昨晩から降り続いた雨は午前中には上がった。
昨日軽く洗車をしただけのケンメリ。
薄曇りの中恐る恐るボディカバーをはぐると大して汚れていない様子。
カバー自体も既に乾き始めており、お約束のリヤスポイラー部分の水溜りも見受けられない。
それでもリヤガーニッシュ周りには水滴がだいぶ残っており、雑巾でそれらを念入りに吸い取る。
そんな作業に熱中しそうになるが、ルーフ越しにケンメリの出庫を待つ奥の姿が。
今日は横浜の大学時代の友人宅へお邪魔しに行くのだ。
過去に何度か行っているのだが、先日の結婚式のお礼(来ていただいた方全てにお礼参りはできませんが)
も兼ねて、友人の1歳半過ぎの娘さんに会いに行くのが奥共々楽しみとなっている。
あまり早くお伺いするのも失礼なので、余裕を持って午後イチくらいのタイミングで向かうことに。
お昼前、予定時刻よりもさらに余裕を持って自宅を出発。
先ほどリヤまわりを雑巾で拭いたが、走り始めるとルーフのモールから水滴が水芸の如く流れでてきては
モールの下周りに広がっているであろう錆を連想して不安な気持ちになる。
穴が空いて室内へ雨水が侵入してさらに陰鬱な気持ちになる前に、早めに対処したいところだが
現実問題長期の入庫の目処はまだまだ立っていない。
こうして雨上がりに走ることで、わずかでも錆の進行を抑えられればいいのだが、
既にモール付近で旧車乗り共通の悩みの種とも言えるプクプク(錆で塗膜ごと膨れ上がっている状態)が出ているので、
その進行はかなりのものと推測される。
機関の方は相変わらず絶好調で、祭日の午前中の道路をすいすい走ることができる。
目的地に向かうのはいつもどおり第三京浜を使うルート。
多摩川沿いの道を使っていたが、こちらは平日祭日に関係なく渋滞が激しいため、最近では
登戸駅辺りから南武線に沿うような形で京浜川崎入り口を目指すルートを選択している。
信号はあるものの車両は右に左に別れていくので右折車線の無い一本道で右折待ちに捕まって信号が2度変わるくらいまで待たされる事を考えれば
時間的にも精神的にもこちらのほうがスムーズに到達できる。
途中から府中街道に合流しそのまま第三京浜高架下に入る。
第三京浜入口を示す緑の看板を目印に左折してすぐ右折する形で料金所へと入った。
先日のヒューズ短絡以来の高速道路料金所だったが、問題なく通過。
バーが開くのを確認してからケンメリを進ませた。
アプローチから本線へ合流。
車の数はそれほど多くなく、また十二分に余裕のある加速性能も携えているので
すんありと走行車線へ。そこからすぐに第二車線、追越車線へと入った。
訪問予定時刻には全然余裕がある上、途中の保土ヶ谷PAで昼食の予定もあるので急ぐ必要はないのだが、
高速道路を走れる時は(法規に触れない範囲で)ケンメリを元気良く走らせたい、そんな気持ちがついつい行動に現れてしまう。
しかし4速で3500回転辺りまで回っているところでアクセルを緩めることになった。
目の前に車がいたのでは流石にこれ以上踏み込むわけには行かない。
渋滞しているのかと思いきやそうではないようだ。
目の前には藤色のレクサス。その前には薄いブルーのハッチバック軽自動車。
その前は・・・ガラガラ。
隣の第二走行車線にはセダンとステーションワゴンっぽいのが数台連なって走っている。
隣の車群を抜く・・どころか、ほぼ同じ速度で併走する形に。
追越車線であれば、車を追い越すなり、走行車線に戻るなりすればいいと思うが、この先頭を走る軽自動車はそこまでの思慮がないようで、延々マイペースで追越車線を塞いでいた。
とりあえず、となりの車線の車群を抜くことにはなったが、軽自動車を先頭とした一団の隊列はそのまま。
そんな速度なので我がケンメリの後方にも濃緑?濃紺のボルボがビタ付してきたのをバックミラーで確認した。
ボルボのドライバーがサングラスを掛けているところまで見える。
