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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

Filage Quintet 東京芸大生のコンサート

2012-11-23 11:57:15 | MUSIC
2012年11月21日(水)19:00~
虎ノ門のJTビル、アフィニスホールにて

現役の東京藝大の学生5人による、フィラ―ジュ・クィンテットの第65回定期演奏会に行って参りました。

以下は、今回のプロデュースを手掛けられた元N響の首席ヴァイオリン奏者、川崎助教授の御挨拶。

「今回登場するのは、ヴァイオリンの石田紗樹と下田詩織、ヴィオラの松村早紀、チェロの山本直輝、ピアノの小塩真愛の5人からなるFilage Quintet(フィラージュ クインテット)。若さ溢れる5人の気の合った演奏をお聴きいただきます。
前半の曲目は、「冗談」と名付けられたウィットに富んだ仕掛けが楽しいハイドンの「弦楽四重奏曲 第38番 変ホ長調 Op.33-2 Hob.Ⅲ‐38」と、フランス室内楽作品を代表するラヴェルの「弦楽四重奏曲 ヘ長調」。後半は知名度こそないものの作曲家の資質が遺憾なく発揮されたフォーレの「ピアノ五重奏曲 第2番 ハ短調 Op.115」。
若い団体にありがちな力で押すタイプではなく、どちらかといえば繊細な表現が得意な彼らがこれらの難曲にどのようにアプローチするのか、どこまで作品の持つ内面に迫れるのかとても楽しみです。ぜひ会場に足をお運びいただき、若い演奏家の挑戦をご覧になっていただければ幸いです。

第65回プロデューサー:川﨑和憲」



Filage Quintet】
石田紗樹(ヴァイオリン)
下田詩織(ヴァイオリン)
松村早紀(ヴィオラ)
山本直輝(チェロ)
小塩真愛(ピアノ)


ハイドン : 弦楽四重奏曲 第38番 変ホ長調 Op.33-2 Hob.Ⅲ‐38 「冗談」
ラヴェル : 弦楽四重奏曲 ヘ長調
フォーレ : ピアノ五重奏曲 第2番 ハ短調 Op.115

ハイドンではまだやや硬さが見えたものの、ラヴェルでは瞬間4人の音色が混然と溶け合ってうねりを見せる素晴らしい瞬間などもあり、確かな技量を持つ若手による真摯な音楽への取り組みとラヴェルらしい華やかな色の4重奏でまずは前半。

第2部は、ピアノも加わり、フォーレらしい幻想的で華やかな作品を、地に足のついた演奏で、互いの音を感じながらの緩急もしっかりと見えて、息のあったグループ公演ならでは、でした。
5重奏曲自体が そうたくさん選択肢があるものではないと思うのですが、その中で、このフォーレの晩年の傑作を選んだ、という選曲のセンスの良さは、プロデューサーの手腕なのか、演奏者らの趣味をも反映しているのか、いずれにしても、構成の良さが際立って、音楽好きを満足させる演奏会だったと思います。

始まりのピアノのアルペジオから、弦が絡んで、雄大でちょっとノスタルジックな哀感もあるこの作品、大河ドラマや精細な心理を描いたフランス映画などにも合いそうだなぁと思いましたら、
1984年のフランス映画、ベルトラン・タヴェル二エ監督の佳作「田舎の日曜日」のラストに使われていたのですね^^
あの頃はフランス映画社配給で、受け皿としての芸術映画を上映するミニシアターも降盛を極めていた頃・・・で、わたくしも次々と上映され良質なヨーロッパの新作・名作に心奪われていた時期だった・・・と思い出したことでした


ポリーニ・パ-スぺクティブ2012 シャリーノ「12のマドリガル」

2012-11-15 09:33:19 | MUSIC
2012年11月14日(水)19:00~
サントリーホ―ルの小ホール「ブルー・ローズ」にて

偉大なピアニスト、マウリツィオ・ポリーニの企画公演、
ポリーニ・パースペクティブ2012、最終日の公演に行って参りました。



マウリツィオ・ポリーニ
ポリーニ・パースペクティヴ2012 室内楽公演

曲目 : シャリーノ: 12のマドリガル(7声のア・カペラのための)(日本初演)
12madorigals for 7 voices a cappella
出演:  シュトゥットガルト・ニュー・ヴォーカル・ソロイスツ(声楽アンサンブル)
Neue Vocalsolisten Stuttgart

