ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

ところ変われば

2007年02月19日 | 京都

ええと、実は我が家、お江戸へ戻ることとあいなりました。くすん。くすん。
くすんくすんくすん。
はふ。致し方ございません。せっかく慣れ親しんだ京の都ではございますが。
醍醐寺の桜が見られないかと思うと。仁和寺の桜が見られないかと思うと。広沢の池に、清水寺に、上賀茂、植物園、大覚寺~~~。あ~ん。

残り少ない京の都の生活を、名残り惜しみながら(くすんくすん。)楽しみたいと思いまする。
その一方で。新たな「ちび庭」探し~!!!(ってか、いえさがし。)またまた新幹線で一路お江戸へ。

ああ、なかなかきびしーのお。どこもかしこも建物ばかり。地面がない。(んで資金もない…。)やはり住職近接とはいかぬものよのお~。それでも、ふどーさん屋さんに呆れられながらもねばりにねばって探してみるのでございました。え~、結果は、どーなることやら、乞うご期待。

マンションがどこまでも連なる住宅街を歩く。やはり目に付くのは。
う~む。剪定の仕方が違うのお。なるほどお江戸じゃのう。
街路樹の仕立もかっちり。忌み枝(逆枝等、向きの悪い枝)どころか懐(ふところ)枝(幹に近い小枝)がほとんどない。

マキもマツもかっちり。玉(植木の「仕立物」の葉のひとかたまりの事)が実にはっきりしている。葉は割にみっしりと。実に、人為的、というべきか、「オブジェ的」な感じがする。やわやわ~っ、とした「京透かし」とはずいぶん雰囲気が違います。いかにも、「武家好み」を感じさせます。

これも、湿度が低い&潮風を受ける環境の為せる技なのでしょうね。きっと同じ仕立を京都ですれば、夏はすぐに蒸れてしまうことでしょう。京都の仕立て方は、蒸し暑い夏に少しでも風を感じさせるべく、枝の流れを大切にしたのだろうと思います。それに比べ、お江戸は海からの強風にも枝がびくともしないように。面白いものです。京が「山」ならお江戸は「海」。そーいや、庭主、海と山と代わりばんこに住んでるなあ。でもやっぱり、田舎育ちの庭主は、山の方が好きだな。

久々の門前仲町でお好み焼きを食べてみた。お、「おたふくソース」の味が違う!ちょっと甘さがない。同じ製品でも関東と関西とでは味を変えているものが多いというけど、ほんとなのね~。三久さんのタコやきは、相変わらずおいしかったけど。

新幹線で逆戻り。故郷の山影が見えてくるとほっと体から力が抜けてゆく。滋賀の茫洋たる山なみ。早春の夕日に霞む比叡山。山に抱かれているのは、なんていう安心感だろう。そう。だから、地平線までビルが続く関東平野では、なんだか空にほうり出されてしまいそうな気分になるのだ。(んでもって、お日様が出ていないと方向音痴になりやすい…)

太秦の駅に降り立つ。う~ん。空気があまい。鼻孔の奥に感じる湿度。暗い夜空にちりばめられた星。ここでは雲が地上からの光に白く乱反射することもない。嵐山の上に、月と金星が寄り添うように輝いていました。

☆今日のちび庭気温:2~13℃ 今年はまだクリスマスローズの蕾が見えない…。葉が小さいのは去年がんばって咲いたので燃料切れ(肥料はあげたが…)???それとも寒さが足りないのかな???去年は今頃蕾が上がってたんだけど。(^^;)

「お手洗い」から見た町家

2007年02月06日 | 京都

仕事柄、いろんなお宅にお邪魔します。坪庭や裏庭のお手入れの為に、薄暗い廊下や細い軒下を、長いハシゴをくぐらせたり、剪定枝用のゴミ袋やら道具やらを運び込んだり。

狭い場所の大きな木を剪定するために2階や塀や屋根に登ったり、作業の合間には、お茶をいただいたり、ちょっと尾籠ではございますが、お手洗いなんかも借りちゃったりして。

さて、今日の気になるポイントは、ずばり、町家の「お手洗い」!!!
今時の働き盛り世代である(!)「ちび庭」庭主は、いろいろかなり引っ越しをして来ましたが、生まれてこの方住まってきたのはやはりほとんどが「今時の」賃貸住宅やらマンションやら。どこにでもある間取り、ごく普通のメーカー仕様。

そんな庭主にとって、ここ京都でお邪魔する古いお家の様子はどこも懐かしくもありながら、新鮮そのもの。目からウロコ、とでも言いましょうか。実に、「お手洗いにも風雅あり」なのでございます。まさに、我が家でハマっております某局の番組、「美の壷」はここにもあり!という感じでございましょうか。

