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『大いなる休暇』

2006年03月15日 | 映画(あ行)
『大いなる休暇』(原題:La Grande Seduction)
監督:ジャン=フランソワ・プリオ
出演:レイモン・ブシャール,デヴィッド・ブータン,ブノワ・ブリエール,
   ピエール・コラン,リュシー・ロリエ他

カナダ・ケベック州の作品なので、フランス語。
原題の“La Grande Seduction(=大いなる誘惑)”から察するのは
ちょっとしたサスペンスですが、
邦題がぴったりの穏やかな、でも切実な作品。

かつては漁業で栄えたサントマリ・ラモデルヌ島。
現在は人口約120人、そのほとんどが生活保護を受けている。
人びとは昔の活気を島に取り戻すべく、
プラスチック工場誘致計画をものにしたいと考える。

しかし、企業側の工場誘致条件として
「常駐の医者がいること」が挙げられていた。
なんとか島に住み着いてくれる医者を確保しようと、
インターネットで調べ得るモントリオールの全医者に
村長のジェルマンらは手紙を出しまくる。
工場誘致のために医者が必要だとの事情は伏せ、
1カ月だけ田舎暮らしを楽しんでみませんかという内容で。

何の音沙汰もなく、人びとが諦めかけたころ、
やってきたのは整形外科医のクリストファー。
1カ月の間にクリストファーを島に永住する気にさせるため、
島民あげての嘘で塗り固めた日々が始まり……。

涙ぐましい努力はイライラするほど。
クリストファーの好みを予想したジェルマンは
島民にクリケットを覚えるように指示します。
ホッケーにしか興味がなかった彼らは
「こんなの、スポーツじゃねぇ!」と言いつつ、
用具やコートを自前で準備、ユニフォームは奥様方のお手製。

クリストファーの電話はすべて盗聴。
モントリオールの恋人への電話の中で
「君のビーフ・ストロガノフが食べたいよ」と言うのを聞けば、
伝達係がすぐさま食堂に走り、
壁に貼られる「本日のお薦めメニュー、ビーフ・ストロガノフ」。
でも、それってどんなものなのかわからなかったり。

ジェルマンの誘いで釣りを始めたものの、
クリストファーには一向に釣れる気配がありません。
釣りもろとも島に嫌気をさされてしまうことを恐れ、
ひとりの男が海に潜り、クリストファーの釣り竿の先に
1匹のドでかい魚を取り付けます。
だけど、冷凍庫から出してきた魚を付けたもんだから、
カチンカチンのそれを見て訝るクリストファーの顔。
深海にいれば魚も凍るとの説明に納得する顔も可笑し。

こよなく島を愛する気持ちが伝わってきます。
「本音」の効き方がオツ。

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