つづきです。『神の国の証人ブルームハルト親子』(井上良雄 著:新教出版 より)
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この頃から、ゴットリービンの病気は、ブルームハルトの真剣な祈りの対象となった。
この事件が収束してから、6年後に「弁明書」(ド・ヴァレンティ博士に対し書いた)の中で、彼は当時のことを回想しながら、次のように書いている。
「私は、村長ともう一人私の教会の深い信頼を持つキリスト者と一緒に、週に2回あるいは3回、私の書斎で祈った。
私は、これらの人々が、知恵と力と助けを求めて、神に捧げる熱心な祈りを、忘れることができない。
私たちは、共に聖書全体を調べた。そして、聖書が私たちを導いてゆくところよりも先には進むまい、と互いに確認し合い、警めあった。
奇蹟を行うなどということは、私たちの念頭には少しもないことであった。ただ私達には、悪魔が今もこのような力を持っていること。
そして人に知られるそのような悪魔の網が、人類の上にかけられていることが、深い悲しみであった。したがって、私たちの心からの同情は、単にその悲しみを目の前に見ているこの人〔ゴッドリービン〕に対する同情だけではなかった。
私たちは、神から離れ魔法の密かな罠に絡めとられている無数の人々について、神の前で嘆き、呻吟した。そして、神が、少なくともこの事件においては、私たちに勝利を与え、サタンを足の下に踏みつけさせてくださるように、祈った。」
この文章には、ブルームハルトがゴッドリービンの事件において何を見たか、そしてそれに対してどのような姿勢で立ち向かったかが、よく示されている。そこには、私たちがこの事件を好奇心などの対象として眺めることを許さぬ厳しいものがあるが、しかしそのような考察は、先に譲らなければならない。
われわれは先ず、この事件そのものの後を追ってゆかねばならない。・・・つづきます。