maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

モンテカルロバレエ団「LAC~白鳥の湖~」2015年日本公演

2015-03-02 05:59:07 | BALLET
Les Ballets de la Companie MONTE CARLO

LAC~白鳥の湖~

Japan Tour 2015



2015年3月1日(日)14:00 東京文化会館にて

王:ガブリエレ・コッラオード
王妃:小池ミモザ
夜の女王:エイプリル・バール
王子:ルシアン・ポスルウェイト
白鳥:アンハラ・バジェステロス
黒鳥:ノエラニ・パンタスティコ
王子の友人(相談役):アシエル・エデソ
闇の大天使:クリスティアン・ツヴァルジャンスキー、ブルーノ・ロケ

[欺くものたち]
虚栄心の強い女:キャンデラ・エッベセン
偽りの無関心を装う女:アレッサンドラ・トノローニ
放埓な女たち:フランセス・マーフィ、田島香緒理
貪欲な女:ガエル・リウ

狩人たち:
ルーカス・スリーフット、エドアルド・ボリアニ、コーエン・ハヴェニス、
オレリアン・アルベルジュ、ヨアキム・アデベリ、リー・ワン、
ダニエレ・デルヴェッキ、エドガル・カスティロ、ステファノ・デ・アンジェリス

その友人たち:
エレーナ・マルザーノ、アンナ・ブラックウェル、サラ・クラーク、
イー・スン、アンヌ=ロール・セイラン

キマイラたち(白鳥):
シヴァン・ブリツォワ、フランチェスカ・ドルチ、ティファニー・パチェコ
エレーナ・マルザーノ、フランセス・マーフィ、
田島香緒理、ベアトリス・ウァルテ、ガエル・リウ、
リイサ・ハマライネン、アンヌ=ラウラ・セイラン、イー・スン、
キャンデラ・エッベセン、アンナ・ブラックウェル

宮廷:
田島香緒理、エレーナ・マルザーノ、キャンデラ・エッベセン、
クイン・ペンデルトン、フランセス・マーフィ、イー・スン、
サラ・クラーク、アレッサンドラ・トノローニ
ティファニー・パチェコ

リー・ワン、ヨアキム・アデベリ、ルーカス・スリーフット、
ステファノ・デ・アンジェリス、オレリアン・アルベルジュ、エドガル・カスティロ、
ダニエレ・デルヴェッキオ、コーエン・ハヴェニス、エドアルド・ボリアニ


◆上演時間◆
第1幕 14:00〜14:50(休憩 20分) 第2幕 (転換) 第3幕、第4幕 15:10〜16:00

モナコ公国モンテカルロバレエ団の来日公演、2月27日(金)のソワレが初日、28日のダブルに続く29日マチネの千秋楽を見て参りました。
モンテカルロバレエ団といえば、巨大なシャボン玉のような球体によって暴力的な外界から守られているオーロラ姫という衝撃的な演出で記憶されている「眠れる森の美女」に始まる鬼才ジャン・クリストフ・マイヨ―の新解釈のモダンな古典作品と看板プリマである、銀髪のショートカットの洗練された筋肉質の美女ベニエス・コピルテルスがまず思い浮かぶところですが・・・。

今回の「LAC」はマイヨ―作品の中でもとりわけ評判の良いものらしく、楽しみにしていたのですが、噂にたがわず緊迫感をとだえさせることなく、ダイナミックなダンスと効果的でドラマチックな演出で短くも観ごたえのある凝縮された作品に仕上がっていてとても面白く楽しんでみることができました。

流れとしては、まず、冒頭に白黒映画のような映像で、金属のお面をつけた王と王妃、そして幼い王子がピクニックを楽しんでいると可愛らしい女の子と運命の出会い・・と思いきや、サングラスに黒のワンピース、洗練された50年代調のファッションの夜の女王が女の子を拉致、自分の娘を王子に押し付けようとする悪夢・・・から始まっての成長した王子を中心とする現代の宮廷シーンへ。

王子には親友がおり、彼は王子を仲間に引き合わせたり、ガールフレンドを紹介したりする一方で、彼のことを親身になって考えており、王子が罠にハマる前に察知して阻止しようと力を尽くすなど、踊りも含めて演じがいのある役どころ。後半のアシエル・エデソは素晴らしく切れ味の良いダンスと王子と似た雰囲気のラテン系な容姿でピッタリでしたが、初日と翌日マチネには日本人が1,2位を取った第42回ローザンヌバレエコンクールで6位に入賞し、モナコに留学してそのままモンテカルロバレエ団に入団した加藤三希央さんがキャスティングされていたらしく、そちらも観たかったな・・と思ったことでした。
この日も、男性群舞に加藤さん?と思えたアジア人男性ダンサーがいましたが、多分イ―・スンですね。お顔立ちが似ているので客席のオバサマが「三希央くん、日本のコンクールで一位を取っていた頃よく見ていて背が高いイメージがあったけれどこうして外国のバレエ団に入ると大きく見えないわね!」とおっしゃっていましたが・・・^^;



花嫁候補たちに代わる「欺くものたち」の設定が面白い。
王子に取り入ろうと彼を籠絡すべくあらゆる手練手管を使う女性たちの媚態がファッショナブルな衣装と果たして彼女たちの意図は王子に向かっているのか自己主張なのか・・・
おとなしく並んで心ここにあらずの王子に無視されるだけの古典の「白鳥の湖」における花嫁候補たちの一群による退屈な場面に比べてグッとキャッチ―な場面になっています。
ここで双子のようなコケティッシュな「放埓な女たち」に田島香緒理さんがクレジットされていますね。



