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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ゼレンスキー降臨!「ラ・バヤデ―ル」2011

2011-05-01 15:58:26 | BALLET
2011年4月17日、マカロワ版「ラ・バヤデ―ル」の再演を東京文化会館で観て参りました。

初演は2009年9月。
オール東京バレエ団キャスト、名バレリーナであり、振付家としてもご活躍のナタリヤ・マカロワが振付けた新レパートリー。
東バはクラシックのレパートリーをいくつか持っていますが、このときは、大作である、というだけでなく、装置や衣装を自前で無理をして用意をせず、ミラノのスカラ座バレエ団からそっくり貸与されることで、いつもの貧弱なセットや微妙な(;;)色彩の衣装でダンサーの踊りの質を損ねることなくクォリティの高い公演を実現できた・・・という画期的な公演でした。
あのときは、ちょうどオペラのスカラ座公演と時期を同じくしていましたので、空輸の都合上も良かったのでは?と思っていたのですが、今回は単独。でも、あの重厚なセットや美しい衣装に彩られた東バダンサーの美しい踊りをまた観られるのは楽しみです。

実は、それよりも何よりも、ロシアの2大バレエ団、マリインスキーとボリショイの合同ガラを観た際にあまりにも素晴らしかったサラファーノフがその後ミハイロフスキーバレエ団に新しいレパートリーへのチャレンジを求めて移籍予定と聞いて、今後日本では観られなくなるのでは・・との不安をご本人に申し上げたところ、この公演に客演するから、と教えていただいた、というのが直接の契機。

それが・・・・それが・・・
二人のソロルのうち、上野水香さんのパートナーとして予定されていたフリーデマン・フォーゲルは、所属するシュツットガルトバレエ団の許可が出ずに降板(震災の影響です。原発事故のほうかも?)
そしてサラファーノフはなんと膝の故障と言う心配な理由にてやはり降板。
これは・・・自前で高岸さんと木村さん辺りがソロル?それでもいいけど、前回と同じだったりしたらちょっとつまらないな・・・と思っていたらまさかの事態。
さすがインターナショナル・ロシアン・スターのマカロワ様。
各方面に調整してくださった結果、サラファーノフの代役に、あの、引退したスターダンサー、現ノヴォルシビスクバレエ団芸術監督の、イ―ゴリ・ゼレンスキーが!!
フォーゲルくんの代役のオランダ国立バレエ団所属のマカロワの信頼篤い若手、マシュー・ゴールディングも良かったらしいのですが、ゼレンスキー、素晴らしかったです

さて、配役。

東京バレエ団 
「ラ・バヤデール」


振付・演出:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による)
振付指導:オルガ・エヴレイノフ
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣裳:ヨランダ・ソナベント


◆主な配役◆

ニキヤ(神殿の舞姫):小出領子
ソロル(戦士):イーゴリ・ゼレンスキー
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 木村和夫
ラジャ(国王):柄本武尊
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):松下裕次
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:森川茉央
ブロンズ像:宮本祐宜


【第1幕】

侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):西村真由美、乾友子
パ・ダクシオン:
佐伯知香、森志織、村上美香、河合眞里
高木綾、吉川留衣、矢島まい、川島麻実子
長瀬直義、宮本祐宜


【第2幕】

影の王国(ヴァリエーション1):岸本夏未
影の王国(ヴァリエーション2):佐伯知香
影の王国(ヴァリエーション3):乾友子


指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団



ゼレンスキーが・・・現役時代そのままの、豪快なジャンプ、滞空時間の長いマネージュ、といった技術面での盤石感はそのままで、苦悩するソロルとして、舞台に息づいていました!
うーん、そっけない演技がトレードマークだった以前と比べて、やりすぎ感のないさりげなさはそのままで、適切な表情と仕草が加味されてもう、本当に素晴らしかった、の一言です。
彼の参加についてのコメントが興味深いものだったのですが・・・。
スケジュールは詰まっていたけれども、今まで機会がなくて佐々木さんと仕事をすることが出来なかった。(ふむふむ、マリインスキーの公演はJapanArtsだし、新国立にゲスト出演はしていてもそういえば世界バレフェスに彼は出ていなかったかも!?) これもひとつの縁だと思ったのです、とのこと。

NBSの佐々木氏の偉大さに感謝ですわ

期待していた小出さんのニキヤもやっぱり良かった!
190cmのゼレンスキーとの身長差が凄いのに気にならない、小柄な身体を大きく見せる演技と繊細な心情表現。
小柄で丸顔の小出さんは可憐な雰囲気がありながら、その実、芯のしっかりした大人の女性としての内面を表現できる成熟した演技者でもある人なので、ドロドロの三角関係の中、自分の心に正直に愛を貫くニキヤ、お似合いでした。
ガムザッティは奈良さんの予定が、怪我で田中さんに。前回も田中さんのガムザでみたのですが、やはりしなやかで強いアジアンビューティーはピッタリですね。
今回ヴァリで目を引いたのは、なんといっても佐伯さん。好みのタイプの(笑)乾さんもご活躍で嬉しかったです。
松下さんとWキャストの黄金の仏像は宮本さん。テクニックのある人なので期待しましたが、ちょっとふらついた?
その後、ちょっと踊りが小さくなった感があって、初演時に観た松下さんの勢いが懐かしくなりました。
木村さんの大僧正は贅沢な配役。
前回ソロルで観たときには華奢に感じたのですが、今回、あらわにした上半身にふんだんに装飾品を使い、ダークレッドの衣装も合っていましたし、ゴージャスな大僧正でした。

2幕のニキヤの幻影を演じる東バのコールドのクォリティの高さはタメ息もの。

3幕の結婚式の場面、すでにただのカタストロフを示す場面として、黄金の仏像以外、踊りにあまり目がいかないことが多いのですが、今回は、嫌々その場にいるソロル、大胆に現れては新郎新婦の間を駆け抜けるニキヤの霊、それに心奪われるソロルとガムザッティのパ・ド・トロワ、寺院崩壊、がれきの中、ただ二人残ったニキヤとソロル。白いヴェールを持って高みに登るニキヤと導かれるソロル・・・の幻想的で美しい場面まで、しっかりと流れがあって、物語の世界に没頭することが出来ました。

いや~、それにしても、こんなゼレンスキーを観ることができた、それだけでも、価値のあるこの日の舞台でした


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