「アヴェロン地方の思い出 その弐
君の名は」
アヴェロン地方に滞在した夏。今から二年前のその夏は、私には特別な出会いが訪れた。
アヴェロン地方の
Saint-Affrique(訳すと
聖なるアフリカ となるのだろうか )に私たち一行は滞在していた。
ここは かの有名な
ロックフォールチーズが出来る街に近い。毎食必ずロックフォールチーズが提供されていたものだ。
この小さく静かな町で日課の仕事以外は、私は開いた時間はほとんど、この町の小さな商店街をぶらつくことで時間をやり過ごしていた。
何度か繰り返し通っていると、毎回必ずすれ違う
気になる人物に気がついた。
彼女の風貌は それこそ
アフリカの未開の原野から飛び出してきたかのような、そして髪は生まれてこの方
一度もとかれたことがないかのようだ。さらに
上半身は裸のままだ。
私はおそるおそる 彼女の実態を知る という男の人に彼女のことを尋ねてみた。
「 彼女は世界中で名の知れた人物なんです」 その男性は確信を持ってこう答えた。
彼女の一風変わった風貌とは裏腹に、彼女のまなざしにはなんともいえない魅力を感じた。
この町を去る日、私は意を決して、彼女にパリに来てくれませんか。と提案してみた。
彼女は快く受け入れてくれ、その日から今日まで、パリでの私の素晴らしい同居人となってくれている。
彼女を見ると、どんな嫌なことが起こっても軽く笑い飛ばせる。
彼女はその愛嬌のある眼差しで、人の心の重荷を軽くする、というパワーを持っているのだ。
彼女の名は
エルフ。 妖精小悪魔だ。 彼女が 私のキャラクターモデルとなっていったことはいうまでもない。