設定といえば、悪魔ロットバルトに相当するのが「夜の女王」。エレガントで魅惑的な女性として登場し、王を誘惑します。王妃は何度も夜の女王と直接対決し、心変わりしそうな王にも詰め寄り・・・。
この大人の三角関係もまた見所の一つ。
小池ミモザさんが王妃ですが、上野水香さんばりに手足が長く長身で、パッツン前髪の黒髪ロングヘアーと相まって日本人的な個性的なお顔だちがエキゾチックで他と一線を画する女王という役どころにピッタリ。
大きく弧を描く脚のラインに沿って、金色のプリーツがたなびくお衣装がとても良くお似合いでハッとさせられました。
夜の女王役はもともと、コピエテルスに宛書きされた役だそうで、彼女で観たかったなと。
今回来日メンバーに入っていないのですよね。



そう言えば、2月27日に8月の「世界バレエフェスティバル」の概要が発表されましたが、コピエテルスはメンバーに入っていませんね。残念。彼女とベジャールバレエ団のジル・ロマンとの大人なデュエットが忘れられません・・。
ベジャール・バレエ団といえば、今回のバレフェスメンバーにはひとりも入っていない・・というのは珍しいかも。
現在ウラジーミル・マラーホフがアドバイザーとして東京バレエ団で仕事をしていること、2月20日に、ロシアと縁の深い斎藤友佳理さんが東京バレエ団の芸術監督に就任されたと発表されたことなどから、NBSもベジャールバレエ団との特別な兄弟バレエ団的な関係からロシア寄りに舵を切ることになるのかなと感じたり。



2幕から、王子は湖で白鳥と出会い、あの日の少女が成長して夜は白鳥昼は人間の女性に戻ることを知ります。
誕生パーティに現れた彼女に喜び勇んで両親にも紹介。彼女は白い衣装を身につけて仮面舞踏会の仮面をつけて、たおやかに愛らしく、オデットとしてふるまっており、王子以下皆がそれと信じて疑わない中、王子の親友が気付きます・・・が夜の女王の臣下たちに取り押さえられ・・・
愛を誓った王子に仮面を投げ捨て狂ったように嘲笑する女王の娘。
悲しみに打ちひしがれながら現れた本当のオデット。
そのオデットを追う王子。
王妃と夜の女王の対立。

混乱のさなか、人々が夜の女王の娘の遺体を掲げて進みます。
勝ち誇った夜の女王の顔がゆがみ、オデットと王子も含め全ての上に天井からつりさげられた大きなグレーの布地がまるで湖のように覆いかぶさります。
夜の女王の臣下がその端を持って走り・・・綺麗なドレープを描いてそれがまた天井に戻ると・・・

・・・そこには何も残されてはいませんでした。

ジャン・クリストフ・マイヨ―のマジカルな世界に魅了されたなんとも濃い2時間でした。
ゴンクール賞受賞作家のジャン・ルオ―が紡ぎ直した物語は昼と夜、二つの世界が拮抗して混じり合う簡潔にして濃密なドラマの抽象的な主軸がはっきりしていて、ダンスの見所も多く、マイヨ―作品の中では今まで観た中でBESTかも。
2011年モナコで初演。




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2 コメント

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Unknown (まりあ)
2015-03-02 07:27:59
モンテカルロ、ご覧になられるであろうなあ、とお待ちしてました。
ありがとう{CARR_EMO_392}ございます。 噂以上にドキドキする舞台だったのですね。なかなか来日しないでしょうし、美しい小池ミモザさんも観たかったです。
コピエテルスは来ませんでしたね、パリオペラ座のアニエス、イザベルのように引退したばかりだったらもしかしたら?と思ってましたが、残念でしたね。バレエフェスはなんかメンバーが固定されていて、新しい芽が感じられないですね。ロシア勢は少ないし、NBSもダンサーの発掘が最近は出来てないのかな? 久しぶりのゲランがルグリと踊るようで楽しみにしてます。
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Unknown (maria-pon)
2015-03-02 07:59:19
まりあさん
書き上げたと同時にコメントをお寄せいただき、ありがとうございます{ラブ}
オーストラリアバレエ団といい、モンテカルロといい、NBSの祭典プログラムに入っているから・・・と
大したモチベーションもなく劇場に向かったら思いがけず演出が良くてダンサーの質も高くて見直す!ということが多くて、やはり祭典会員はやめられないなと改めて思ったことでした(そこ?)
小池さんはもう、このバレエ団の顔ですね^^
大きく弧を描く長い脚の軌跡と凛とした王妃としての存在感が素晴らしかったです。
そうそう、バレフェス予定される出演者の今回の目玉(笑)はなんといってもイザベル・ゲラン!!
ヌレエフ時代のオペラ座を代表するヒロインでありながら、引退後、日本での公演を眼にする機会が全くなかったので・・・。
噂によると踊りは全盛期のままのクオリティらしいですよ!
本当に楽しみです。
ロシア勢は確かに少ないですね。
シュツットガルド組のほとんどが「元」になっているのがなんとも切ないです。
オペラ座以上にメンバーが充実していると思ったのは5年前くらいかしら・・・。
でもアイシュバルト様がバレフェスメンバーに入っていて良かったです。
そうそう、大御所ずらりの中、毎回、超絶技巧の(日本では)無名の若手がスターダムに踊り出るサプライズがバレフェスの醍醐味でもありますものね{ドキドキ}
今回は・・・どうでしょう?
色々と不満もありますがやっぱり楽しみですね。
A.Bプロ2日ずつ行くつもりですが、本当はもっと増やしたいです{止まるひよこ}
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