そこまで近づいて万一の時に対処できるのか不安だが、安全を売り物とするメーカーの車だから過信しているのかはたまた何も考えていないのか。
ぶつけても自分だけは無傷の可能性を信じているとしたら困った思考の持ち主だ。
いくらビタづけされたところで目の前に車がいるのでどうにもならない。
それとも自分が避けた後は、目の前のレクサスにビタ付して・・と煽り倒していくつもりなのか。
そのうち目の前のレクサスが車線を変更し走行車線から軽自動車を抜いていった。
それに呼応するかのように後ろのボルボも車線変更しレクサスに続く。
こうして、軽自動車の後ろにケンメリがつく形となった。
追越車線を延々と塞ぐドライバーのご尊顔でも拝見しようかと、ゆっくり車間距離を縮めてサイドミラー越しに見てみると
まあ在り来りなおっさん(自分もおっさんですが自分よりは年上のよう)。
後ろのシートには高校生~大学生くらいの男の子がけだるそうに横向きになってるのがシルエットで判る。
助手席ははっきり見えないが女性のようだったので奥さんなのだろう。
一見して普段は運転をしていない、少なくとも頻繁に高速に乗る機会にないと思われる。
それを確認した後、再び車間距離を取る。
こちらも先程のレクサスやボルボに倣って走行車線側から追い越すべきか悩むが、港北インターを過ぎた辺りで、やっと軽自動車が自分の置かれた状況を理解したのか
左ウィンカーを出して、走行車線へと戻っていった。
やれやれ、交通法規を犯さずに済んだと安心して加速。
その刹那、左ウィンカーを出したままの軽自動車が追越車線へと戻ってきた。
(ばかっ!)
声に出す前にステアリングをしっかり固定。
助手席の奥が「ひっ」とか「きゃっ」とか言葉に鳴らない短い悲鳴をあげる。
バキンッ!
と車をぶつけたとき特有の嫌な金属音が響く、と同時にケンメリの車体が右へと押された。
軽自動車とは言え800kgからの塊が100km/h近い速度で接触してきたので何事も無く・・というわけには行かなかった。
右側のフェンダーミラーが、中央分離帯に生えている草木をバサバサッと叩く。
と思ったら
(ガッ)
と短い衝突音と共にガードレール上の突起物(反射板?)にミラーがヒット。
明後日の方向を向いたフェンダーミラーはその役目を果たしそうにない。
そんな状況下、ブレーキは踏まずにゆっくりとアクセルを戻しながら体制を立て直し真っ直ぐ走れるようになった。
隣車線に車がいないことを確認しながら、一応ウィンカーを出して(ハザード出せばよかったか)なんとか路肩に停車。
ぶつけてきた件の軽自動車にトランクに積んである十字レンチを投げつけてドライバーを引きずり出し、どうやって弁償させるかと考えていたが残念ながら難しい状況だった。
フェンダーミラーの曲がるのを確認している頃、後方からは激しいスキール音。
こちらにぶつかった軽自動車がパニックブレーキを起こして、さらにハンドルを左に曲げたため斜めになっていた。
そこへ、第一走行車線から車線変更してきた車(これを避けようとして追越車線へ来たのか)と接触。
右向きになったところへ、ケンメリの後方にいた白いワンボックス(これまた車間距離が短かった)とヒット。
その瞬間をバックミラーで見ているとぶつかった衝撃で砕け散ったガラスが、スキーでアイスバーンを削ったときのように放射状に宙に舞い、陽光に反射しているのが判る。
クラクションとスキール音が断続的に続いてこちらが路肩にケンメリを停めた頃には軽自動車はフロントがめちゃめちゃに潰れた状態で、第一走行車線と第二走行車線にまたぐ形で止まっていた。
ケンメリの助手席ドアには薄い青の塗料が一直線に。
ウィンドウにはミラーが当たったのか、ミラーの塗料が付着していた。
右側フェンダーミラーは傷こそ付いていたもののよく根元から折れなかったなあと思いつつ、
