四国遍路テクテク日記

「四国を歩いて遍路する。」にこだわって平成14年のGWから2年間、5回に分けて歩いた記録を中心に遍路に関するあれこれ。

平成15年12月31日(伊豫から讃岐・第31日目)

2005-08-18 08:58:35 | 第4回(伊予から讃岐)
12月31日(水曜日)
 (第5日目・通算第31日目・歩行距離 38.7km・歩行歩数57,105歩)

 6:30分、起床。

 7:00分、食堂へ行くとまだ準備が出来ていない。
席に座って待っていると、女将さんが恐縮しながら急いでご飯とみそ汁を
持ってきてくれる。
 食べていると、Mさんが来たので昨晩のお礼を言って、納札を渡す。
Mさんは、今日は、これからバスに乗って横峰寺へ行くという。
ここでお別れだ。

 7:15分、ドンヨリとした鉛色の空の中を歩き出す。
国道から山側にある遍路道を歩く。
誰もいない道を黙々と歩く。

 20分ほど歩くと、前方右手にある山の中腹に大きな神社らしい建物が
見えてくる。
どうやら、伊曽野神社の社らしい。
 
 加茂川に架かる伊曽野橋を渡る。
この橋はメローディー橋と書かれており、橋桁が鉄琴になっている。

 橋を渡ると武丈公園で桜の名所らしい。
堤防の上を歩く。

 武丈公園からしばらく歩くと畑の真ん中にお地蔵さんが2体背中を向けて
座っている。
大きなお地蔵さんは頭に毛糸で編んだ帽子を被っているが、
色落ちして灰色になっている。
何とも言えず良い表情なので写真を一枚撮る。

 8:10分、福武新田集会所と書かれた建物の前にベンチが置いてあるので
休憩する。
空は相変わらずドンヨリと曇っており、吹く風が冷たい。
雨具を着たままで休む。
寒いと飲み物もあまりいらない。
靴を脱いで、靴下の上から足を揉む。
これだけでも、足が休まったような気がする。

 一生懸命歩いていると遍路道が国道と合流する。
 9:40分、西条市と新居浜市の境界を過ぎたところにローソンを見つける。
ここで、ちょっと買い物をして休む。

 新居浜市の喜光寺商店街を歩いて、お酒やさんの前を通り過ぎると
「お遍路さん!」と呼び止められた。
後ろを振り返ると男性が私に向かって歩いてきて、
「少ないけれど何か飲み物を買って下さい」と5百円をお接待してくれる。
 「どちらから?」と聞かれたので「札幌からです。」と答えると、
「北海道からですか、私の遠縁に当たるものが旭川にいます。」と教えてくれる。
納札を渡すと、「こんな少しのお金で申し訳ない。」と言われるので、
「そんなことはありません。大事に使わせて頂きます。」といって別れた。
 
 10:45分、喜光寺商店街を過ぎたところで、一休みする。
天気は相変わらずで寒いのだが、お接待を受けたので、気持ちはちょっと
暖かくなっている。

 11:30分、遍路道が国道と合流するところで霧雨が降ってきた。
ちょうど藤茶屋という食べ物屋さんがあったので、
ちょっと早いが昼食を取ることにした。
 かき揚げうどん500円が今日の昼食だ。

 これから先の行程を考えると雲辺寺の手前にある民宿岡田に
泊まれるかどうかで、これからと明日の行程を考えなければいけない。

 民宿岡田さんに電話をして元日の夜に泊めてもらえるか聞いたところ、
元日は休みだといわれる。
そうすると、その先の宿はどうなのか確認すると、観音寺の太興寺そばにある
民宿おおひらは元日もやっている言う。
とりあえず元日の宿をお願いしておく。

 次に、出来るだけ雲辺寺の近くまで行こうと考えると伊予三島に
泊まらなければいけないことになる。
ろんどん荘に電話すると今日は休みだが泊まるだけなら泊めますと言われる。
ちょっと考えて、一応、断わることにした。
伊予三島では別の宿を探すことにした。

 12:00分、お腹が一杯になり、体も温まったので先を急がなければならないが、
霧雨が本降りになっている。
でも、それほど強い雨ではない。
お金を払い、雨具を着て、雨の中に一歩踏み出す。

 民家もないゆっくりとした登り坂で交通量の多い国道を、
時折けたたましくシブキを上げながら走る大型車の巻き上げる風に
菅笠を吹き飛ばされないように歩いていくと、土居町との町境に来る。
ここから遍路道が国道から離れ、民家の中へ続いている。ホッとする。

