ハマちゃんのひとり言

鉄道と地図を趣味とする、元地図屋さんだった団塊人です。

東急百貨店東横店の下に渋谷川!

2012年04月27日 | 最近の話題

昨日渋谷東急文化会館跡地に複合施設「渋谷ヒカリエ」が開業し、渋谷駅周辺は大きく変貌を遂げています。歴史を遡ると終戦後間もなく、この辺りには闇市の露店を集めた「渋谷第一マーケット」と呼ばれたバラックが建っていたとの事。先日図書館で東急グループの秘話を集めた「東急外史-顔に歴史あり-」田村五郎著に現在の東急百貨店東横店東館の前身の「東横百貨店」が出来るまでの秘話が書かれていました。それによると実は「東横百貨店」は渋谷川の上に建てられた事を知りました。

【現在の東急百貨店東横店東館(現在でもこのビルの下を渋谷川が流れている)】

昭和2年東横線開通後の昭和7年東急電鉄(当時は東京横浜電鉄)の創始者・五島慶太は師として仰いでいた阪急電鉄の小林一三にならって、東都初めてのターミナルデパートを渋谷駅に建設する事を決意しました。しかし渋谷はすり鉢状の谷あいで、しかもその中心部を北から南へ渋谷川が流れており、それを避けて通れず、常識的な見方からするとそこに百貨店を作る事は不可能な事でしたが、五島慶太はその不可能を可能に変えてしまったのでした。その「川の上に百貨店」を作った秘話がその本に書かれていました。

【完成後間もない頃の「東横百貨店」(ビルの脇をバスが停車している。】

その逸話とは「まず宮益橋幅員拡張願いを当局に出すことによって、承認を得たうえ幅員拡張を実施する。ここをバスの折り返し場として使用することもまた当局に承認させる。バスの折り返し場ともなれば、雨天のことも考えて利用者の為に屋根をつくる。屋根まで許されるなら二階を作るのも大同小異、むしろ空間利用という点で結構なことではないか。そこに食堂、売店を設置すれば、利用者の利便はこの上もなし。

【昭和22年・渋谷の航空写真:「東横百貨店」の南北に渋谷川がハッキリ写っている!】

ところで、これらを木造にするならば、むしろ安全のために鉄筋コンクリート造が理に合っている。鉄筋コンクリートにするぐらいならばいっそ五階程度の百貨店ビルがいいだろう。いや、七階だっていいはずだ。それでいこう。現在の東急百貨店東横店東館(旧館)は、こうして渋谷川にまたがるかたちで建てられたものであった。」と書かれていました。

【東急百貨店東横店の東館だけ「地下」がない!(東急百貨店HPより)】

この様に五島慶太は決して法を踏みにじったものではなかったが「これはおかしい当局と東京横浜電鉄との間で、なにか癒着があるのではないかと」その筋に疑惑を持たれた“ふし”はあったようでした。しかし五島慶太は独創的な構想力・強い胆力よって「川の上の百貨店」は実現したのでした。現在では東横線のホームの下も渋谷川が流れています。

【今後の渋谷駅周辺再開発予定イラスト:東急百貨店東横店の跡に「埼京線」ホームが!】


京急の3線軌条ポイント!

2012年04月16日 | 鉄道

先月お彼岸のお墓詣りに京急・六浦駅に降り立ったおり、昨年末に京急・広報課の方から教えていただいていた六浦駅の「3線軌条ポイント」を見て来ました。京急の金沢八景駅から神武寺駅まで区間は以前から京浜急行の標準軌道(1435mm)と狭軌道(1067mm)の三本の線路が引かれている日本では珍しい線路形状をしている場所として知られていました。

【京急逗子線・六浦駅の上りホームから見た「3線軌条」です。錆びついている線路が狭軌道線路】

 

【京急電車(標準軌道)とJR電車(狭軌道)の車両サイズ表

:線路幅が狭いJR電車の方が車輪端から26Cmも車体幅が広いのに驚きますね!】

その理由は金沢文庫駅と金沢八景駅間にある東急車両㈱(4月から現総合車両製作所)で製作されて狭軌道の電車をJR逗子駅まで運搬する必要から生まれてものでした。その為、六浦駅の上りホームは狭軌道の電車規格に合わせて、車両がホームにぶつからない様にゆとりを持たす必要から、なんと京急電車とホームとの間は26Cmもの隙間が開いていて、お客さんは乗降時ちょっとした危険を感じていました。

【六浦駅では以前緑色位置に狭軌道線が引かれており、ぶつからない様に26Cmも隙間があった】

【六浦駅の上りホームにぶつからない様に狭軌道線を移動している】

昨年の10月に京急はその対策として「3線軌条ポイント」を設置して、その問題を解決する事となり、六浦駅の隣接した部分の狭軌道の線路(3本目)をホームよりに移動し、ホームとの隙間を通常の駅ホームと同じ8Cmに改良したそうです。おそらくこの様なポイントは日本国内だけでなく、海外でもあまり例がないのではと思われます。一度その区間を走る電車を見てみたいですね!(車両工場からJR逗子駅までの新造車両の回送運転は京急の通常運転が終了した夜中に行われるとの事です!)

【六浦駅から新逗子駅方面を望む:「3線軌条ポイント」が見える!】

【上り電車から六浦駅方面を望む:狭軌道線線路がホームを避けているのが判る!】