ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

ピレネーの牧畜番犬と人

2013-11-28 | 生態・行動
風が冷たくなってくると、
Zionの放浪への憧れは、果てしない。
どこでもいい。
ただ、気の向くままに、うろうろしていたいのだ。



もしも、ノーリードだったなら、
このまま、こちらを振り返りもせずに、旅に出そうだ。
時々、そう感じさせる後ろ姿・・・



ピレネー犬は、人を舌でなめることがなく、ベッタリ甘えて来ない。
勿論、個体差があるので、全てに当てはまる訳ではないが、
一見、人に対して希薄な関係を望んでいるように思えることがある。
自由奔放、自分の判断に頑固、どこか孤高なふるまいは、
躾けることが難しいとされて来た所以である。



ピレネー山脈では、現在も伝統的な羊の山岳放牧が行われている。
牧畜番犬として働くピレネー犬と飼い主は、
一般的な 「人と犬」 では考えられない
驚くべき信頼関係で暮らしている。

牧畜番犬の仕事は、羊の群れに絶えずついて回り、
ヒグマなど捕食動物の攻撃から守ること。
羊から離れることなく、守り抜ける犬にするために
最も大切な事とは・・・



驚くことに、
人との強いつながりを持たせない・・・
人を大好きにさせない・・・
それが飼い主の使命だという。

牧畜番犬は、五感を研ぎ澄まし、自分の判断で動く。
人に懐き、羊をほったらかして来てしまうようでは、
番犬としての役割を果たせない。
仔犬時代から羊の群れと過ごさせ、飼い主は、
どんなに可愛く、誇りに思う存在であっても、
いつも少し距離をおき、そっと見守るのだという。

犬が仕事をしやすいように、その犬らしく生きられるように・・・

私には、たとえ生まれ変わっても、
ピレネーの羊飼いにはなれないだろう。



家庭犬としてのピレネー犬においても、
培われて来た性質の片鱗を受け継いだものと納得できる。
そして、その護衛能力の高さや我慢強さの裏にある
包み込むような優しさと忠実な心・・・
この犬を理解すれば、素晴らしい相棒になってくれる。
そう確信できる。



現在、ピレネーの山岳地帯では、
「働くピレネー犬を守る会」 という協会を中心に
牧畜番犬に向く個体の才能も守られ、
200頭ほどが働いているそうだ。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




ある日のエピソード

2013-11-21 | おうち
穏やかな光にあふれる秋の日は、
そろそろ冬姿になる植物たちも、まだ枝を伸ばして
辺りをやわらかに包みます。
そんなある日のこと・・・



公園を散歩していると、近くのケア施設から訪れたらしい
何人かの高齢の女性に出会いました。

引率のスタッフが、一緒に写真を撮ってもよいかと聞いて来たので、
喜んで、その輪の中に、Zionも入れてもらいました。
話しかけられると、Zionは、一人一人に
自分から静かに歩み寄り、少し顔を近づけました。

