涼の六様

2008-08-25 00:18:48 | ・講演・セミナー・シンポ
★特別展 日本の建物 江戸東京たてもの園
★第2部「建物と夏」第3章 涼の六様
展覧会図録冊子および米山先生ミュージアムトークメモより

★6つのキーワードが誘う「涼」の楽しみ 
1.しつらい 建具と家具
2.中間領域 縁とヴェランダ
3.日除け 庇/ルーバー/ブリーズソレイユ
4.探求
5.水庭
6.涼を生む

1.石見銀山世界遺産を構成する熊谷家住宅(重要文化財)1801年に建築された商家
夏とその他の季節で建具をかえる 代々行われてきた知恵
簀戸(すど)→竹で編んだ戸や簾を障子の枠中にはめこんだ戸
大阪格子または大阪障子 けんどん→タテに上げ下げ
畳に網代が敷かれている

2.内と外を 建物と庭のつながり 建物からいかに庭を美しく眺めるか
★森鴎外・夏目漱石が暮らした住宅→
千駄木町から犬山市 博物館明治村移築・公開
★日本最古の洋風建築 旧グラバー邸→クローバー型形状 三方にヴェランダ配す
★明治天皇命名→泉布観→ヴェランダ・コロニアルスタイル トスカナ式円柱
★旧岩崎家庭園洋館 南面のみヴェランダ 1階トスカナ 2階イオニア
上下でスタイルをかえたコンドルのヴェランダは美しく天下一品!
★内部化されたヴェランダ→旧ハンター邸 サンルーム→旧鳩山一郎邸

◎縁側→ヴェランダ→三方→合理化→南だけ
 吹き放ちは冬寒い→内部化→ガラス窓→サンルーム
○高橋是清邸2階 近代和風 内部化されたヴェランダ逆輸入か

3.「日本建築が古来から特質としてきた日除け深い軒の出には、
深遠な陰影をもたらす効果と同時に、夏の日差しから建物内部を守る目的があった。」

★旧山邑邸1924 フランク・ロイド・ライト 「草原住宅」
深い庇 ルーバーの表現がきわめて効果的 光を取り入れつつ遮る
コントロール→半減 四分の一など 外観デザインのための飾りか!?
◎ライトは建てる前に土地をしっかりとみる。土地の起伏をかえることなく・・

モダニズムは垂直に壁が立ち上がる
★ル・コルビュジェ→ブリーズソレイユ(仏語で「日除け」の意)
デザイン論として確立 ルーバーの持つ意匠的可能性を飛躍的に高めた
黄金比に基づくプロポーション→日除け機能の美しい壁→ファサード構成

→★日本でやろう!! コルビュジェ弟子 坂倉準三 直裁的に引用
★塩野義製薬研究所1961 大阪市福島区
★神奈川県庁舎1966
 コル直伝のブリーズソレイユがもたらす造形的効果と陰影の妙が冴える

★丸の内都庁舎 丹下健三 材を鉄に置き換え 軽さ シックさ表現
 ルーバーを介して防音効果など 一石二鳥!!

★出雲大社庁の舎(ちょうのや) 出雲大社の管理棟 菊竹清訓1963
 プレストレス・プレキャスト・コンクリート 柱のない内部空間を実現
 壁に仕込まれたルーバー 光がうつろいでゆく精妙なドラマを生み出す

★パレスサイドビル 林昌二 (イマイチのマイ写真 カメラレンズに雨粒が)↑
 水平ルーバーをどう支えるか→ 縦材が雨樋になっている
 お椀のようなカップが雨を受ける 雨の流れが眼にみえる
 日本の夏の表情にいかす なんとすばらしい! 転じれば豊かなデザインになる