フロントオーバーフェンダーにはガードレールのものだろうか、こすり傷が一面についていた。
タイヤのサイドウォールも接触したような跡が一面に付いており、ホイールにいたってはリムが切削されたようになっている。
助手席の奥は顔面蒼白のまま固まっており、小刻みに震えていたが外傷はなさそうだ。
かくいう自分も車から降りてからガクガク足が震えてうまく立てない。
当事者たる軽自動車の方は遠巻きに見て原型をとどめているとは思えなかった。
衝突安全基準が設けられているとは言え、ここまでの複合衝突には耐えられるわけもなく、
フロント周りがそっくりない?状況のようだ。
室内はガラスが粉々で中までは見えないが、前席からも後席からも人が下りてくる様子どころか動いてる様子もない。
弁償どころか、今後の家族もろともの人生も全て放棄してしまった状況のようだ。
既に誰かが通報しているかもしれないが、リヤシートのカバンから携帯を取り出して震える手で110番。
楽しいはずの友人宅への訪問はキャンセルとなり、これから神奈川県警による事故検証と取り調べが始まるかと思うと、なんともやりきれない気持ちになる。
・・・という妄想をしたわけですが(すみませんすみませんすみません)
軽自動車が左車線に行った後にウィンカー点けたまままた追越車線に戻ってきたのは本当で、
こちらはクラクションを鳴らす前にステアリングを握って、ケンメリ、軽自動車、セダンと二車線に3台が並ぶ形に。
追い越しざまになってやっとクラクションを鳴らしたのですが果たして軽自動車に届いていたのやら。
キチガイも不慣れなドライバーも似たようなものだと思いながら、軽自動車をパスして一刻も離れたくなって加速。
後ろにいたトヨタの白いワンボックスはそれまでケンメリの後ろにつけていたのが急に車間を開けるように、というか見えなくなった。
その軽自動車がその後どうなったかは不明だが、とりあえず第三京浜で事故があったという情報はなかったので
今日のところはなんともなかったのかもしれないが、あんな周囲が見えていない運転を繰り返していれば遠からず事故を起こすに違いない。
そして、追越車線を延々と塞ぐような車の近くに走っているとこちらが巻き込まれてしまう可能性が十二分にあることもわかった。
妄想で書いた文章だが、接触していれば十分妄想が現実になっていた可能性もあるわけで。
ただ以前高速道路でスピンした時と同様に今回も無傷だったのは、単に運がいいだけではない、
なんというか・・・うまく言えないが、このケンメリだから助かったのかもしれないとオカルトめいたことを考えずにいられない。
何事もなかったとは言え、実際問題軽自動車が超接近してきたことは事実で、それを助手席側でかぶりつきに見ていた奥は相当驚いた様子。
「びっくりした~」
という声にいささかの緊張が含まれていた。
一人罵声を上げたいところだが、当然届くわけもないので、速度を緩めて文句を言いたいが、
既にバックミラーにも写っていない。
それだけの速度で離脱したのを忘れていた。
程なく保土ヶ谷料金所を示す看板が見えてきたので、第一走行車線へ移りエリア内へと入った。
奥には気取られないようにしていたが、もし先程の車が保土ヶ谷パーキングに入ってくるようであれば
こちらとしては一言二言文句を言わないと気が済まない心境で沸々と燃え上がるものが。
しかし接触もなく無事だったことを考えればトイレに行ってションベンと一緒に水に流したほうが精神的にも影響は少ないかもしれない。
そう思ってトイレに行った後は気をとりなおしてランチタイムと洒落込むのである。
食事をするとだいぶ落ち着くもので、ケンメリに乗り込みしばし食休み。
訪問予定時刻にはまだまだ余裕があったので、車内でラジオを聞きながら待っていると、小さい男の子がお父さんと手をつないで、ケンメリのフロント側へ来た。