え~、そうですね。まず、目からウロコ、について。一番最初にあった戸惑いは、「あれ?カギがない。」えっと~?次が、「電気、どこ?」
もちろん、カギが付いてるのは基本ですが、付いてないお家も割とある(特に古いお家)。間違ってあけたりしないのだろうか???と、いつもドキドキしたりするのですが、どうもたいていは、入口にスリッパが有る無し、で判断しているらしい(恥ずかしくて確認はしていないけれど)。これは、単にお年寄りのお家だからいざという時の為にそうしているのかもしれませんけれども…。

で、カギが付いてないお家は、大抵引き戸です。日本家屋ですもんね。でも、引き戸というのも庭主には新鮮。しかも。お家によっては、この引き戸が非常に凝っているのです。木戸でも桟に細工がしてあったり、クロチクを装飾的に使っていたり、戸自体が薄いしなやかな板を網代編み(カゴ編みみたいな感じ)にして作られていたり。中には、天上から壁から網代編みの所も!!!柱もまるでお茶室のような趣のある木材が使われていたり、床にもピカピカに磨かれた美しい木目が…。

タイル張りの所もありますが、それも昔の丸い石のようなタイルを、単純にちりばめたものから、いろいろと趣向を凝らして貼ってあるところも。カナリの職人技が見受けられたりもします。どこもかしこも、「手作り」の暖かさ。そういえば、玄関の土間の部分で、炭を混ぜた黒漆喰を、まるでタイルを貼ったかのように筋切りした上ピカピカに仕上げた非常に「通」なお宅もありました。

で、明かり。結局スイッチが見つけられなかったお宅もありましたが(!!!)、明かり取りの大きな窓があったり。ただし、ポットン便所の名残りで下の位置にあって、外から見えるんじゃないかと落ち着かないところも…今では、お年寄りのお宅が多いため、ほとんどがウォシュレットにリフォームされています。この、アケビのツルが編み込まれた大きな窓からのお庭の眺めがイイ!また、網代編みの戸から、木漏れ日のように外の光が入って来たり。じつに「通」です。でも、夜はやはり電気は必要なはずだから、きっとどこかにスイッチがあるのよね???

洗面も昔ながらのタイル張りあり、ロールのトイレットペーパーでなくて今ではほとんど見かけなくなった四角い「ちり紙」だったりもするけれど。どのお宅も隅々までとってもきれいにお手入れがされて、清潔なお手拭きが用意されて、お花がちゃんと活けてある。中には、お香まで焚いてあるところも!!!もう、料亭か旅館並みではないかと。はあ~。お手洗いといえど、古い作りといえど、そこにはお寺のつくばいに感じるような清々しい美が。お手洗いも、立派なおもてなし空間なんですねえ…。

庭主もそれなりにきれいにしていたつもりでしたが。丁寧な暮らしって、こういうものなのね。反省すべきだわ。でも、片や、こういう丁寧な生活って、共働きで家人が家にいる時間が非常に少ない現代では、なかなか難しいよな、とも思ったり。掃除はしても、装飾まで気が回らないというか、極力手間をかけないように何にも置いてません。ウチ。

合理的な生活で忘れられてゆくものがいっぱいあるなあ、と感じた庭主でありました。

☆今日のちび庭気温:0~14℃! ほんとに、どうしちゃったんでしょう???ありがたいけど、こんなにあたたかいと、なんだか心配になっちゃいますね~。(^^;)

春のような?

2007年01月18日 | 京都

お正月前のお庭のお手入れで忙しかった年末がウソのように、年を越すと、ぞーえんやもペースダウンします。施工であれば動いても暑くならない今時は有難いところですが、個人宅のお手入れには、雨が降ると苔庭ではどろどろになってしまうので、毎朝毎晩空のご機嫌も伺いつつ。

それでもぼちぼちとお仕事も始まり出したこの数日。良い天気でしたね~。去年とは比べ物にならない暖かさ。確か去年の今頃は、雪を払い除けながら松のお手入れをしていましたっけ。冷え性の庭主には、ありがたい限りです。

お手入れをしていても、なんだかもう、春一番が吹きそうな感じ。ハコベやらハハコグサやらホトケノザやら、こんなに草むしりすることになるなんて。ちび庭ではフキノトウまで出かかって、ちょっとちょっと、まだ早いんじゃないのお?

膨らんでる梅の蕾あり、ちらほらと花をちりばめたユキヤナギもあり、田んぼでは稲株があおあおと新芽を伸ばしています。本当にこのままあったかくなっちゃいそう。そーだったら楽なんだけどなあ?でも、そんな年には春先にどっかり降ったりなんかしてね。そーいや、さっき蚊も飛んでたなあ!