70歳の巨匠は、健康上の理由でこの企画の実行そのものも危ぶまれたものの、持ち直されての待望の来日。
ベートーベンをメインに組立てられた企画は、現代音楽にその影響を観るとして、
マンゾーニ、シュトックハウゼン、ラッヘンマン、そしてシャリーノと、ポリーニが選んだ作曲家たちの作品がそれぞれの楽曲にあったアンサンブル、ソリストによって演奏される、というものです。
御大は自身では演奏されないものの、会場には姿を現されていました^^。

実は記事を起こす時間がなく、このブログでは割愛してしまったのですが、
10月24日(水)には、このシリーズ第一弾のマンゾーニ・プロにも行っており・・・。
ちょっと武満徹を思わせる、60年代のイタリア映画などできいたことのあるような
”あの頃のモダン”を感じさせる曲調で、逆に「現代音楽」というジャンルの、
ある地点でとどまりながら閉塞的に上昇を続けている現状を想起させられたり・・・。
というわけで、マンゾーニの作品はその質の高さを感じつつも、自分の心の琴線にふれるものではなかったのですが、今回のシャリーノはとても面白く観賞しました。

芭蕉の6つの俳句をイタリア語の詞にしたものをモチーフに6つの曲があり、それをテンポなどを変えて2回演奏する、という構成。
45分、休憩なし、のとても短いコンサート。
隣の大ホールではゲルギエフの振るマリインスキー歌劇場のラフマニノフやショスタコーヴィチが演奏されていたので、とても対照的ですね^^
全くのア・カペラで、男声3人女声3人カストラート1人の構成の7人の歌手が歌うのですが、それぞれが即興的にも聞こえる幅広い発声法を駆使した、決してハーモニーを奏でることのない難曲ながら実に美しい歌唱を聴かせてくれました。


芭蕉の句が、イタリア語訳になると、全く違った様相を示すのも面白く・・・。
例えば、最も有名な
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は

Sole alto
mare di cicale
bevono le rocce
日は高く
蝉の群れが
岩を飲み込む

となるわけで・・・。

俳句の持つ言葉の威力とそれに劣らぬ力強さを持つ音楽とのぶつかり合いが、
新たなる飛翔をもたらす、というような意味が、作曲家自らの筆による充実したプログラムの解説に寄せられていましたが。
全くそのとおりで、時に声明を思わせる曲調が、沈思黙考から眠りに至る心地よさを時としてもたらすことも無きにし非ず^^;でしたが、それは退屈だから、では決してなく・・・^^;

歌手たちの技量は素晴らしく、プロフィールを見ると、現代音楽の声楽曲を専門として引く手あまたのグループだとか。シュツットガルト、といえば、わたくしの大好きなバレエ団がありますが、音楽のレベルも高そうですね。
大都市ではないのに、文化都市としての存在感が只ならないところに、興味を惹かれます。

終演後は、空席の目立つ小ホールの数少ないしかし熱心な観客による、大きな拍手が寄せられ、
客席で観賞されていた作曲家自身も舞台に上がり、称賛を受けていらっしゃいました。

それにしても、現代音楽、のジャンルが日本においては、武満以降停滞しているような印象を持つのに対し、イタリアでこのような意欲的な試みが続いていることは嬉しい驚きでした。

ポリーニが、こういうプロデュース公演を自らの演奏と絡めて企画しようという根底に、シルヴィー・ギエムが熱心に現代の振付家の新作を見ては自らの公演に組み入れることでダンスの観客に新たな才能を紹介しようとするのと同様の、自分の属する芸術ジャンルに対する、歴史的な責任を果たそうとする意志を感じた公演でした


