制作または演劇の事業に限り
上の(1)から(4)の条件を満たした上で使用することができます。


 そして次のものを事業場に備え付けなければなりません。
 年少者を使用する場合は、
(ア)住民票記載事項証明書

 児童を使用する場合は、
(ア)住民票記載事項証明書
(イ)学校長の証明書
(ウ)親権者または後見人の同意書

 このことも忘れないで下さい!

厚労省方針 介護型療養病床、廃止を2017年に延期

2011年02月18日 | 社会保険労務士
 厚生労働省は16日、手厚い介護や医療ケアの必要な患者が入る「介護型療養病床」の廃止期限を2017年度末まで延長する方針を固めました。当初は2011年度末で廃止する予定でしたが、6年延長します。特別養護老人ホームなど他の介護施設を受け皿にする方針でしたが、他施設への移管が進んでいないためで、今通常国会に提出する介護保険法改正案に盛り込む方針としています。
 なお、今後7年間で老人保健施設などへの転換を促し、介護型療養病床の新設は認めないこととしています。

 今から5年前の2006年に、当時の自公政権が介護療養病床を治療の必要がないのに長期入院を続ける「社会的入院」を助長しているとして、11年度末で全廃し、介護施設などに転換することを決めました。

 昨年3月末時点での調査で、当初は医療の必要性の低い「社会的入院」の解消に向け、リハビリなどが中心の老人保健施設などへの転換を想定していましたが、既に転換済みの施設では、医療保険が適用される医療型療養病床への転換が8割を超えていました。また、全体の6割超で転換先が未定であることも分かりました。 長妻昭前厚労相が昨年9月、廃止期限を先延ばしする考えを示していました。


 さて「療養病床」って?
 症状は安定しているが長期の療養が必要な患者のための「長期入院用のベッド」ですね。医療保険が適用される医療型病床(医療療養病床)と、介護保険が適用される介護型病床(介護療養病床)とがあります。
 主に高齢者など慢性疾患の患者さんの入院が多くなります。中には、行き先がない高齢者が長期間とどまり続けることもあり、それが「社会的入院」として問題化になり、そのあり方が見直されることになりました。

内々定取り消し、二審も会社に賠償命令

2011年02月17日 | 労働法
 大阪近郊の社長さん、人事担当者のみなさんへ

 弊オフィスが開催するセミナーの案内です

 【MIU勉強会5 労務管理基礎講座(採用基礎編)】
   ~採用時にしっかりと見る!それが会社のため、本人のため~

 日 時:平成23年2月23日(水)午後6時30分~午後8時30分
 場 所:クレオ大阪中央3F研修室2 (大阪市天王寺区上汐5丁目6番25号)
 参加費:3000円(当日、お支払いをお願いします)

 当オフィスHPおよび詳細はこちらから↓↓↓
   MIU勉強会5 労務管理基礎講座(採用基礎編)

 2月21日(月)の午前中までにお申し込み下さい。


【内々定取り消し、二審も会社に賠償命令 「説明不十分」】
  賠償は大幅減額 《日経Web 2011/2/16 14:59》より

 不動産会社コーセーアールイー(福岡市中央区)が採用の内々定を一方的に取り消したのは違法として、30代の男性が同社に約115万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は16日、一審福岡地裁判決に続き会社側の責任を認め、賠償を命じた。賠償額は一審の85万円から22万円に変更した。

 判決理由で広田民生裁判長は「事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあったと認めざるを得ない」と指摘し、同社の不法行為と認定。一方で「内々定の撤回には企業経営上の相当な理由はあった」と述べた。

 訴訟の焦点だった内々定が労働契約の成立に当たるかの判断については「内々定は内定と明らかに性質が違い、企業が新卒者を囲い込んで他の企業に流れるのを防ごうとする活動の域を出るものではない」として、一審同様に労働契約とは認めなかった。(以下略)