お客さんのお庭に入って楽しいのは、いろんな植物を見つけられること。
絵の先生のお家では、表のとても素晴らしい日本庭園につづいて、「生活の庭」である素朴な花壇のエリアが。

おっ、雑草かと思いきや、まだ花の付いていないプリムラが、まるで田んぼのあぜ道のようにごくごく自然に園路を縁取っている。柿の木の下には落葉に埋もれたイチゴの赤い葉。梅の木の下の、苔に覆われたなだらかな地面には、力強いアカンサス・モリスのつややかな新しい葉。そして、ツワブキの間に時折顔をのぞかせている大きなウチワのような葉っぱは、ヒマラヤユキノシタ。
ごめんね。上の枝を切らなくちゃならないの。踏まないように作業するから。ちょっと我慢しててね。

楽しいなあ~。好きなものを、好きなところに。植物も、まるで自分でその場所を選んだかのように、生き生きと輝いている。本当に、地面から春の気配が立ち上るよう。植えた人の深い愛情が伝わってくるお庭です。

やっぱり、慈しまれた庭というのは、植物達が語りかけてくるような気がするものですね。

古い竹垣も作り直して、あたたかかった今日の作業はおしまい。春、だなあ…。

☆ 今日のちび庭気温 2~12℃ すごい!最低気温2℃台をキープ!
でも、きちんと寒くならないと、咲かない花もあるのよね~。今年はどうかな?(^_^)

あけましておめでとうございます!!!

2007年01月06日 | 京都

と言っているうちに松の内も過ぎようとしているお正月6日目。早いものですね。

昨日は、恩師お2人と母校の2年生の方の京都お庭見学にご一緒させていただきました。ちっともお変わりない先生の笑顔を見ると、ほっとします。私の第1の師匠、T先生。初めて剪定を習ったのがこの先生でした。やっぱり、先生ったらかっこいいなあ。いよっ、親方の中の親方!こわいけど、根本に「愛がある」から、好きなのよね~。えへへ。

そして、学生の憧れの的、いつもチャーミングなフラワーデザインのK先生。どこまでもお優しい懐の深さと、何事にも大変に熱心に向かわれるお姿に、ああ、爪の垢でも煎じて飲むべきだ…(あ、お美しい手にそんなもの、ありませんね。)と、庭主反省する事しきりでございます。

そして、既に会社をお持ちという(!)パワフルなおじさま、好奇心いっぱいに輝いている女の子、今回卒論で「小堀遠州」(江戸時代の茶道/造園家)について書く!という男の子の3名の学生さんがいらっしゃいました。

最初に行ったのは二条城。実際にお庭を管理されているという先生のお知り合いのご説明を受けながら、普段見られないところを見せていただくことができました。

おお、やっぱり、お庭ってすごいわ。「名勝」というのは、伊達についているものじゃないのね。
いつものコースからでは決して気付くことはないだろう石組みの妙。ちょっと違うコース(昔はこちらに建物があって、お庭は本来はここから見るものだった…)から見ると、もう、絶景の一言。
池の形と言い、護岸の石組みと言い、橋の見え方の素晴らしさと言い、同じ庭とは思えない?!すっかり圧倒されてしまいました。何の知識もない人でも、「どっちで写真を取る?」と聞かれたら、絶対こっちの風景を選ぶはず。でも、何をどうしたらこんな庭が作れるんだろう?この絶妙なバランス感。小堀遠州、恐るべし!

そこにさらにT先生と管理の方の解説がつくと眼からぼろぼろとウロコが落ちてゆく…。なんて、なんて贅沢な時間なんでしょう!

石の置き方、池の形の説明はもとより、石橋も時代に連れて厚さが薄くなるとか、中の島の立派な松の木は、もともとは桜の大木であったのが枯れるなどで植え変えられたとか(とすれば、ずいぶん華やかなお庭だったことでしょう…)、橋のたもとの石が京都では大きいとか、とかとか…。
明治、昭和と改造もされてきたようですが、近年お庭の設計図が見つかり、もともとのお庭の形がだんだん明らかになってきたそうです。ダイアナ妃もトム・クルーズも見たと言う、「日本の美」を、もう、端から端までじっくり堪能。

そして、大徳寺は大仙院。(ここは写真撮れないのよね!一番じっくり研究したいところなのに!)

ここは枯山水が有名で、迫力があって好きなお庭です。既に2回ほど来ているのですが、しかし!今回は総毛立ちました。

学校の時から、石を据える際にはよくT先生に「合端(あいば)を見ろ(隣り合う石と石との間のラインを平行に保つこと)」と耳タコに言われていたのですが、分かっていたようで分かっていなかったな、と。

すごいんですよ。このお庭。一見、おそろしくカラフルで多種多様な「名石」が、「流れ」を表すべく無造作に置かれているように見えますが。

なんと、どの石のどの面(つら)を見ても、ほぼどこかしらの石の面と平行になっているのです。側面どころか、天端(てんば:石の頭のライン)も、近くに同じ曲線で繰り返しのリズムを作っている。しかも、単調じゃない。ひええ!

