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『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』

2011年05月26日 | 映画(あ行)
『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(原題:Inside Job)
監督:チャールズ・ファーガソン
ナレーション:マット・デイモン

関西では、新スポットの大阪ステーションシティにあるシネコン、
ステーションシティシネマのみにて上映中。

全米では昨秋に公開され、当初は日本公開の予定はありませんでした。
どうせ日本では当たらんやろと未公開のはずだった作品が、
公開を希望する署名運動が起こって日の目を見た最近の例では
『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009)や『ファンボーイズ』(2008)などがありますが、
本作はそういう経緯は聞いていません。
今年2月にアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したゆえでしょうか。

日本語字幕の監修はTVでもおなじみ、経済アナリストの森永卓郎氏。
緊急公開決定のせいなのか、パンフレットもなく、
売店で「代わりにどうぞ」とチラシをくれました。

さて、そんな愛想のない作品のあらすじは。

2008年9月に、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻。
それが引き金となった世界的な金融危機、リーマンショック。
本作では、このリーマンショックの前後に、
アメリカの金融業界と政府がいったい何をやったのかを追及しています。
み~んなグルの「インサイド・ジョブ(内部の犯行)」でしょって。

取材を受けた人は全員実名で登場し、顔出しもしています。
当然、取材を拒否した人も多数いるなか、
出演することによってイメージだだ下がりになる場合でも
取材を了承した人物は潔しとすべきか。

映像から受ける印象の善人悪人は別にして、そうそうたる顔ぶれです。
著名投資家や作家、シンガポールの首相にフランスの蔵相、
IMF(国際通貨基金)やFRB(米連邦準備制度理事会)のお偉方、
ハーバード大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学の教授などなど。
客の半数近くが金融業者で占められていた高級娼館の経営者も登場します。
さらには当時の映像を盛り込み、金融危機の内幕を徹底的に暴きます。

お金がいくらあっても、家や自家用ジェットをいくつ持っていても、
ウォール街政治に関わった人たちは満足できない。
おもしろいと思ったのは、頭の中を調べてみたらという話。
勝ったらお金がもらえる賭けをするときに快感を得る脳の部分は、
ドラッグを使用したときに快感を得る部分と一致するそうです。

マット・デイモンの声が本作にぴたり。
何が起こったのか知っておきたい人にオススメ。

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