14日、仕事の下見で蓼科山(たてしなやま・2530m)を訪れました。八ヶ岳連峰の最北に位置する独立峰。長野県茅野市・北佐久郡立科町。
「新日本山岳誌(日本山岳会編著)」によると、「諏訪富士」と呼ばれるその秀麗な姿は、古くから農耕神のいる霊山として、巨大な水源の山として崇められ、また麓を行き交う人たちの目印・道標にもなり、親しまれてきたそうです。
周囲に連なる中部山岳の男性的山容とは異なり、登山者を優しく包み込んでくれる麗峰を、梅雨の青空の下、植物好きのFさんとのんびり歩きました。
GWの小金沢連嶺に続き、現地まで車で送迎してくれたNさんに感謝。
・天候/晴れ時々曇り
・行程/白樺高原・七合目登山口10:30-将軍平(蓼科山荘)12:15/12:50-蓼科山13:30/13:53-将軍平14:31/14:35-七合目登山口15:27
平日で登山者は少ないかと思いきや…
白樺高原・七合目登山口(標高1910m=国土地理院地形図より)周辺は、結構賑わっていました。
さすが百名山。何よりも、爽やかな梅雨晴れに誘われたのでしょうね。気温18℃。
山頂に鎮座する蓼科神社奥社(おくやしろ)への入口、一の鳥居(右奥)が登山口。
カラマツに纏わりつく、とろろ昆布のようなサルオガセ(猿尾枷/サルオガセ科)が、おどろおどろしい?
コケに近い地衣類で、霞がかかるような森林の樹上に着生し、空気中の水蒸気を吸って育つという不思議な植物。独立峰の蓼科山は、雨霧がかかりやすいのでしょうか。
シラビソ、コメツガなどの亜高山帯針葉樹林と…
マット状の苔、コケ…典型的な八ヶ岳の森林(もり)の空気が心地いい。
足元で…
コミヤマカタバミ(小深山傍食/カタバミ科)が満開。
エンレイソウ(延齢草/ユリ科)
(花は終わりかけでしたが…)白花でない種にお目にかかったのは久しぶり。
ミツバオウレン(三葉黄連/キンポウゲ科)に…
まさに“鏡”のような葉のイワカガミ(岩鏡/イワウメ科)などが、出迎えてくれました。
標高2300m付近まで登ると、ところどころに残雪。歩行に支障はないのでご安心を。
将軍平(2350m)に建つ蓼科山荘。この場所から…
蓼科山の頂を望むことができました。
「蓼科山は円錐形上に更に円錐丘を戴いた複火山であって、富士に模されるのは実はこの円錐丘である。この円錐丘はなかなか急峻で、山頂に近いところでは三十二度ある。少し下っても二十八度を示している」(「日本百名山/深田久弥著」)
深田久弥は、この山の傾斜角をわざわざ測ったのでしょうか?つまり、この先から…(汗)
森林限界を抜けて…
ひたすら…
楽しい岩登り(笑)
40分近くかけて登りきったところが…
蓼科山頂ヒュッテ。その奥に…
一等三角点の、広闊快適な山頂が広がっていました。15℃。
最北端の頂からは、南に八ヶ岳火山列の連なりを一望。
眼下の蓼科高原を挟んだ奥に、右端より西岳、編笠山、権現岳、そして雲に隠れかかっていますが阿弥陀岳、赤岳までを確認することができました。
頂上台地では…
コイワカガミ(小岩鏡/イワウメ科)が見ごろ。
イワカガミが針葉樹林下に多いのに対し、こちらは高山帯の岩場やハイマツ帯に生育する種類。全体的にひと回り小型で、花数も1~5個と控えめ。
可憐なヒメイチゲ(姫一華/キンポウゲ科)。
このヒメイチゲ、七合目登山口近くの花はすでに終わっており…
金平糖似の痩果(そうか=果皮にくるまれた果実)になっていました。(写真真ん中)
標高差600mの季節のズレを実感。
往路下山後、麓の諏訪側から仰ぎ見る蓼科山。
古(いにしえ)から現在まで、この山が多くの人たちに崇拝され、愛され続けてきた理由がわかる気がしました。
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