「これ、すごいーかっこいいねー!」
と話す声が換気用に開けておいた窓から聞こえてきた。
こそばゆい気持ちでそれを眺めていると、今度はリヤに回って眺めている。
お父さんのほうも何か言っていたようだが(のこちらに気を使っているのか)小声で聞こえなかった。
奥が買ってきたりんごジュースを一口飲んで出発。
保土ヶ谷から今度は横浜新道に入る。
軽快な加速で進んだ後はすぐに保土ヶ谷バイパスへのジャンクションに。
保土ヶ谷バイパスは南本宿のインターで降りて下道を進んで友人宅へと無事に到着した。
友人宅へ到着後は、一家揃って歓迎を受け、予定通り友人の娘子にプレゼントを渡したら
可愛らしい所作に和みながらあっと言う間の時間が過ぎた。
夕刻になって友人宅を後にすると再び保土ヶ谷バイパスへ。
既にテールランプが眩しい頃で、横浜新道方向は渋滞気味だった。が、横浜新道には戻らず、今度は狩場線へ入る。
狩場線を走って阪東橋インターで降りる。
右に左に走って向かった先は横浜中華街。
コインパーキングにケンメリを停めて久しぶりに夜の中華街を歩いた。
と言ってもここに来れば大抵同じコースを辿るが、今の季節だと肉まんがさらに美味しく感じられるが、杏仁アイスは遠慮したいところ。
代わりにごま団子を食べてお腹が膨れたところで、月餅とシュウマイを買って1時間足らずで中華街を後にした。
帰りは横浜公園から再び高速に乗り、そこから第三京浜へ向かう。
相変わらず休祭日の他車の動きはトリッキーの極みで、来る時のようなヒヤリ体験は遠慮したいので、
動きの不審な車は極力近づかないようにした。
第三京浜に入り、渋滞もなく快走。
都筑を過ぎた辺りで走行車線へ戻り、川崎出口で降りる準備をする。
降り口付近から既に渋滞しており、料金所先の信号が3回ほど変わるまで先に進めなかった。
戻りのルートは行きと同じで、帰る時もさほど渋滞もなく無事に見覚えのある我が家付近まで到達。
往路のアクシデント未遂から無事に生還できたことを喜びつつ、あの軽自動車も無事に帰れていればよいなあと思いながら
ケンメリを駐車場に停めて家へと戻った。
昨日軽く洗車をしただけのケンメリ。
薄曇りの中恐る恐るボディカバーをはぐると大して汚れていない様子。
カバー自体も既に乾き始めており、お約束のリヤスポイラー部分の水溜りも見受けられない。
それでもリヤガーニッシュ周りには水滴がだいぶ残っており、雑巾でそれらを念入りに吸い取る。
そんな作業に熱中しそうになるが、ルーフ越しにケンメリの出庫を待つ奥の姿が。
今日は横浜の大学時代の友人宅へお邪魔しに行くのだ。
過去に何度か行っているのだが、先日の結婚式のお礼(来ていただいた方全てにお礼参りはできませんが)
も兼ねて、友人の1歳半過ぎの娘さんに会いに行くのが奥共々楽しみとなっている。
あまり早くお伺いするのも失礼なので、余裕を持って午後イチくらいのタイミングで向かうことに。
お昼前、予定時刻よりもさらに余裕を持って自宅を出発。
先ほどリヤまわりを雑巾で拭いたが、走り始めるとルーフのモールから水滴が水芸の如く流れでてきては
モールの下周りに広がっているであろう錆を連想して不安な気持ちになる。
穴が空いて室内へ雨水が侵入してさらに陰鬱な気持ちになる前に、早めに対処したいところだが
現実問題長期の入庫の目処はまだまだ立っていない。
こうして雨上がりに走ることで、わずかでも錆の進行を抑えられればいいのだが、
既にモール付近で旧車乗り共通の悩みの種とも言えるプクプク(錆で塗膜ごと膨れ上がっている状態)が出ているので、
その進行はかなりのものと推測される。
機関の方は相変わらず絶好調で、祭日の午前中の道路をすいすい走ることができる。
目的地に向かうのはいつもどおり第三京浜を使うルート。
多摩川沿いの道を使っていたが、こちらは平日祭日に関係なく渋滞が激しいため、最近では
