mimi-fuku通信

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元厚生事務次官宅:連続襲撃事件。<2008年11月17-18日>

2008-11-19 07:45:00 | 政治・社会・時事

 2008年11月に起きた歴代厚生省事務次官宅での連続刺殺、刺傷事件。

 この事件を聞いて、1985年に起きた豊田商事事件を思い出した。 
 当時の事件は、独断的な思い込みからの正義感が生み出した刺殺事件であり、
  犯人の心情には、<天誅>の意味が込められていた。

 現在、好評の大河ドラマ『篤姫』の中での、
 
<井伊大老:桜田門外の変>の事件も脳裏をよぎった。

 今回の若い男性と見られる犯人の心の動きの中に、一連の厚生省の不手際に対する個人的な義憤の思い込みが、<誤った正義感>を自分の中に植えつけたのではないかと推測される。
 また、個人の思想(独りよがりな思い込み)が犯したと考えられる今回の事件は、おそらく15年前には考えも付かなかった手法であり、官僚組織のトップの住居(個人情報)を
個人(他人)が、容易に入手できる新しい時代の中での新しいタイプの犯罪だと考えられる。

 現時点で、この事件をテロリズムと断定することは出来ないが、これまでの組織思想が生み出したテロリズムの概念から、個人思想が生み出す防ぎようのないテロリズムへの変化は、Web2.0の誕生以後、推測された事態である。
 もし私の推測が正しければ、<単独テロリズム>の新たな時代に突入した事実を公安は認めなければならないし、不特定な媒体から社会へと流れ込む膨大な情報量と危機管理体制との新たな模索が肝要な時代なのだろう。

 いずれにせよ、今回の事件は許す事のできない卑劣な暴挙であり、犯人の一日も早い逮捕が望まれるし、逮捕後の犯人の口から聞かれるであろう、
 <如何なる理由や弁論に対しても同情する余地はない。>
 ことを私達は肝に銘ずる必要がある。
 

 <犯行のあらまし>

 歴代の厚生事務次官宅で、2008年11月17日~18日。
 本人や家族が相次いで自宅玄関で刃物で襲われる事件が発生した。
 17日の夕方、さいたま市南区で元厚生事務次官(山口剛彦さん)と妻が自宅玄関先で殺害。
 18日の夜には、東京都中野区で別の元厚生省事務次官(吉原健二さん)の妻が男に胸を刺されて重傷。

 警視庁は、殺人と殺人未遂容疑で捜査本部を設置し、犯人の行方を追っている。
 刺された吉原さんの妻の証言によると、犯人が宅配便を装って玄関に入り込みいきなり犯行に及んだ。
 刺した男は、身長:約1m60cm位。
 中肉で、30歳前後と見られる。

 吉原さんは、1988年 6月~90年6月。
 山口さんは、1996年11月~99年8月。
 に厚生事務次官を務めていた。
 警察庁は、2つの事件の手口の共通点から<連続テロ>と見て捜査する方針。
 さらに山口さん夫妻が殺害された事件でも、犯人が宅配便を装って玄関に入った可能性があることが判明している。


 <テロリズムとは何か?>

 広辞苑によると、テロリズムの語源は、テロル(Terror ドイツ語)=恐怖 ~あらゆる暴力的手段に訴えて敵対者を威嚇することの意。
 テロリズムの概念は、当初は恐怖政治と同義語。

 しかし、時代の変化につれて体制に対する反対運動と暴力により、テロリズムの言葉の意味は、体制から反体制へと逆転していく。 
 また、日本における強硬左派においての一連の行動や、アイルランドの民族運動における特定の集団による誘拐や暴力及び破壊行為は、テロリズムとして大きく報道された。

 現代では、体制や政治背景よりも宗教や思想観の相違から、一般市民を巻き込む形で行われる殺戮目的の行為全般にテロリズムの名称が使われることが多いと考えられる。
 特に、9・11以後は、攻撃目標に対しての破壊行為や、公共機関への理不尽な攻撃を含め、犯行声明のない理由の特定できない声無き恐怖の実行による圧力や、コンピューターへの不当な進入もテロリズムとして認知されている。

 さらに最近では、愉快犯を超えてサイバー・テロを利用した、ゲーム感覚としてのテロリズムや、イスラム周辺で頻繁に起きる自爆テロ等々、テロリズムの定義が、日々拡大している。
 また、今後のテロリズムは、国家や宗教や利権のみが原因で起きるのではなく、個人レベルの心の葛藤や独然思想から生まれる、単独テロリズムの台頭を視野に入れなければならない。

