ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

教会にいたピレネー

2015-05-27 | 教会
少し前のこと、ピレネーの山を歩いて来たと言う人が教えてくれた。
山歩きの途中、スペインの巡礼地に向かう人に出会った。
その人は、ピレネー犬とともに巡礼の旅をしていたと・・・

きっと、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を辿るのだと思った。
フランスからピレネー山脈を越え、スペインの北部を横断する800~900キロの道程。
一日に30キロ歩いて1か月、多くはそれ以上かかるに違いない。

遥か遠くの旅人へ・・・どうか無事にいい旅が出来ますように。



3月から行ける時に少しずつ、長崎の教会を訪れている。
平戸市の田平天主堂、紐差教会、宝亀教会、山田教会。
佐世保市黒島の黒島天主堂。

そして、5月は長崎市へ、出津(しつ)教会を訪ねた。



1879(明治12)年、外海(そとめ)地区の主任司祭として赴任した
マルコ・マリ・ド・ロ神父の設計・施工により、1882(明治15)年に完成。
この地特有の強い海風に耐えるよう
シンプルで実用性を重視した造りになっている。



教会の下の小径は、出津救護院へと続く。
ド・ロ神父が女性の自立支援のための作業場として建てたもので、
織物、縫物、食品加工などを行った。

シスターとお話をしていたら、
作業場の2階に珍しいものがあるというので、見せて頂いた。
許可を頂き、撮影。



神父がフランスで購入した古い時計がひっそりと時を刻む。
こちらの大工さんが作ったという木の箱の中。
文字盤の上のレリーフ模様を見て・・・



羊飼いの少年の左側に仔羊、右側にいるのがピレネー犬だそう。
分かりにくいけれど、大きさの比率も変だけど、よく見ると確かに・・・!
100年以上も前からここにいたんだね・・・感動・・・



そして、このデュモン社製のハルモニウム(リードオルガンの一種)は、
神父が1889(明治22)年頃にフランスから取り寄せ、
毎日のミサで使われたものだそう。
何と私も弾かせてもらった。
それは、あまりにも懐かしい優しい音色だった(涙)。


(ド・ロ神父記念館)

当時の外海は、道路も整備されていない陸の孤島。
山と海に挟まれたわずかな土地での半農半漁の暮らしは貧しかった。
神父は地域の窮状を救うため、私財を投じて産業を興し、
医療、教育、福祉など多方面で外海の振興に尽くした(長崎新聞)。
そして、二度と故郷の地を踏むことはなかった。



外の木陰で主人と一緒に待っていたZionに
シスターが優しく話かけて下さった。

あなたも十字架を掛けていたのね・・・
また来てね、よい旅を。

また巡ろう。
その地に立つ教会堂・・・
その地に生きた人々を思いながら・・・


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




草原の山

2015-05-18 | 高原・山
T邸の庭デザインに伴う外構工事のチェックと
S邸の花植えのため、広島市を訪れました。

Zionには3時間ほど待ってもらうことになるので、
おとなしくお昼寝出来るよう、朝、県北の深入山に寄りました。



雪の深入山には何度か登っていますが、新緑は初めて。
気温は13℃、風はひんやり、いい感じ。
Zion用の水4リットルをザックに入れ、人の少ない東登山口から出発、
頂上まで1.4キロのハイキングです。



4月の山焼きが中止されていたので、
山はどんな状態なのか心配でしたが、とても美しく、
登山道もきれいに整備されていました。



頂上では、西中国山地の山々は霞みに覆われていました。
少し下りたところの岩の上から。



下りは、南登山口を目指して草尾根コースを歩きます。
風は涼やかなのに、陽ざしが降り注いで暑くなってきました。
解放感が広がるこの場所が好きです。



リードが見えなくて旅人のようなZion。

穏やかな道のその先は・・・
急な傾斜の登山道が続いています。

1,153メートル、緩やかな草原の山を侮ることなかれ、
このコースの上りはなかなか大変、雪の時でも汗が出ました。
下りはまだ楽ですが、油断すると転げ落ちそうでした。