登戸駅辺りから南武線に沿うような形で京浜川崎入り口を目指すルートを選択している。
信号はあるものの車両は右に左に別れていくので右折車線の無い一本道で右折待ちに捕まって信号が2度変わるくらいまで待たされる事を考えれば
時間的にも精神的にもこちらのほうがスムーズに到達できる。
途中から府中街道に合流しそのまま第三京浜高架下に入る。
第三京浜入口を示す緑の看板を目印に左折してすぐ右折する形で料金所へと入った。
先日のヒューズ短絡以来の高速道路料金所だったが、問題なく通過。
バーが開くのを確認してからケンメリを進ませた。
アプローチから本線へ合流。
車の数はそれほど多くなく、また十二分に余裕のある加速性能も携えているので
すんありと走行車線へ。そこからすぐに第二車線、追越車線へと入った。
訪問予定時刻には全然余裕がある上、途中の保土ヶ谷PAで昼食の予定もあるので急ぐ必要はないのだが、
高速道路を走れる時は(法規に触れない範囲で)ケンメリを元気良く走らせたい、そんな気持ちがついつい行動に現れてしまう。
しかし4速で3500回転辺りまで回っているところでアクセルを緩めることになった。
目の前に車がいたのでは流石にこれ以上踏み込むわけには行かない。
渋滞しているのかと思いきやそうではないようだ。
目の前には藤色のレクサス。その前には薄いブルーのハッチバック軽自動車。
その前は・・・ガラガラ。
隣の第二走行車線にはセダンとステーションワゴンっぽいのが数台連なって走っている。
隣の車群を抜く・・どころか、ほぼ同じ速度で併走する形に。
追越車線であれば、車を追い越すなり、走行車線に戻るなりすればいいと思うが、この先頭を走る軽自動車はそこまでの思慮がないようで、延々マイペースで追越車線を塞いでいた。
とりあえず、となりの車線の車群を抜くことにはなったが、軽自動車を先頭とした一団の隊列はそのまま。
そんな速度なので我がケンメリの後方にも濃緑?濃紺のボルボがビタ付してきたのをバックミラーで確認した。
ボルボのドライバーがサングラスを掛けているところまで見える。
そこまで近づいて万一の時に対処できるのか不安だが、安全を売り物とするメーカーの車だから過信しているのかはたまた何も考えていないのか。
ぶつけても自分だけは無傷の可能性を信じているとしたら困った思考の持ち主だ。
いくらビタづけされたところで目の前に車がいるのでどうにもならない。
それとも自分が避けた後は、目の前のレクサスにビタ付して・・と煽り倒していくつもりなのか。
そのうち目の前のレクサスが車線を変更し走行車線から軽自動車を抜いていった。
それに呼応するかのように後ろのボルボも車線変更しレクサスに続く。
こうして、軽自動車の後ろにケンメリがつく形となった。
追越車線を延々と塞ぐドライバーのご尊顔でも拝見しようかと、ゆっくり車間距離を縮めてサイドミラー越しに見てみると
まあ在り来りなおっさん(自分もおっさんですが自分よりは年上のよう)。
後ろのシートには高校生~大学生くらいの男の子がけだるそうに横向きになってるのがシルエットで判る。
助手席ははっきり見えないが女性のようだったので奥さんなのだろう。
一見して普段は運転をしていない、少なくとも頻繁に高速に乗る機会にないと思われる。
それを確認した後、再び車間距離を取る。
こちらも先程のレクサスやボルボに倣って走行車線側から追い越すべきか悩むが、港北インターを過ぎた辺りで、やっと軽自動車が自分の置かれた状況を理解したのか
左ウィンカーを出して、走行車線へと戻っていった。
やれやれ、交通法規を犯さずに済んだと安心して加速。
その刹那、左ウィンカーを出したままの軽自動車が追越車線へと戻ってきた。
(ばかっ!)
声に出す前にステアリングをしっかり固定。
助手席の奥が「ひっ」とか「きゃっ」とか言葉に鳴らない短い悲鳴をあげる。
バキンッ!