 <関連記事>
 *テロリズムとはなにか? ~単独テロリズムの台頭。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/97e8961de3cd8cb5e214f35a0d587451


 【追記記事:11月23日記載】

 <小泉容疑者の自首>

 *東京・桜田門の警視庁、11月22日午後9時20分。
 男が車で乗り付け、入り口にいた警察官に、「次官を殺してきた」と話した。
 男は、<さいたま市北区の小泉毅(46歳)>と名乗り、住民票を持って出頭した。
 男は、23日午前2時45分、銃刀法違反容疑で逮捕された。
 <朝日新聞:11月23日記事転載>

 *小泉容疑者が書いたとみられる『出頭予告メール』が、日本テレビやTBSなどの民放テレビ局に届いていた。
 TBSによると、メールはホームページにある番組への意見や問い合わせ用のメッセージフォームを使用。
 差出人名、問い合わせ番組名、件名の欄のいずれにも『元厚生次官宅襲撃事件』と書かれていた。
 送信時刻は、小泉容疑者が警視庁に出頭する約2時間前の22日午後7時9分。
 
 メールには、
 「今回の決起は、年金テロではない。」と始まり、
 「34年前、保健所に家族を殺された仇討(あだう)ちである。」と動機を強調。
 「やつらは今も毎年、何の罪の無い50万頭ものペットを殺し続けている。無駄な殺生をすれば、それは自分に返ってくると思え!」と保健所を逆恨みする内容が記されていた。
 そして終盤で、
 「最初から逃げる気はない。今から自首する」と、警察への出頭を予告している。
 ほかには、
 「2つの事件で同じ刃物を使った」と犯人しか知り得ない情報などにも触れている。
 また、事件後一部で、
 「犯人は右利き」とされた報道に、
 「私は左利きである」と“反論”。
 この事件の動機解明について、重要な証言として注目される。
 <報知スポーツ新聞:11月23日記事転載>


 【追記記事:11月24日記載】

 <父親が語る生い立ち。> 

 山口県柳井市の自宅にいた父親(77)が23日、小泉容疑者について語っている。
 子供のころは、友達付き合いも良く、明るい性格で飼っていた犬をかわいがっていたという。
 小泉容疑者は動物好きで、小学校時代、白い飼い犬が死んだ時、涙を流した。
 その後、小泉容疑者は、野良犬を連れてきて飼っていた。
 しかし、父親は、
 「野良犬が吠えることや人様にかみついたらどうする、との不安から保健所に電話して連れていってもらった」と話す。
 メールに書かれている「家族」は、この野良犬だった可能性もある。
 地元の小中高校を卒業し、佐賀大学に入学したが、8年間在籍後、中退。
 東京のコンピューター関連の会社に就職したものの、2、3年で退職。
 その後、アルバイトを転々とした。
 約13年前、地元に戻り、食品会社で3年ほど働いたが、
 「インターネットで、いい仕事が見つかった」と埼玉県に移った。
 その時から、約10年間、家族とは、音信不通だったという。
 出頭直前の22日夕、毅容疑者から
 「手紙を送った。明日(23日)昼ごろ届くから、とにかく見てくれ」と突然、電話があった。
 声が明るかったので、父親は、結婚の知らせと思ったという。
 父親は、
 「息子には自分で腹を切れ、のうのうと生きているなと言ってやりたい。遺族に対しては、何とも申し上げようがない。私の命をささげたいくらいです」と肩を落としていた。

 ~以上資料:編集転載
 *2008年11月23日:読売新聞
 *2008年11月24日:日刊スポーツ


 <元厚生次官宅襲撃事件についてのメール原文>

 今回の決起は年金テロではない!
 今回の決起は34年前、保健所に家族を殺された仇討ちである!
 私はマモノ(元官僚)1匹とザコ(マモノと共生しているやつら)1匹を殺したが、
 やつらは今も毎年、何の罪の無い50万頭ものペットを殺し続けている。
 無駄な殺生はするな!!!
 無駄な殺生をすれば、それは自分に返ってくると思え!

