◆添付写真も今から半世紀以上前にBookOff100円コーナ-で購入したものだ。きちんと購入してたが『小説の方法』(岩波現代選書)、それは薄青色の表紙だったが、よりハンディ版にとさらに書き改めたいとのことで出版されたもの。中に時折、鉛筆でメモ書きがしてあったから、やはり、大江を知りたいと願う方が多くおられるのだろうと。2006年4月24日第33刷発行となっているので結構、読まれたのだろう。これも当然、めちゃくちゃ引用が多い。知識が増すには助かるが、彼自身の作品自体からすれば引用される作家、思想家、音楽家、画家、建築家・・・までが、当然と言えばそれまでだが、引用文そのものは分かりやすい。◆そもそも、つまるところ彼自身が見出した小説の方法、その『異化』する、されるということ自体、引用された方々は『異化』などとは改めて考えてもいないわけで、彼自身がその引用文で、自らの方法、見方を用いてグタグタ(愛する健三郎さんごめんなさい)と解説しているものである、と考えれば分かりやすい。先に書いた彼の『私という小説家の作り方』(新潮文庫)のそれぞれの引用を用いての解釈、説明にも実に僕は、いろいろ述べたくなってしまうのだったが、それ以上に、この本にもいろいろお尋ねしたくなる分部があれこれと出てくるのだった。ご自分の作品を引用としてこう用いたなどとは決して種明かしはでてこないのだ。「同時代ゲーム」の養護施設で主人公が語る場面や、まさに、あの批評家小林秀雄からコケにされた妹に手紙を出す冒頭の主人公が述べる部分(彼はめずらしく自己の作品を引用している<p95>)が、学生時代から職業作家とならざるを得なかった語学万能、知識豊富な多読家の彼は、こんな作品から引用してたんかと、それにしても、まんまちかいな、と思われる文章が掲載されている(と僕には思われた)・・・次回、紹介。
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