と車をぶつけたとき特有の嫌な金属音が響く、と同時にケンメリの車体が右へと押された。
軽自動車とは言え800kgからの塊が100km/h近い速度で接触してきたので何事も無く・・というわけには行かなかった。
右側のフェンダーミラーが、中央分離帯に生えている草木をバサバサッと叩く。
と思ったら
(ガッ)
と短い衝突音と共にガードレール上の突起物(反射板?)にミラーがヒット。
明後日の方向を向いたフェンダーミラーはその役目を果たしそうにない。
そんな状況下、ブレーキは踏まずにゆっくりとアクセルを戻しながら体制を立て直し真っ直ぐ走れるようになった。
隣車線に車がいないことを確認しながら、一応ウィンカーを出して(ハザード出せばよかったか)なんとか路肩に停車。
ぶつけてきた件の軽自動車にトランクに積んである十字レンチを投げつけてドライバーを引きずり出し、どうやって弁償させるかと考えていたが残念ながら難しい状況だった。
フェンダーミラーの曲がるのを確認している頃、後方からは激しいスキール音。
こちらにぶつかった軽自動車がパニックブレーキを起こして、さらにハンドルを左に曲げたため斜めになっていた。
そこへ、第一走行車線から車線変更してきた車(これを避けようとして追越車線へ来たのか)と接触。
右向きになったところへ、ケンメリの後方にいた白いワンボックス(これまた車間距離が短かった)とヒット。
その瞬間をバックミラーで見ているとぶつかった衝撃で砕け散ったガラスが、スキーでアイスバーンを削ったときのように放射状に宙に舞い、陽光に反射しているのが判る。
クラクションとスキール音が断続的に続いてこちらが路肩にケンメリを停めた頃には軽自動車はフロントがめちゃめちゃに潰れた状態で、第一走行車線と第二走行車線にまたぐ形で止まっていた。
ケンメリの助手席ドアには薄い青の塗料が一直線に。
ウィンドウにはミラーが当たったのか、ミラーの塗料が付着していた。
右側フェンダーミラーは傷こそ付いていたもののよく根元から折れなかったなあと思いつつ、
フロントオーバーフェンダーにはガードレールのものだろうか、こすり傷が一面についていた。
タイヤのサイドウォールも接触したような跡が一面に付いており、ホイールにいたってはリムが切削されたようになっている。
助手席の奥は顔面蒼白のまま固まっており、小刻みに震えていたが外傷はなさそうだ。
かくいう自分も車から降りてからガクガク足が震えてうまく立てない。
当事者たる軽自動車の方は遠巻きに見て原型をとどめているとは思えなかった。
衝突安全基準が設けられているとは言え、ここまでの複合衝突には耐えられるわけもなく、
フロント周りがそっくりない?状況のようだ。
室内はガラスが粉々で中までは見えないが、前席からも後席からも人が下りてくる様子どころか動いてる様子もない。
弁償どころか、今後の家族もろともの人生も全て放棄してしまった状況のようだ。
既に誰かが通報しているかもしれないが、リヤシートのカバンから携帯を取り出して震える手で110番。
楽しいはずの友人宅への訪問はキャンセルとなり、これから神奈川県警による事故検証と取り調べが始まるかと思うと、なんともやりきれない気持ちになる。
・・・という妄想をしたわけですが(すみませんすみませんすみません)
軽自動車が左車線に行った後にウィンカー点けたまままた追越車線に戻ってきたのは本当で、
こちらはクラクションを鳴らす前にステアリングを握って、ケンメリ、軽自動車、セダンと二車線に3台が並ぶ形に。
追い越しざまになってやっとクラクションを鳴らしたのですが果たして軽自動車に届いていたのやら。
キチガイも不慣れなドライバーも似たようなものだと思いながら、軽自動車をパスして一刻も離れたくなって加速。
後ろにいたトヨタの白いワンボックスはそれまでケンメリの後ろにつけていたのが急に車間を開けるように、というか見えなくなった。
その軽自動車がその後どうなったかは不明だが、とりあえず第三京浜で事故があったという情報はなかったので
