経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

アベノミクスへの提言

2013-04-14 02:46:42 | Weblog
   アベノミクスへの提言

 安倍政権による新たな経済政策いわゆるアベノミクスで景気は反転上昇しつつある。まず円安により輸出企業が好調となり、株価は13000円を超えた。滑り出しは順調である。私はあるべき経済政策の進路を三段階・二事項に要約してみたい。まず現在行われつつある大幅な金融緩和がある。これは黒田日銀新総裁により大胆に行なわれ、従来禁じ手とされていた日銀引き受けも行なわれた。ある程度のリスクは伴うが、経済再生への常道だ。まず貨幣流通量を増やす。これが第一。そして輸出企業が好調になれば、その成果の半分を雇用と賃上げにまわす。これは必須事項だ。円安で輸入価格は上がりその分物価は上がる。それを賃上げでカヴァ-する。念のために言えば物価が下がって賃金も下がるより、逆に物価は上がるが賃金も上がるという動向のほうが、消費傾向を増大させる。
 第二段階は公共投資だ。為すべきことは山ほどある、東北復興、耐震建築、老朽化したインフラの整備、充分とはいえない道路の増設などが常識として浮かぶところだが、神戸横浜港の大改造そしてハブ港化なども視野に入る。さらにこの両港のみならず全国の港湾を再整備し海上運輸をもっと活発にできないものだろうか。日本は海に囲まれ海岸線が極めて長い。海上交通は陸上交通に匹敵するはずだ。さらに沖縄と北海道には農業中心の再開発を試みるべきだ。また現在は交通革命の時期に入っている。将来、現在使用されている自家用車はなくなるだろう。下駄代わりの運転技術不要の超小型ミニカ-と公共交通機関の時代になるだろう。交通機関は根本的に再整備される。東京大阪間を1・5時間で結ぶリニヤ-モ-タ-カ-はその先駆だ。交通革命とともに都市の設計も大きく変わる。内需に事欠くことはない。
第三段階は福祉工学だ。簡潔に言えば医療と教育と介護の整備だ。大胆な提言をしよう。仮に医療の規模を現在の2倍にしたとする。医師、看護師、そして病院医院の数を倍にする。同時に医療費は無料にする。資金は国家予算か特別の医療債で賄う。つまり借金経営だ。政府公共機関の出費は膨大になる。しかし病院の収入は増え、医師および医療従事者の所得も増える。医療機関に物品を提供する諸種の企業の販売も伸びる。これらはすべて税収として政府の財政に回帰してくる。詳細は省くが若干の留保をつけてもいい。そして何よりも大きなことは国民の健康が増進され、羅病率が減り、結果として医療費は安くなる事だ。保健所、児童福祉施設などの公衆衛生諸機関はもっと整備されていい。
教育でも同様だ。学校数を倍増する。小学校から高校まで約4万校あるが、更に4万校建築する。一校100億円として落ちる資金は400兆円、10年の期間にわたるとすると1年で40兆円の資金投下。教員数は90万人だから、仮に倍化し平均賃金を低めにとって年600万円とすれば、雇用は年5兆4000億円になる。校舎増設により膨大な建築費が建設業界に廻る。教員の雇用による総賃金の増加とあいまってこれらは税収増加として回帰してくる。そして何よりも重要な事は教育機関の増大は個人の労働生産性を高めることだ。つまりそれだけ安く物品やサ-ヴィスを提供できるということだ。介護についても同様の事がいえる。また教育、医療、介護の強化は犯罪率を低下させ、社会の安全性を高める。