一人の女性が、ありがとうね、ありがとうね・・・と
ぽろぽろと涙をこぼしました。
きっと、Zionと何か話をしたのだと思いました。
言葉のかわりに、心で。

Zionは、人に対して尻尾も振らないし、
どう見ても、無愛想なのに・・・
不思議なZion・・・

ふんわりとした気持ちに包まれながら、家に戻ると、
庭のデュランタの茂みにいたカマキリさんと
目が合ってしまいました。



あら、見つかっちゃった・・・
意外にも、そんな表情がとても可愛くて。

大丈夫、怖くないよ・・・
これから産卵するんだね、がんばってね・・・

私も、心で伝えたつもりでしたが、
警戒心に拍車をかけただけみたい。



あれ?先に部屋に入ったはずのZionが居ない。
・・・と思ったら、
2階で本を抱えて、うつらうつら・・・のふり。

ぼくは、本なんて知らないもん・・・

知らん顔しても、持って行ったこと、
バレてるよ。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




季節の足音

2013-11-16 | お散歩
気がつけば、街の何気ない風景が美しい。

もみじ葉フウの深い色合いに魅かれて、
ふと立ち止まる夕暮れ。





博物館の前を散歩すると、色づいた落ち葉がいい音色。
なるべく、踏まないように歩きながら・・・



暗くなったら、タワーの灯りを見に行こう。



そして、葉っぱを蹴散らして、走った。



福岡タワーのクリスマス・イルミネーション。
15日、午後6時の点灯の瞬間に。



ブルーライトの光の中で、Zionの季節の足音が
ハンドベルの音とともに、響いて来たよ。

きれい。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




殺処分ゼロへの誓い

2013-11-09 | 社会
殺処分ゼロへの誓い。

4日、福岡市の高島市長が、動物愛護フェスティバルで宣言した。

市は、これまでの取り組みにより、
2008年度の3,022頭から、2012年度には558頭(犬86・猫472)と
減少に成果を出してきたが、殺処分ゼロを目指し、
活動を本格化させる。

また、やむを得ず処分する場合、炭酸ガスを廃止し、
個体ごとの麻酔注射にすることも発表した。

単に数字を出そうとするのではなく、
命の尊さと動物を飼う責任をあらためて問い、
本当の意味でのゼロを目指してほしい。


( どうぶつ愛護フェスティバル in ふくおか FBより )


動物愛護フェスティバルの会場では、楽しい出会いがありました。
ニューファンドランドのグレードくん。
優しくて、可愛い・・・84キロ!



Zionと一緒に撮ろうと試みるも、人に囲まれ、うまく撮れません。



こっちから・・・あっちに回ってと・・・うろうろ。



アイリッシュ・セッターのシフォンちゃん。



会うと、いつも、大はしゃぎしてくれます。



バーニーズのアリスちゃん。



最近出会ったオールド・イングリッシュ・シープドッグの
ソフィちゃん&セシルくん。



私たちは、犬と暮らす素晴らしさを伝えることが出来ます。

しかし、その醍醐味は、飼えば誰にでも
必ず、味わえるというものではありません。
日々の暮らしの中で、犬との信頼関係を深めていく
プロセスがあってこそのものだからです。

大変なことも山ほどある・・・
そんなところもしっかりと伝えていかなければならない。
人と暮らすことを選んでくれた心美しきパートナー・・・
私たちのもとへ来てくれた大切な命のために。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




宝満山の木霊

2013-11-06 | 高原・山
大宰府の鬼門を守る霊峰・宝満山 (ほうまんざん・830メートル)。
これまで散策したことはありましたが、
初めて山頂を目指しました。

竈門(かまど)神社からのルートで、距離は3キロほどなのですが、
これでもかと続く急な自然石の段々を延々と・・・
とにかく、とにかく、登るのです。
筋トレか



阿蘇・中岳の崩れ落ちた岩の上も登ったZion、
ここでも、同じ目標、心を合わせて。



3合目あたりに、水場と休憩所がありました。
下りて来る人たちは、汗びっしょりです。



5合目から7合目は、名物の百段がんぎ。
筋トレと言うより、もはや修行。

8合目・・・汗が流れます。
Zionは、大きなストライドを生かし、
下半身のバネを使って、上手に登って行きます。







山犬の余裕の笑顔・・・おそるべし。



9合目・・・ロープが設置された岩場をクリア。
つるつるさえしなければ、どこでも躊躇なし。





ここを登れば、もうその先は・・・





やった~! 頂上だ!



突き出た岩の先端で(こわ~)。
Zionは、ずっと、眼下に広がる森を見ていました。



山頂の気温は17℃。
曇っていてよく見えませんが、晴れていれば、
脊振山地、博多湾や玄界灘、三郡連山、英彦山、九重山、
有明海と雲仙岳も見えるそう。

宝満山は、本当に人気のある山です。
いったい何十人の人と出会ったでしょう。
人の姿が見える度に、ストップ、つけの状態で待ち、すれ違いますが、
たくさんの人に声をかけてもらい、幸せなZionです。



爽やかな笑顔の学生さんたちと一緒に。



森に誘われて。



上り2時間15分、下り2時間、山頂での休憩45分。
急な石段に鍛えられ、少しだるい大腿四頭筋。

下山途中、けろっとしているZionも、雨の兆しの湿度を感じると
冷たい岩の上で、少し休みました。



張りつめた弓の ふるえる弦(つる)よ
月の光に ざわめく おまえの心 ・・・

もののけ姫の歌を口ずさむと、
神秘的な世界がよみがえります。

あの迫力はないけれど、
森の木霊(こだま)と話をしているような
不思議な・・・Zionでした。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!