今日のところはなんともなかったのかもしれないが、あんな周囲が見えていない運転を繰り返していれば遠からず事故を起こすに違いない。
そして、追越車線を延々と塞ぐような車の近くに走っているとこちらが巻き込まれてしまう可能性が十二分にあることもわかった。
妄想で書いた文章だが、接触していれば十分妄想が現実になっていた可能性もあるわけで。
ただ以前高速道路でスピンした時と同様に今回も無傷だったのは、単に運がいいだけではない、
なんというか・・・うまく言えないが、このケンメリだから助かったのかもしれないとオカルトめいたことを考えずにいられない。
何事もなかったとは言え、実際問題軽自動車が超接近してきたことは事実で、それを助手席側でかぶりつきに見ていた奥は相当驚いた様子。
「びっくりした~」
という声にいささかの緊張が含まれていた。
一人罵声を上げたいところだが、当然届くわけもないので、速度を緩めて文句を言いたいが、
既にバックミラーにも写っていない。
それだけの速度で離脱したのを忘れていた。
程なく保土ヶ谷料金所を示す看板が見えてきたので、第一走行車線へ移りエリア内へと入った。
奥には気取られないようにしていたが、もし先程の車が保土ヶ谷パーキングに入ってくるようであれば
こちらとしては一言二言文句を言わないと気が済まない心境で沸々と燃え上がるものが。
しかし接触もなく無事だったことを考えればトイレに行ってションベンと一緒に水に流したほうが精神的にも影響は少ないかもしれない。
そう思ってトイレに行った後は気をとりなおしてランチタイムと洒落込むのである。
食事をするとだいぶ落ち着くもので、ケンメリに乗り込みしばし食休み。
訪問予定時刻にはまだまだ余裕があったので、車内でラジオを聞きながら待っていると、小さい男の子がお父さんと手をつないで、ケンメリのフロント側へ来た。
「これ、すごいーかっこいいねー!」
と話す声が換気用に開けておいた窓から聞こえてきた。
こそばゆい気持ちでそれを眺めていると、今度はリヤに回って眺めている。
お父さんのほうも何か言っていたようだが(のこちらに気を使っているのか)小声で聞こえなかった。
奥が買ってきたりんごジュースを一口飲んで出発。
保土ヶ谷から今度は横浜新道に入る。
軽快な加速で進んだ後はすぐに保土ヶ谷バイパスへのジャンクションに。
保土ヶ谷バイパスは南本宿のインターで降りて下道を進んで友人宅へと無事に到着した。
友人宅へ到着後は、一家揃って歓迎を受け、予定通り友人の娘子にプレゼントを渡したら
可愛らしい所作に和みながらあっと言う間の時間が過ぎた。
夕刻になって友人宅を後にすると再び保土ヶ谷バイパスへ。
既にテールランプが眩しい頃で、横浜新道方向は渋滞気味だった。が、横浜新道には戻らず、今度は狩場線へ入る。
狩場線を走って阪東橋インターで降りる。
右に左に走って向かった先は横浜中華街。
コインパーキングにケンメリを停めて久しぶりに夜の中華街を歩いた。
と言ってもここに来れば大抵同じコースを辿るが、今の季節だと肉まんがさらに美味しく感じられるが、杏仁アイスは遠慮したいところ。
代わりにごま団子を食べてお腹が膨れたところで、月餅とシュウマイを買って1時間足らずで中華街を後にした。
帰りは横浜公園から再び高速に乗り、そこから第三京浜へ向かう。
相変わらず休祭日の他車の動きはトリッキーの極みで、来る時のようなヒヤリ体験は遠慮したいので、
動きの不審な車は極力近づかないようにした。
第三京浜に入り、渋滞もなく快走。
都筑を過ぎた辺りで走行車線へ戻り、川崎出口で降りる準備をする。
降り口付近から既に渋滞しており、料金所先の信号が3回ほど変わるまで先に進めなかった。
戻りのルートは行きと同じで、帰る時もさほど渋滞もなく無事に見覚えのある我が家付近まで到達。
往路のアクシデント未遂から無事に生還できたことを喜びつつ、あの軽自動車も無事に帰れていればよいなあと思いながら
ケンメリを駐車場に停めて家へと戻った。