そこまで複雑に考えなくても、医療、教育、介護などのサ-ヴィス産業は、サ-ヴィスという価値(commodity)を提供する。その分紙幣の量が増えても総体とすれば需給のバランスは保たれることになる。増えた紙幣で増えた価値・便益を買うのだから。そして一番肝要なことはこれらのサ-ヴィス産業を可及的に製造業と結びつけることだ。医療では既に始まっている。医療の機械化は目覚しい。工学部門は医学部門のニ-ズにひっぱられている形だ。教育介護部門でももっと機械化できるはずだ。こうして内需が増大すればそれはそのまま、内需により育成された技術を、輸出できる。もう一つ肝心な事は産業育成の各段階で必ず雇用と賃金の増加をめざすことだ。皆が潤わなければ消費や需要などあるはずがない。再生医療などの技術を開拓することはもちろん必要だが、その技術を消費してくれるお客がいなければ意味がない。充分に提供し充分に消費することで技術は発展する。なお1年後に予定されている消費増税はキャンセル・反故にすべきだ。経済成長が軌道に乗ってから調整すればいい。
明治時代政府が志向した事はまず内需の拡大だった。紡績と造船そして鉄鋼生産がその代表だ。内需が一定段階に達した時輸出が増加しだした。歴史の教科書では地租改正により零細農民が低賃金で工場に雇われたとか書いてある。これはものの一面を見ているに過ぎない。明治政府は欧米先進諸国に先駆けて、初等教育の普及に尽力した。教育とは何か?価値の個人への付与体化である。こうして優秀な労働力が生産された。これは潜在的賃上げだ。将来の高賃金に直結する。事実第一次産業革命以後賃金は上昇している。
最後の事項は国防だ。日本は敗戦による懲罰のために国防産業は相対的に遅れている。問題はそれだけではない。米軍の保護下に置かれている限りは、経済的主張も米国の意図の枠内でしか行なえない。TPPがどう行なわれるにせよ(あくまで国益は慎重かつ大胆に護らなければならないが)、貿易の活発化は当然諸国との摩擦を招来する。その際最後に勝負の帰趨を決めるものはその国の武力だ。武力を保持するだけで、別に行使しなくとも外交は有利になる。そして外交とは本来ピストルを突きつけあって行なう営為なのだ。他国の保護下にあって外交能力が向上するはずがない。もちろん軍需産業の成長による経済への効果も見逃せない。
ここからくる当然の帰結は憲法改正(九条廃棄)と核武装だ。私は維新の会の政策に全面的に賛成するものではないが、その党綱領の一文には感激した。多分石原氏の意向が盛り込まれているのだろうが、感激した。その一文は「---日本という国家を蔑視と孤立に閉じ込め、絶対平和という共同幻想を国民全体に強いた---」だ。全くそのとおりだ。そして現在でも我我はこの強いられた共同幻想の中にいるのかもしれないのだ。我々は爾来優秀なシェパ-ドとして飼い慣らされてきた。今からは精悍な狼にならなければならないのだ。
私はかなり大胆な経済政策を提言した。できるか?できる。日本ならできる。日本は単に世界一の金持ち(外国にある資産が世界一)であるのみならず、優秀な労働力と人材、そして単一民族ならではの奥深い歴史と文化を持っている。民族の凝集性が高く、政府の了導さえ良ければ、それを理解し一致して遂行に邁進する能力は著しく高いのだ。
私は三段階二事項といった。三段階とは、金融緩和-公共投資-福祉工学だ。二事項とは雇用増大と国防政策だ。国防は経済に密接に結びつくし、適度な賃上げは常に必要だ。

(付)公明党さんよ、いい加減に平和主義の看板を降ろしたらどうか。ある識者の言葉を借りれば貴党の平和主義は念仏論的平和主義だ。平和平和と言っていれば何をしなくても平和が得られる云々の心情だ。マルクスやレーニンは何もしなくても腹いっぱい喰える世界がやってくるとか言った。その影響下に公明党はまだあるのか。だから公明党は与党でありつつ、明確な経済政策も国防政策も提示できていない。政党の名が泣くぞ。それとも中国から何か鼻薬でもかがされているのかな。
(付)憲法の冒頭の文章にはあらためて驚いた。「諸国の正義と公正を信じて」とか書いてあった。過去公正と信義に満ちた国家があっただろうか?国家の目的は常に国民と国家の利益擁護にある。他国のことはその次の次。それが国家理性とかレゾンデタといわれる現実なのだ。
(付)北朝鮮が核つきミサイルをぶっ放すとかいっている。全面的に戦争状態とか叫んでいる。北の崩壊は近いな。

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