 土居町にはいると雨も小やみになり、上がってしまう。

 13:00分、熊谷橋を渡り村上食品というお店の前で休憩する。
旧道は、車がほとんど走ってこないのでのんびりと歩ける。
ここから、別格12番延命寺にお参りをすることにした。

 国道を横切って伊予土居駅に向かって歩いていくと左手に延命寺が見えてきた。

 13:55分、延命寺に着く。
小さな本堂にお参りをして、本堂より立派な大師堂に行く。
大師堂の中は広く,お土産やいろいろなものも売っている。
その中に大師像が安置されている。
大師像にお参りを済ませ、掃除をしている方に納経をお願いする。
納経料を差し出すと、「歩きの人から納経代は頂かないことにしている。」と
いわれ、返してくれる。
お接待と思いありがたく受け取る。

 境内のベンチで休みながら、今晩の宿をいよいよ決めなければと思い、
いろいろ考えたが、ろんどん荘に泊めてもらうことにして電話をする。
先ほどと同じように女将さんから泊まるだけならと言われ、お願いする。
 
 延命寺の境内の一角に大きな松の枯れ木が祀ってある。
木の幹が大きく捻じ曲がっている。
いろいろな謂われがあるようだ。

 さて、宿も決まったので、あと11キロほどを元気を出して歩く。
ろんどん荘を目指して歩いていると、後ろから風が吹いて後押ししてくれる。

 15:25分、豊岡橋のところにある仕出し豊田さんの前で休む。
足が痛くなってきており、元気もなくなっている。
空も薄暗く、何とも元気の出しようがない。
 でも、歩かないことには先へ進めない。

 小さな雑貨屋さんがある。
店先に干しイモが売っていたので買うことにした。
お婆さんがでてきて相手をしてくれる。
今日は大晦日なのに何時まで店を開けているか聞いたところ夕方までは
開けているという。
大晦日なのに早仕舞しないのか聞くと、これでも最近は早く閉めているという。
昔は夜の8時頃までは開けていたようだ。

「今晩はろんどん荘かい?」と聞かれたので「そうです。」と答えると、
「あそこはお遍路さんに親切だからね。」と教えてくれる。

 三島の市内に入ってきたようで道路の交通量が増えてくる。
下の方にある国道に降りて、ちょうど交差点で待っているおばさんに
ろんどん荘の場所を聞くと、「私はここの者でないので、あそこにいる人に
聞きなさい。」と近くにいる老人を指さす。
その老人に尋ねると、「この道を真っ直ぐ行った先の交差点を右に曲がると
すぐ角だ。」と教えてくれる。
言われたように歩くとすぐにろんどん荘が見えてきた。
ろんどん荘は大きなビジネスホテルだ。

 16:50分、やっと、ろんどん荘に着いた。
自動ドアの前に立つが、ドアが開かない。
手でドアを開け、玄関の中から「今晩は!」と声を掛けると
元気のいい女将さんが出てくる。
「今日は休みなので、食事なし、風呂なしで泊まるだけで良いのか?」と
言われるので、「それで良いです。」と答え、部屋に案内してもらう。
どこか近くに銭湯がないか聞くと、すぐ近くに健康浴場があると教えてくれて、
サービス券をくれる。
食べ物は、すぐ近くにコンビニも食堂もあると教えてくれる。
宿代を払い、荷物を部屋に置いて、早速、お風呂に入りに行く。

 ろんどん荘は、伊予三島の中心街にあるようだ。
駅も郵便局もすぐそばにある。
海に向かって坂道を降りていくと健康浴場があった。
 大きな駐車場があり、食べ物屋も隣接した立派な施設だ。
風呂には露天風呂もある。
ゆっくり体を温めて英気を養う。
近くのコンビニで明日の朝食を買ってから、ろんどん荘の近くにある
うどん屋で夕食を食べる。

 部屋に戻ると、何もすることがない。
今晩は大晦日、テレビを付け、布団の上でぼんやりしていると、
自然に目が塞がりウトウトしてしまった。

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   大晦日を遍路中で過ごすのは昨年に引き続き2度目となります。
  昨年は、安芸市のビジネスホテル弁長さんで過ごした。
  何とかそれなりの大きい街にたどり着いたのでビジネスホテルがあり
  泊めていただけた。
  これが田舎ならこうはいかないだろう。
   テレビでは、紅白歌合戦、K1グランプリなどをやっているが、
  見ていても、別な世界の出来事のように感じて、内容が思い出せない
  くらいだ。
   心は完全にお遍路モードになっているようだ。

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