横坂源 ソロリサイタル

2012-09-13 01:38:42 | MUSIC
2012年 9月12日(水)
かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールにて

若き俊英チェリストによる、ソロ・コンサート。

横坂源 25歳。
4歳半でチェロを手にし、15歳で全日本ビバホール・チェロコンクール最年少優勝。
2010年(23歳?)難関、ミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門で2位入賞。
桐朋、芸大を経て、現在、シュツットガルト国立音楽大学に在学中。
サントリーホールディングス所有の1710年Pietro Giacomo Rogeri制作のチェロを貸与されている。
ラ・フォル・ジュルネ新潟に続けて参加している模様。

ピアノ伴奏が 北村朋幹。
1991年生まれということは21歳?
愛知県出身。各種コンクール受賞経験を持ち、芸大を経て、現在ベルリン芸術大学に在学中。
師匠はライナー・ベッカー、伊藤恵。
アナリーゼが得意らしく、演奏会のプログラムは通好みの選曲と解説だそうですが、
残念ながら、今回はご自分が主ではないからか、準備されていない模様。


若手実力派、ということで楽しみにしておりました。

演目は

ベートーヴェン:モーツァルトの「魔笛」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66
ベートーヴェン:連作歌曲集「遥かなる恋人によす」 Op.98
シューマン:幻想小曲集 Op.73

<休憩15分>

メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.58 

アンコール: サンサーンス「白鳥」


一曲目、ピアノの音とチェロの音の音量がアンバランスで演奏もちょっと硬い?
こんなものかと思いきや、
2曲目では端正なドイツ歌曲らしい、精神的な理想を求める愛と憧憬が端正な演奏の中に香り立ち、ベートーヴェンらしい情熱も感じ取れる良き演奏。

いよいよ興が乗ってきたかと身を乗り出すと、
3曲目のシューマンでは、非常に伸びやかに
チェロという楽器のポテンシャルを自在に引きだし、歌い上げる。
ピアノとの息もぴったりで、楽曲のロマンチックな味わいがいい形で浮かび上がってきました。

休憩の後の、第2部では
メンデルスゾーンのチェロ・ソナタ。
色々な技巧を凝らした作品ですが、そこにとらわれすぎず、曲の持つ明朗な疾走感を活き活きと表現。
若手らしい生命力と、若者離れした端正さを併せ持つ、気持ちの良い演奏でした。

アンコール曲は
「瀕死の白鳥」で有名な、サン・サ―ンスの「動物の謝肉祭」から「白鳥」を。
先月のロパートキナ様の「瀕死」がフラッシュバックして思わず目頭が熱く・・・;;
わたくし自身の好みより少しアップテンポなのが気になりましたが、チェロの響きが美しくて・・・。
やはり、生演奏は良いですね

お二人とも、細身で可愛らしいVISUALなれど、音楽的にはすでに様々なオケとの共演など、経験を積みながら成熟していらっしゃる模様。
これからの一層の成長が楽しみな若手2人、でした





ミンコフスキ指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢東京定期公演

2012-07-27 04:56:13 | MUSIC
2012年7月26日(木)19:00~
サントリーホール 大ホールにて。

岩城宏之氏が創設された、日本最初の室内楽オーケストラである、
オーケストラ・アンサンブル・金沢(以下OEK)の東京公演に行って参りました。

今回の目玉!は、2009年ルーブル宮音楽隊を率いて来日公演を行い話題をさらった
指揮者、マルク・ミンコフスキの初めての日本のオーケストラとの共演。



プログラムが、20世紀初頭のパリ、というテーマで、興味深いラインナップです。

7月のOEKの定期公演はマイスターシリーズ、ということで,著名な客演指揮者が続々登場。
まずはダニエル・ハーディングとのベート-ベン。
続いて金沢、この日のサントリーホール、そして28日にみなとみらいで共演するのがマルク・ミンコフスキ。
ラ・フォル・ジュルネでもお馴染みのシンフォニア・ヴァルソヴィアの音楽監督も務めている方なので、バロックから古典派の専門家、というイメージが強く、今回の演目はかなり意外な感じもありましたが・・・。