 *日本警察の捜査能力に疑問。

 ・私は左利きである。(吉原の妻に聞けば分かること)
 ・私は靴ひもタイプを使ってない。
 ・吉原の妻に使った凶器は山口を殺した包丁を使用した。
 ・山口の件では最初に出てきたのは剛彦である。

 最初から逃げる気は無いので今から自首する。
 とのタイトルで読売新聞東京本社に送信されたメール。(表現は原文通り)
 <2008年11月24日:読売新聞>

 <2人の自宅の住所はどうやって割り出したのか。>

 吉原さん宅は、インターネットで検索することができるが、
 山口さん宅は、NTTの番号案内にも登録されていない。
 ただ、省庁関係の過去の職員録には住所の記載があったという。
 小泉容疑者は図書館など公的施設で過去の職員録を閲覧したという趣旨の供述をしているといい、警視庁は閲覧記録を確認するなど供述の裏付け捜査を進める。
 <2008年11月24日:MSN産経ニュース>


 【追記記事:11月25日記載】

 <10人に及ぶ襲撃計画。>

 警視庁に出頭した際に乗ってきたレンタカーの車内から、家を襲われた2人を含む元次官3人分の自宅周辺の地理を手書したメモ用紙3枚が見つかった。
 また、車内からは歴代厚生次官ら約10人分の自宅周辺の住宅地図のコピー約10枚も見つかった。
 小泉容疑者は、元次官ら約10人の自宅を調べ、そのうち3人について襲撃計画を具体化していた。
 小泉容疑者は調べに、元次官らの住所について「国会図書館を利用して、職員録を閲覧した」と供述している
 同庁は、職員録で元次官ら計約10人分の住所を把握し、住宅地図を用意し、その内の3人の襲撃を具体的に計画し、下見に加えて、凶器のサバイバルナイフや宅配便を装うための段ボール箱や伝票、包装紙などを用意したとみている。
 また、襲撃した順序は、小泉容疑者の自宅から近い場所で、マンションでなく一軒家に照準を絞ったようだ。
 <2008年11月25日:朝日新聞>


  【追記記事:11月26日記載】

 <愛犬チロと、多額の借金。>

 警視庁は26日、小泉容疑者が殺傷事件を単独で計画・実行したとほぼ断定し、組織性はないと判断した。
 小泉容疑者が、山口県柳井市の父親に送った手紙にも、動機について34年前に保健所で処分された「飼い犬の『チロ』の仇(かたき)をとった」と書かれていた。
 また、小泉容疑者が多額の借金を抱えており、借金はカードローンなどを含めて数百万円。
 警視庁に出頭した際の所持金は約8万8000円で、預金残高は数千円だった。(記事:共同)
 <2008年11月26日:日刊スポーツ>


  【追記記事:11月27日記載】

 <小泉容疑者の生活実態と借金苦への道筋。>

 小泉容疑者は、佐賀大学の理工学部に進学したが単位が足りず、中退。
 知人の紹介で東京・新宿のコンピューター関連会社に就職したが、入社直後から仕事がうまくいかず、退職した。
 捜査関係者によると、小泉容疑者はエンジニアとしての自負があったが、要求されるレベルの仕事ができなかったという。
 結局、会社を5社ほど移り、履歴書では、このほとんどについて「願いにより退職」と書かれていたという。
 捜査関係者によると、2年ほど前に会社を辞めた時点では、約1千万円の貯蓄があったという。 その後は定職につかず、ネットで株取引をするようになった。
 株取引では生活は成り立たず、赤字になっていたという。
 出頭した際の所持金は約8万8千円。
 金融機関3社ほどからも計数百万円の借金があった。
 このうち100万円は、会社員をしていた今から十数年前に、神奈川県内の金融機関から借り入れ、年利分を返しただけで元本は返済していないという。
 ここ数年は「収入がない」と申告しており、住民税は免除されていた。
 <2008年11月27日:朝日新聞>

 【追記記事:12月4日記載】

 <小泉容疑者の殺人容疑で再逮捕。>

  2008年12月4日。
 元厚生事務次官宅の連続襲撃事件で、埼玉県警と警視庁は4日、無職小泉毅容疑者を殺人と殺人未遂の2つの容疑で再逮捕した。
 また、動機については一貫して、
 「34年前、保健所で殺された飼い犬のあだ討ちをした。」
 「大学に行き、官僚が悪だとわかった。」
 などと供述しているため、検察当局は刑事責任能力を確認するよう起訴前に鑑定留置を地裁に請求する方針とみられる。
 <2008年12月4日:朝日新聞>


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