これ、なかなかできることじゃありません。っていうか、石を3つ以上置いたら、どこかの面は角度がずれそうなものでしょう?????だって、自然石よ!どれも全然色も形も質感も違う石よ?!

それが、あんな複雑な置き方をしておきながら、1つの庭をはみだして、隣の庭まで石の合端が合ってるんですよお。こわいよお。あ、あたしにはできない(できないって。)。

いやあ~、写真撮って解説しちゃいたい。はあ~。先生のおっしゃってたことが、初めて分かりました。もう、私にとっては、ピラミッド以上の神秘。ああ、もう。先生って、やっぱり偉大だわ。

う~ん、満腹満腹。頭いっぱいでもう入らない。やっぱり、先生と歩くと楽しいね。またみんなでお庭めぐりしたいなあ。どうもありがとうございました。

ということで、2007年も初まりました、ちび庭日記、本年もどうぞ宜しゅうに~!

☆今日のちび庭気温: 1~13℃ あったかいですね。昨日は何よりお天気が最高でした。そして、今日は久々に友人たちと。うん、よいはじまりだ。(^_^)

もうすぐ冬至。

2006年12月11日 | 京都

ああ、なんて日のたつのの早いこと。ご無沙汰しております。もう、12月でございますね。こうして私も1つ年をとる…。もう、作業をしていて4時を過ぎれば、だんだん手元が見えなくなってくる。大慌てでお片付け。私って、1年で一番暗い時期に生まれたのね~。なのに、寒いのは苦手。誕生日が過ぎた辺りから、またお日様が長くなるのがなんだかとっても嬉しいです。こうしてまた1年が始まるのだわ(って、まだ正月前ですが)。植物達がひそかに次への準備を始める、静かな楽しみの時期です。

我が家の鬱金桜も、もうすっかり美しい赤い葉っぱを落し、枝元にはぷっくりと立派な芽が。春のお花は期待できるかな!さてさて、今年来たこの子は鉢で育てていこうとしている(!)のだけれど、小指ぐらいだった幹が親指ほどの太さに!わざと肥料も控えたのに、そんなに日当たりがよかったのかしら。成長を押さえるために、枝を少し落すべきか…やるなら今の時期。でも、落すほどもの数もないしなあ。来年、もしあんまり伸びるようなら、夏前にちょっと葉っぱを落してみるか???花つきとの兼ね合いを考えると悩ましいところであります。

さてさて、おかげさまで、やっとなんとかカゼがおさまったような。ここんところは、ず~っと松葉むしり続き。もう、年末前ですから、お正月を気持ちよく過ごせるように、と、幾つものお宅に上がり込んでお手入れすることになります。先代、先先代、と大事に受け継がれてきたお庭。ぱらりん、とした星の葉っぱのアオキにも、坪庭の空へぐうっと立ち上がるアセビにも、風格、というか、人格が備わっているようです。「ちょっとごめんね~。」と、枝をそっと傾けていただいて、おそうじ。う~ん。こういうテンポが、好きだな。

まあ、ディープ京都シリーズ、と言えましょうか。どちらも古いお家だけあって、たいへんしっかりもののお施主さん達。職人どもをつつくのもおじょうず。「おきばりやすなあ。この分やと、もう昼には終わるえ?(い~え、まだまだ。そう簡単には。)」「屋根登りついでにそこのとゆ(雨樋)の掃除もやっといてなあ。(ええ、もちろんでございます。)」「あ、ここはかまへんで。ここの掃除はワシやるさかいに。その分安くしといて(ああ、そこにいらっしゃると作業の邪魔なのですう…)」という具合。こんなやり取りを聞くと、お、きたな、とついニヤリとしてしまいます。いずれにせよ、大変に「面倒見のよい」お施主さん達。ちゃんとよく仕事を見てくださっています。そしてお茶菓子などの心配りにもそつがない(ありがたい!)。こちらもその分仕事に力が入るというものです。

夕方。ようやくお手入れが終わって見上げた松は、空が透けてきれいさっぱり。坪庭も、明るくなりました。きっと、これから降り出す雪も映えるはず。また1年、元気に育ってほしいなあ。

☆ 久々今日のちび庭気温:2~18(???)℃ 晴。
写真は、渡月橋と虹。すてきでしょ。紅葉が終わってもまだ観光客であふれているのはびっくり。ライトアップがお目当ての方々でしょうか?
明日は雨だって~。くすん。う~ん、雪とどっちがいいかなあ…〃(' x ' )〃