いただいたパンフレットの曲紹介が詳しくてわかりやすかったので、そこから引用しつつ雑感を。



■ヴァイル:交響曲 第2番 

ブロードウェイ・ミュージカルやハリウッド映画で有名なクルト・ヴァイル(ワイル)。
1900年ドイツ生まれの彼ですが、「三文オペラ」で成功した後、1935年にアメリカに渡る前に、2年間パリで過ごしているんですね。
そのパリ時代に書かれた珍しい交響曲です。

初演はブルーノ・ワルター指揮、アムステルダム・コンセルトへボウ・オーケストラ。
第1楽章:ソステヌ―ト~アレグロ・モルト
「陰欝な序奏部で開始され、トランペットの悲痛なソロ。続く主部は闘争的な性格を持ち、t執拗なリズムの反復の合間に管楽器のソロが交代して現れ、合奏協奏曲風の印象を残す」
第2楽章: ラルゴ
「ノスタルジーを喚起させる葬送行進曲。しかし悲劇性の中に諧謔と機知が混在して複雑な表情を描き出す」
第3楽章: アレグロ・ヴィヴァーチェ~プレスト。
「軽やかな舞踏に愁いとアイロニーがつきまとい、解決されない気分のまま前進し、性急なコ―ダによって曲を閉じる」

確かに、独特のメロディライン、ジャズを想起させる展開など、クルト・ワイルらしい曲想があり、それがこういう交響曲のスタイルをとっている、というのがなんとも興味深い。
OEKの演奏は引き締まっていてレベルが高くしかも程よくつつましやかな品の良さがあり、これは・・・と居住まいを正して次にも期待。


■プーランク:2台のピアノのための協奏曲 ニ短調

2台のピアノのために書かれた協奏曲、ということで、珍しい演奏なのかと思いきや、このオーケストラにとっては定番の一曲らしいです。
逆に指揮者やソリストで化学反応に変化が生じるのを楽しむ、というのがOEKファンのスタンスだとか^^

ピアノは、ナントの「ラ・フォル・ジュルネ」で注目を集めたという若き天才と名高いギョーム・ヴァンサン21歳と
地元金沢出身のピアニスト田島睦子さん。

ヴァンサンは、演奏の小休止の最後の音のあと、パッと手足をばね仕掛けの人形のように伸ばしたり、軽快な感情表現が肉体的に連動して目に見えるタイプのピアニスト。
楽曲への親和性が機知に満ちた演奏と喜びに溢れた表現に現れていて、プ―ランクのフランス人らしいエスプリに満ちたこの作品に良く合った軽やかな演奏振り。
対する田島さんは、クールでエレガントなお姿なれどはんなりとした演奏で、好バランス。

初演は1932年。ヴェネツィア国際現代音楽祭にて、ソリストは作曲者自身とジャック・ファブリエ。
デジレ・デフォー指揮。ミラノ・スカラ座管弦楽団。

第1楽章: アレグロ・マ・ノン・トロッポ
「軽快で洒脱な楽想が次々に連続する中に時折思わせぶりなメランコリーが漂う。
ストラヴィンスキーやモーツァルトを想起させながら、意外性のある静謐な終結部へとたどり着く。」
第2楽章: アンダンテ・コン・モート。
「モーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調K467の第2楽章のパロディあるいはオマージュと呼ぶべきか」
第3楽章: アレグロ・モルト
「突き抜けた能天気さ、クールな詩情、快活さと陽気さを交錯させながら、ブリリアントなフィナーレを迎える」

これは名演。
客席の拍手も長く続き、第3楽章をまるまるアンコール。

ここで休憩20分。

サントリーホールはホワイエでもお茶が出来ますが、目の前のオ―バカナルに走って好きなもので喉を湿すことが出来るのがありがたいです

■ラヴェル:マ・メール・ロア(全曲)

