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ポリーナ・セミオノワ「白鳥の湖」①

2007-04-12 03:35:15 | BALLET
10日の火曜日のソワレ、東京文化会館で、ポリーナ・セミオノワとフリーデマン・フォーゲルを東京バレエ団に迎えた「白鳥の湖」イワノフ版、全4幕をみて参りました。



昨年8月の世界バレエ・フェスティバルで「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊って注目を集めたポリーナ。モスクワのボリショイバレエ学校時代に、訪れた世界的ダンサー、ウラジーミル・マラーホフの目にとまり、そのまま彼のバレエ団に。
「僕のプリンセス」とマラーホフが言うとおり、秘蔵っ子として着実な成長を見せ、170cmの長身と小さな可愛らしい顔、長い手脚、抜群のプロポーションを持つ魅惑的なダンサーとして急成長。現在はマラーホフが芸術監督を務めるベルリン国立バレエ団で活躍中の22歳。



日本では3年前に東京バレエ団のゲストとして、「眠れる森の美女」のオーロラ姫で見ていますが、しっかりとしたテクニックと華ある舞台姿とともに印象に残っているのは豊かな表情。姫として登場した瞬間から、宮廷人たちにゆったりと微笑みかけ、まわりに微笑みの輪がなんとも優雅に広がっていく・・・という姫オーラを目の当たりにして今後要注目、と思っていたのですが。
件のバレフェスでは、打って変わって、野生的できりりとしたたくらみを秘めた魅惑的な黒鳥で、目力も凄い!甘い現代っ子のプリンス、フォーゲル君はなすすべもなく陥落・・・といった、ガラのPDDながらも、全幕で見たらどんなにか・・・と期待させる演劇的に面白い役作りで話題をさらった彼女。

今年で引退のフェリ、最後のガラとなるルグリなど、バレエ界でひとつの節目となる世代交代の進むこの数年、多分次の主役を張れるスターダンサーを捜し求めているであろうプロモーターのNBSがこれを見逃すはずはなく、早速組まれた今回の3日間にわたる公演、ちょっと楽しみにしておりました。

一幕、宮廷シーン。なにやら楽しげに女性ダンサーに囲まれる王子。
今まで見てきたベテランダンサーの役作りでは、一幕、登場から、宮廷では堂々たる王子振りを発揮して他とは一線を画すタイプや、憂愁の影濃く、現実の宮廷生活にあきたらないものを感じて、超自然的なものにロマンチックな憧れを宿すタイプなどを見慣れた目には、周囲に溶け込み、幸せそうな若者といった印象の自然体の王子は新鮮。
オデットとの出会いの場面も、なんてきれいな女性にめぐり合えたんだろう!とトキメく王子に対し、自らの運命を語り、少しずつ心を開いていき、はかなく王子に身をゆだねてそっと羽をたたむオデットに寧ろ憂いと深い情感が漂います。
あぁ、幸せ!と城に帰っていく幼い王子よりも、上記のちょっと大人びた憂いの王子タイプとの方が、このオデットは映えるのでは・・・と思ったりして

3幕は東京バレエ団のソリストの見せ場。素晴らしかったのはスペインの井脇幸江。美しいベテランダンサーで、持ち味であるキレのある踊りがこの役にあっています。スピーディな音楽に合わせて、何度も海老ぞっては手にした扇で床を打つ場面も、抜群の柔軟性と音楽性を感じさせる見所。
相手役は後藤晴雄。スペインは長身ダンサー2カップルがスタイリッシュに踊るシーンで、わたくしのお気に入りv
後はチャルダッシュのソリストで、プリンシパルに昇格した大嶋正樹が相変わらず端正な踊りで目を惹いたほか、マズルカで同じくプリンシパル昇格組みの中島周がきれいな指先を見せていたくらいでしょうか。
10羽一からげにされがちな花嫁候補たちにプリンシパルの小出領子や主要なソリスト役を踊る高村順子、西村真由美が配されている豪華なキャスト。さすがに小出領子のコントロールの行き届いた踊りと中国のポ-セリンのような繊細な腕の造形は目を惹きますね。

逆に何とかしていただきたかった・・・と思うのは、チャルダッシュの第2ソリストの衣装の配色。
男女ともにピンクを多用しており、特に男性のもったりとしたピンクのスウェードブーツはいただけません。
そして、何よりがっかりさせられたのは、ロットバルト。いつもは豪放磊落な役作りで陽性の魅力を振りまく高岸直樹の役ですが、今回はヒラリオンキャラの、端正な踊りと和顔の木村和夫が務めます。
高岸さんのときには気にならなかった紋章を黒で入れた白い胴着がサイズが合わないせいでしょうか、毛糸のベストのように野暮ったく見え、角をつけた甲冑の頭のような被り物が顔の表情を見せなくしているばかりか安物のアニメキャラのような雰囲気を醸し出していて、木村さんの端正な踊りと、ゴージャスなポリーナの後見人として似合わないこと甚だしく・・・・。
なんとも気の毒な感じが致しました。
早急に改善を望みたいものです・・・。




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