夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』

2012年08月14日 | 映画(さ行)
『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(原題:The Lady)
監督:リュック・ベッソン
出演:ミシェル・ヨー,デヴィッド・シューリス,ジョナサン・ラゲット,
   ジョナサン・ウッドハウス,スーザン・ウールドリッジ他

前述の『ぱいかじ南海作戦』を観たあと、知人と会う約束。
20年は経っていないけれど、15年以上はお会いしていないであろうKさん。
それまでにお会いしたことも数回のみで、年賀状だけのおつきあい。
このままお会いせずに一生が終わる可能性もありました。

ところが今年、年賀状にひとこと書くのに悩み(「今年もよろしく」も変だし)、
「ブログをやっていますので、よかったら覗いてください」と書きました。
そうしたら、すぐにブログ経由でメールをいただき、ビックリ。
そのメールから、Kさんが某SNSに参加していらっしゃることを知り、
探して見に行ったところ、またまたビックリ。
だって、Kさんの日記に“夜な夜なシネマ”の文字がある~。

読んでみて焦りました。めちゃめちゃ映画をよくご覧になっている。
Kさんだけでなく、Kさんのお友だちもそんな人ばっかり。
観る本数だけでいえば私のほうが多いですけれども、
みなさん実にたくさん劇場でご覧になっているのです。

ムリムリムリ~。私はほぼTSUTAYA DISCAS頼み。
劇場でこんなに観てる人たちにこの“夜な夜なシネマ”を紹介されたら、
どうすりゃいいのかわからない~。穴があったら入りたい。

KさんはKさんで、「年間300本前後観る人がいるなんてビックリ」と
その日記に書いてくださっていたんですけれど。

ムリムリムリ~と思っていましたが、今年はダンナの出張が多いこともあり、
劇場で観ることを心がけていたら、意外とできるもんですね。(^^;
TSUTAYA DISCASの月16本定額契約を維持したまま、
劇場でも同じぐらいの本数を観ているものですから、
もしかしたら今年は350本超えできるかもしれません。

前置きばかりが異様に長くなりましたが、まだ前置きが続く。
そんなわけで、Kさんと久々にお会いしましょうという話になりました。
日頃はお互いに「ひとりで映画派」なもんで、
一緒に映画というのも気恥ずかしく、お昼ごはんを食べることに。
3時間たっぷりかけてランチ。
たまたまこの日つくってくださった食前酒がレモンチェッロのカクテルで、
これ、『トスカーナの休日』(2003)に出てきたやつですよ、なんて会話も。
ワインも1本空け、さんざんしゃべって、
ほならやっぱり映画も観に行きましょうかと。で、本作に決定。

ビルマの独立運動に尽力し、1947年に政敵の凶弾に倒れたものの、
「ビルマ建国の父」として今も敬愛を集めるアウンサン将軍。
彼の一人娘であるアウンサンスーチーは、英国のオックスフォード大学で学び、
チベット研究者のマイケル・アリスと結婚。
英国で暮らし、アレックスとキムという二人の息子をもうける。

1988年、病気の母を看病するためにビルマへ帰国したところ、
民主化を求める人びとから熱狂的に迎えられる。
彼女を中心とした民主化運動はそれまでにない盛り上がりを見せ、
民衆は彼女を首相にと声を高らかに叫ぶ。

これに危機感を抱いた軍事政権は、徹底して民主化運動を弾圧し、
アウンサンスーチーからは家族を遠ざけ、自宅軟禁という仕打ちに及ぶ。

百万人の民衆を前にして、「人前で話すのは初めてなの」と夫に明かすスーチーさん。
わずかに緊張は見えるけれど、その堂々とした話しぶりや、
その後の弾圧下での毅然とした彼女の立ち居振る舞いに、
この人は生まれながらにして気品と強さを兼ね備えた指導者なのだと思いました。

スーチーさん本人だけでなく、彼女を取り巻く家族や親戚、支援者など、
それぞれができることを懸命にという姿勢に胸を打たれます。
自宅軟禁されたスーチーさんがピアノで弾く曲はパッヘルベルの“カノン”。
出席を許されなかった1991年のノーベル平和賞授賞式では同曲が演奏され、
スーチーさんはラジオ越しにそれを聴きます。

ビルマ最大の刑務所の名前が“インセイン刑務所”だというのには笑いました。
綴りはちがいますけれど、確かに“insane(=正気でない)”。

リュック・ベッソンの新境地。

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