タイトルは「マザーグース」で、フランスのおとぎ話ダイジェストの趣。
とはいっても子供だましではもちろんなく、ラヴェルらしい色彩豊かな幻想に心地よく酔わせてくれる作品。

はじめは友人夫婦の子供のための連弾曲として書かれたそうですが、その翌年1911年に連弾版を管弦楽化した組曲版、さらに曲順を入れ替えて場面と間奏を付け加えたバレエ版に進化。

>曲は満ち足りた「前奏曲」で開始され、「紡ぎ歌の踊りと情景」に進む。
王女は紡ぎ車の紡錐で手を刺し、魔法使いの呪いによって眠りに落ちる。
ゆったりとしたフルートのソロに導かれて「眠りの森の美女のパヴァーヌが奏でられる。

続いて「美女と野獣の対話」
クラリネットの美女にファゴットの野獣が応える。
囚われの美女が野獣の求婚に応えると野獣は王子に・・・。

「親指小僧」は森に捨てられた親指のように小さな男の子のお話。パン屑を撒いて帰り道を示したのに小鳥が食べてしまいます。迷子になって行った先には恐ろしい場所が・・・

「パゴダの王女レドロネット」中国の陶器の首振り人形がパゴダ。
呪いで観にくくなったレドロネット姫。見知らぬ城にたどりつくと人形たちが王女を歓待。

最後は「妖精の園」。
「眠れる森の美女」の終幕。王子が美女の目を覚まし大団円。
繊細で彩り豊かな管弦楽が終幕を盛り上げます。


こちらも色彩感溢れる良い演奏でした!
緻密に作り上げられた上で、曲の世界を大切に楽しみながら演奏している様子がソリストのみならず楽団員全員から感じられて、ステキなラヴェル。
アンコールは「パゴダの王女」。
中国風の銅鑼の音など、バレエ音楽でのデイベルティスマン部分でしょうか。エキゾチックで素敵でした



マリオ・ブルネロ ファジル・サイ DUOコンサート

2012-07-01 06:39:22 | MUSIC
宙組公演も終盤となり、連日劇場通いです。
28日木曜日の夜公演、30日土曜日の11時公演、そして今日の千秋楽・・・という絶賛タカラヅカ週間の狭間に、これは外せない・・・といただいたお誘いに即・行きます!と良いお返事



神奈川県立音楽堂にて

2012年6月29日(金)
【マリオ・ブルネロ&ファジル・サイ デュオ・コンサート】

シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D821
ファジル・サイ:4つの都市―ピアノとチェロのためのソナタ(新作)
フランク:チェロ・ソナタ イ長調 
ドビュッシー:チェロ・ソナタ
 
 6月29日(金) 19時 00分 開演

初めて行くホールでしたので、6時に会社を出て7時に横浜の紅葉丘・・・大丈夫かしら、とヒヤヒヤしましたが、
横浜駅東口からタクシーで、なんとか2分前に着席!
やれば出来るのね・・・

1954年11月4日設立のホールだとか・・・
さすがに年月を経た感じはありましたが、ロビーも広々としていて、すり鉢状のホールの音響も良く、視界も広くて、快適でした。まぁ、お席がちょうど客席の中心部だったこともありますが・・・。


さて、まず第一部、シューベルトは、伸びやかで、メロディーの美しい流麗な作品。
ちなみにアルぺジョ―ネとは1823年ごろに流行った新しい楽器で、チェロのように立てて演奏するスタイルのギターっぽい6弦の楽器だったとか。
ブルネロは本領発揮で最初から曲の世界に遊ぶ余裕を感じましたが、ファジル・サイは、やはりというか、伴奏としての演奏はあまりお得意ではないのかも?
チェロメインで寄り添うような伴奏ピアノが、もともとの曲としての意図だとは思うのですが、やや主張してしまうのは彼の個性からして致し方のないことかもしれませんが^^;