Zionが美味しそうに残りの水を飲み干します。
麓の木陰は、上着を脱ぐと肌寒いほどの風が吹き、
いつまでも休んでいたいほどでした。



新緑が美しい深入山。
草原の山を守る人々にも敬意と感謝。

マダニはいないのか、Zionに付着してくることもなく、
その意味でも気持ちのよい山でした。

そして、仕事中のこと。
Zionを涼しい車の中で待たせると、不満モード全開。
買い物の時など、ひとりで待つことは出来るのに、
みんながそばで何かしている時に自分だけ閉じ込められるのが大嫌い。
こちらを見ながら、何度もクラクションを鳴らすのでした。

ブッブ~ ブッブ~

そう言えば、小さな頃からそうだった・・・


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




誤解を招く表現

2015-05-07 | 生態・行動
結局、安静にすることなど一度も出来なかった。
もう、いいよね・・・
散歩の途中、傷だらけになっていたカラーを外した。
お世話になったね、ありがとう。
この姿もここで見納めにしよう。



最近、この犬種の情報に違和感を感じることがある。
あるTV番組では、ぬいぐるみのように可愛らしさを紹介され、
別の番組では、女性でも散歩させやすい犬と紹介されていた。
あるペット業者は、運動はあまり要らず飼いやすい犬だと言った。
どれも、あまりにも無責任ではないか。



女性でも・・・というのは、間違っている。
小さな頃にきちんと脚側歩行を躾け、
不測の状況下でも対応出来る能力を身につけた人が
散歩させるべきであり、男女は関係ないと思う。

穏やかな面だけを強調するのは認識不足、
誤解を招くような表現に気づかないことが腹立たしい。



ピレネー・・・
家族に深い愛情を示し、献身的で注意深く、
陽気で協調性にも優れ、穏やかな性格であるが、
自由をこよなく愛する犬である。

最も特徴的なことは、自分で状況を判断し、考えて行動すること。
納得のいかないコマンドには従わないし、無頓着で強情。
時には支配的になったり、執拗に吠えたり、脱走したり、
手に負えない面を併せ持つ犬でもある。

また、本来の性質は飼育環境により変化し、
安易なブリードによっても変化し、姿や性格を形成する。

長所を引き出すか、短所を増長させてしまうか。
この犬と向き合うことは決して簡単ではないと思う。



ピレネーがコマンドを受け入れ、本当の意味で人に寄り添うのは、
日々の生活の中で多くの時間をともに歩き、ともに過ごし、
理解し合う信頼関係があってこそである。

その終わりのない醍醐味を追いかけながら、
ピレネーをもっと知りたいと思う。

Zionは、呆れるところだらけだけど・・・

これからも色んなところを歩こう。
楽しいことを見つけに行こう。

放浪を夢見る瞳に今日は何が映ったことだろう。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




後ろから来る人の会話

2015-05-05 | 散歩と人
カラー姿になって3週間が過ぎた散歩道は、
車で30分、新緑が美しい駕与丁(かよいちょう)公園。

大事を取ってカラーはまだ付けているけれど、
傷口はずい分、目立たなくなって来た。



駕与丁公園を一周すると、4.2195キロ。
フルマラソンのちょうど10分の1になっている。



わずかな波紋、跳ねる水音、長閑な岸辺。
池のほとりに下りていける自然なつくりが好きだ。



芝生広場の楠の大木、かき氷のように涼感あふれるその陰で
向こうにいるわんこさんを狙うZion。



横で微笑むお姉さんとZion。



木漏れ日の中を歩いていると、後ろから楽しそうな会話が聞こえてきた。

「ハハハ・・・集音マイクみたいだなぁ」
「よう食べるやろうなぁ」
「一升飯やろうね~」
「そりゃあ一升飯やろう」

初めは何のことかと思ったが、
聞きながら、笑った。

集音マイクって・・・そっくりかも。


(パラボラ集音マイクロホン/フジプラニングHPより)

一升飯って・・・食べるかっ。



可笑しくなって振り返ると、会話しているのは70代くらいの夫婦だった。

白くま、ホワイトライオン、モロ、獅子舞・・・
いつも色々なものに例えられるZionだけど、
集音マイク、一升飯がこの日、加わった(笑)。



窓を開けると、サラサラ・・・爽やかな風が入って来た。
こんな日のお昼寝は、最高に気持ちいいんだろうなぁ。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!