~1990年3月*タヒチ・イチ~
タヒチ・イチというのはタヒチ島の南東部にくびれてくっついたような部分です。
くびれた所はタラバオという町で、
ここから北部に行く道と南部に行く道に分かれます。
特に観光名所があるという情報はなかったのですが、
とりあえず時間はあるので、パペーテのような都会から離れて、
田舎のタヒチも見てみたかったのです。
二日前にタラバオに近い宿を見つけて、こちらに来て、
前日はタヒチイチの北部をル・トラックで終点まで行ったので、
次は南部の終点まで行ってみようと思いました。
宿の奥さんの話ではその町はティアフポーといい、
きれいなお花畑があるとか・・・
さぁ出発と思っていた日は午前中雨で、午後から出掛けてみたけれど、
待てどもル・トラックは来ません。もとから時刻表などないのですが。
ちょうど宿の奥さんが車で通りかかり、
途中まで乗せてくれたのですが、
結局そこから先には歩くのも無理がありそうなので、
戻ることにしました。・・・が
行きのル・トラックがないということは、戻りのル・トラックもないのではないですか
そんな単純なことも忘れていて、
歩くしかない・・・10㎞以上はあるだろうな~・・・と
へこんでおりましたら、
青年が運転するミニクーペが拾ってくれました。
ちなみにこのあたりが何という町だかもわかっていませんでしたが、
お店も見当たらず、道の脇は森のようになっていて、
人も車もあまり通らないような感じだったので、
ヒッチハイクで乗せてもらえて、助かりました。
ひょっとしてこちらの方面には、ル・トラックはほとんど走っていないのでは・・・
乗る人がいなければ、路線として成り立たないでしょうから。
それはわかりませんが、宿の奥さんは何も言ってなかったしなぁ。
タヒチでは、ヒッチハイクとか車に気軽に人を乗せてあげるという、
そういう気質で、奥さんも帰りは適当に通りがかりの車に
乗せてもらって帰ってきなさい・・・ということだったのかしら。
そんなわけで、タヒチ・イチ巡検は半ば失敗に終わりました。
もちろんこんな田舎町で日本人に会うこともなく、
見所もほとんどなく(単に気づかなかっただけかもしれませんが)、
妙に疲れてだるくなって帰りました。
その翌日、午前中ル・トラックでゴーギャン博物館へ。
パペーテからは遠いけれども、タラバオからは10㎞くらいかな?
本物の絵はほとんどここにはありません。
併設のレストランで、マヒマヒという白身魚を食べました。
タヒチのレストランはフランスパンが無料でついてくるようです。
でも、こんな1品料理で2000円以上です。
物価の高さの為か、観光客料金なのか・・・
さて、帰り道、昨日に引き続き、ル・トラックが全然通りません。
ここでハタと気づいた・・・今日は土曜日で、半ドンなのでは・・・
こうなったら待つより歩くしかないのですが・・・宿まで10数㎞。
普段ならしゃかしゃか歩く距離なのですが、
なんだか体に異変が・・・熱が上がってきたようです。
前日からちょっとだるいなぁと思ってたら、案の定、
体温計がなくても、熱があるのがわかりました。
歩く道路の脇には道標があって、例えば「パペーテから○㎞」と記してあるので、
「1㎞歩いた・・・2㎞・・・」と重い体でフラフラ歩いておりました。
5㎞位歩いて、さすがに「10㎞も歩けるのだろうか」と気が遠くなってきたところで、
・・・女神様が舞い降りて・・・
もとい、タヒチアン女性たちが乗ったトラックが止まってくれて、
荷台に乗せてもらうことができました。
この時は涙が出そうなくらい嬉しかったです。
こうして無事に宿にたどり着き、即ベッドに倒れこみました。
予定では翌日パペーテに戻るつもりだったのですが、
そんな元気がないかも・・・などと思っていたら、
宿の奥さんからの情報で、日曜日はル・トラックが来ないらしい。
というわけで、幸か不幸か翌日は1日ベッドで寝ることになりました。
クミちゃんには迷惑かけたなぁ。
一人で近辺を散策したり、バンガローの下で水浴びしていたらしいです。
こうして、この田舎の宿には結局5泊もしてしまったのでした
タヒチの時間はのこりわずか・・・ ~続く~