2曲目は、ファジル・サイ自身の作曲作品。

プログラムを見ただけではわからない・・・と思っていましたら、ちゃんと、彼自身による、作品紹介のメッセージの印刷物が配布されていました。

>4つの都市―ピアノとチェロのためのソナタ Op.41
1.スィヴァス  2.ホパ  3.アンカラ  4.ボドルム

今回、私が作曲した「ピアノとチェロのためのソナタ」では、I: スィヴァス(Sivas)、II:ホパ(Hopa)、III: アンカラ(Ankara)、IV: ボドルム(Bodrum) といったトルコの4つの都市を取り上げています。
スィヴァスには中東特有の民謡があり、黒海の西に位置するホパはカルカス・ダンスで有名、アンカラは私自身が生まれた都市で思い入れが深く、ボドルムは夏のバケーションを楽しむ場所として有名なので、バーで楽しんでいるような雰囲気を出すためジャズ風に仕上げました。各都市にはそれぞれの気候、雰囲気、伝統があり、それら各地の民謡(Folklore)を各楽章に取り入れています。
皆様にはこのソナタを通して、まるでトルコを旅しているような雰囲気を味わっていただけたら幸いです。
ブルネロさんのエネルギッシュな演奏にもご期待下さい!

                         ファジル・サイ(ピアニスト・作曲家)

ということで・・・^^
わたくし自身、行ったことのあるトルコの都市は、この中ではアンカラのみ。
あとはイスタンブールとかカッパドキアとか・・・
アンカラは華やかな歴史・文化・貿易の都市イスタンブールと比べると地味な内陸の都市、という印象でしたが、この作品のなかでは一番シャープで現代音楽的な作りになっていて面白かったです。


間、休憩を挟んでの第2部

フランクのチェロ・ソナタはもともとバイオリンソナタとして書かれたものだとか。
「循環形式」と言われる、主題の変奏、少しずつ転調しながら繰り返されるフレーズが心地よい陶酔感を生み出す・・・という作品で、フランクをあまり聞いたことのないわたくしには新鮮。
ただ・・ここでも、ファジル・サイが準備不足だったのか、楽譜を観ながらの演奏で、ミスタッチも多く、ちょっと流麗さに欠ける感じが、彼の個性と言えばそうなのですけど、ちょっと曲とは合わなかったかな?と思いました。
4楽章のチェロとピアノの掛け合いのような場面になると、ようやく温まってきたのか、優しい主題ののメロディーが対話のように進行していく中で熱を帯びてくる感じはこのデュオならではの感覚で、最後拍手が多かったのは第4楽章の出来が良かったからだと思っています^^;
演奏会の後、ヴァイオリンと伴奏ピアノでの、同曲を聴いてみたのですが、え、これってこんなに華麗でドラマチックな曲だったの!?と驚き(笑)
そう、同じ曲でも印象がそれぞれのアーティストによって異なる、これこそが生演奏を観賞する醍醐味なのですから。良いのです^^

ドビュッシーのチェロ・ソナタ
これが、この公演の白眉
今年はドビュッシー生誕150年ということで、演奏会でとりあげられることが増えているような・・・。
ドビュッシー(1862-1918)は好きな作曲家なので、嬉しいことです。
この作品は、最晩年に講想されていた室内楽シリーズ6作の第一作目(3作目で中断)

3楽章で15分程度の短い作品ながら、ドビュッシーならではの幻想的な曲調、チェロのピチカート奏法など、様々なテクニックを織り込んでの見せ場も多く、第3楽章でのピアノとチェロの掛け合いが活き活きとしていて、息の合った2人の自由な演奏が活かされた名演でした。

ほぼ満席の会場も大きな拍手を送り、満足。
アンコールを3曲拍手に応えて演奏してくださいましたが、気にいったのは2曲目のJAZZっぽいもの。
最初と最後は大人しめのしっとりとした小品で。

本プログラムの最後のドビュッシーが本当に素晴らしかったので、本当は上書きされずに、その余韻を持ちかえりたいくらいだったのですが・・・まあ、贅沢な文句ですね^^;
終演は予定より30分ほど遅れて、9時15分頃でした。