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 男性は08年7月に内々定を通知され、入社承諾書を提出し就職活動を終了しましたが、同10月の内定式直前2日前に、世界的金融危機など経営環境の悪化を理由に内々定を取り消されました。同社からはその後、具体的な説明はなかったというのが事件の概要です。

 昨年6月の福岡地裁判決は、内々定の取り消しをめぐる訴訟で全国で初めて賠償を命じたものとして注目されました。「原告への影響を十分考慮せず、内定直前に急いで取り消したのは信義則に反する」としました。
 そして、控訴審でも「内々定の撤回には経営上の理由があったが、事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあった」として同社の不法行為と認定されました。

 内々定は労働契約にはあたらないという判断は妥当でしょう。しかしながら、労働契約を結ぶ過程での信義則に反するとして違法性を認められました。

 説明を含めた誠実な対応が信頼への一歩ですね。
 人事労務面では「基本の基」です。

2010年の所定内給与月24万5038円(5年連続減)

2011年02月16日 | 社会保険労務士
 昨年(2010年)の労働者1人当たりの所定内給与(基本給・家族手当等含む)は、月24万5038円だったそうです。これは前年と比較して0.2%減少、そして5年続いてマイナスでした。
 正社員が減って、パートタイム労働者が増えていることが影響しているようです。

 全労働者数…4414万人(0.3%増)
  パート労働者…1228万人(2.1%増) 一般労働者…3186万人(0.4%減)


 春闘関連の記事も多くなってきました。自動車総連傘下、トヨタ自動車やホンダなど多くの労組が2年連続でベースアップ(ベア)要求を見送り、業績に応じた一時金(ボーナス)アップを主要な争点に掲げたとの記事もありましたね。

 再び、毎月勤労統計調査(確報)へ

 現金給与総額は月31万7321円。
  前年の0.6%増加、こちらは4年ぶりに前年を上回りました。
  所定内給与は減少していましたね。ということは、残業代などの所定外給与が増えました。

 所定外給与は9.2%増加(3年ぶり)。
  特に製造業では残業時間とともに所定外給与が2万8359円(32.4%増)です。

基礎年金の国庫負担割合を2分の1を維持へ

2011年02月15日 | 社会保険労務士
 10日、つまり先週のことになりますが…、2つの閣議決定を

■11年度の基礎年金の国庫負担割合を2分の1を維持

 ひとまず今年はこれで乗り切ろう的な感じがしますが…
 財源として『鉄道建設・運輸施設整備支援機構の余剰金1.2兆円、財政投融資特会の積立金1.1兆円、外国為替資金特会の余剰金0.2兆円』を使うそうです。「霞が関埋蔵金」と呼ばれている独立行政法人や特別会計の余剰金を使うのが3年連続。誰もが心配していますよね。
 そろそろ埋蔵金にも…


■「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案」の国会提出

 法律案によって創設される求職者支援制度の主な柱は以下のとおりです。
 ・求職者の就職の促進のために必要な職業能力を高めるための職業訓練の機会の確保
 ・訓練期間中の生活を支援し、職業訓練を受けることを容易にするための給付の支給
 ・訓練受講者に対するきめ細かな就職支援
 施行期日平成23年10月1日(一部の規定については、公布の日から施行)

 職業訓練中の失業者に生活費を支給する雇用対策を「求職者支援制度」として恒久化する法案です。
 この制度は、今年9月で終わる緊急人材育成支援事業を継続発展させようとする制度でしょうか。
 緊急人材育成支援事業と同じように、受講者が職業訓練の期間中に月10万円もらえます。

 さて、こちらの財源は、雇用保険料と一般財源からなっています。政府では、3年後をめどに全額を一般財源に切り替えるとのこと。
 どうして?
 制度の利用者は雇用保険に加入していない人や失業手当の受給期間が切れた人がほとんどです。
 それで、労使が負担する雇用保険料を充てず、基本は全額、一般財源としています。

 なるほどとうなずきつつも、一般財源は大丈夫なの???