散歩の帰り、ケーキ屋さんに吸い込まれてしまった。
「 Zion、ケーキを買う間、中庭で待っていてね 」
「 うん、いいよ 」
中庭は、カフェのテラス席になっている。
ちょうど空いているし、やっぱり、お茶していこうかな。
アールグレイの揺れる湯気を見ていると、あの白い猫のことを思い出した。
東の公園へ行く途中、とある角を曲がった所にある家で
夏の初め頃から、白い猫を見かけていた。
白猫は、いつも駐車場の中にいたので、早朝、ここを通る時は、
Zionは、角にさしかかる手前から、尻尾を大きく振り、
期待に満ち溢れて、駐車場をのぞき込むのだった。
白猫は、扉の傍まで寄って来て、時々、にゃお~と鳴く。
野良猫のようにも見えるが、Zionに懐き、
どこか悲しそうに見える目には、気高さがあった。
Zionは、じっと見ている。
ふたりで何か話しているのだろうか。
納得すると、Zionは立ち去るのだが、
白猫がいない時は、屋根の上まで探していた。
ある朝、いつものように期待に満ちて角を曲がると、
白猫は、駐車場の真ん中あたりにいて、こちらに来ない。
Zionがいくら待っても、来なかった。
次の日、白猫は、駐車場の奥の道具箱の上にいて、やはり、こちらに来ない。
凛としてすわる姿は、とても大きな体に見えた。
じっと見ながら、ひたすらに待つZion。
白猫は何故か、威嚇するように、鋭い目をして、
何か言った。
Zionは、立ち去った。
それ以来、Zionが尻尾を振って角を曲がることはない。
探すこともない。
まるで、何もなかったように・・・
白猫は、もう、どこにもいなかった。
どこへ行ってしまったのだろう。
ふたりは、どんな話をしていたのだろう。
最後に会った日、白猫は何を言ったのだろう・・・
とても知りたいけれど、
それは、Zionだけにしか、分からない。
夏の朝の白い猫・・・
もしかして、幻だったのだろうか。
まさかね・・・
今日も会いに来てくれて、ありがとう!
「 Zion、ケーキを買う間、中庭で待っていてね 」
「 うん、いいよ 」
中庭は、カフェのテラス席になっている。
ちょうど空いているし、やっぱり、お茶していこうかな。
アールグレイの揺れる湯気を見ていると、あの白い猫のことを思い出した。
東の公園へ行く途中、とある角を曲がった所にある家で
夏の初め頃から、白い猫を見かけていた。
白猫は、いつも駐車場の中にいたので、早朝、ここを通る時は、
Zionは、角にさしかかる手前から、尻尾を大きく振り、
期待に満ち溢れて、駐車場をのぞき込むのだった。
白猫は、扉の傍まで寄って来て、時々、にゃお~と鳴く。
野良猫のようにも見えるが、Zionに懐き、
どこか悲しそうに見える目には、気高さがあった。
Zionは、じっと見ている。
ふたりで何か話しているのだろうか。
納得すると、Zionは立ち去るのだが、
白猫がいない時は、屋根の上まで探していた。
ある朝、いつものように期待に満ちて角を曲がると、
白猫は、駐車場の真ん中あたりにいて、こちらに来ない。
Zionがいくら待っても、来なかった。
次の日、白猫は、駐車場の奥の道具箱の上にいて、やはり、こちらに来ない。
凛としてすわる姿は、とても大きな体に見えた。
じっと見ながら、ひたすらに待つZion。
白猫は何故か、威嚇するように、鋭い目をして、
何か言った。
Zionは、立ち去った。
それ以来、Zionが尻尾を振って角を曲がることはない。
探すこともない。
まるで、何もなかったように・・・
白猫は、もう、どこにもいなかった。
どこへ行ってしまったのだろう。
ふたりは、どんな話をしていたのだろう。
最後に会った日、白猫は何を言ったのだろう・・・
とても知りたいけれど、
それは、Zionだけにしか、分からない。
夏の朝の白い猫・・・
もしかして、幻だったのだろうか。
まさかね・・・
今日も会いに来てくれて、ありがとう!