還暦直前に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症弁形成術体験記)

還暦を目前にして滋賀医大の浅井徹先生の執刀で僧帽弁形成術を受けました。
私の体験が同病の方の参考になれば幸いです。

心エコーのbefore-after

2011年05月14日 | 各ステージでのまとめ
心臓弁膜症の検査手法に心臓超音波検査(心エコー)があります。重傷度の診断や手術の要否については、この検査結果がもっとも重視されると言っても過言ではありません。
そのため、手術直前と直後には必ず心エコーが実施され、患者自らそのデータを知ることが出来ます。
そしてもっとも信頼の置けるこの検査が体への侵襲が無く、ほとんど負担にならないというのは本当に素晴らしいことです。
経食道心エコーの場合はプローブを飲み込みますので、少し負担になりますが…

さて、この心エコーの結果が手術前と後でどのように変化したのでしょうか。
まずは手術の4日前のデータからご紹介しますね。
僧帽弁閉鎖不全(MR)  severe -- レベル4で重度の逆流
三尖弁閉鎖不全(TR)   trivial -- ごくわずかという意味
肺動脈弁閉鎖不全(PR) trivial
全く問題がないのは大動脈弁だけという有様(^^;)
ちなみに逆流度合いは軽い方から
trivial(レベル1)   ほんの少し
mild(レベル2)    少し
moderate(レベル3) やや多い
severe(レベル4)   だだ漏れ
で表します。

弁はこんな感じでしたが、逆流により左心房径が拡大しています。
正常値(19-40ミリ)に対して、44.2ミリ。
6月の検査では38ミリでしたので悪化が見られます。
また肺から左心房に入る血流がスムーズに流入しなくなります。逆流により左心房に血液が滞留するためです。その結果肺にも血液が滞留しうっ血状態になってきます。肺の血圧が高い状態となり(肺高血圧)、それは右心室収縮期血圧として測定されます。
数値は47mmHgでした。
心エコーで測定できるってすごいです。あるいは測定というよりは計算なんでしょうか?
右心室収縮期血圧の正常値は35mmHg以下(通常は20mmHgぐらい)だそうで、それだけ肺の血管にも負荷がかかっています。
だいぶいろいろ悪くなっていました。

さて、続いて手術3日後のデータです。
病名がいろいろ追加されて
無症候性脳梗塞、うっ血性心不全、僧帽弁閉鎖不全症
となりました。
心エコーの後にMRI検査で微少脳梗塞が発見されたためのようです。
僧帽弁閉鎖不全(MR)  trivial
三尖弁閉鎖不全(TR)   trivial
肺動脈弁閉鎖不全(PR) trivial
大動脈弁は問題なし

左心房径は35.2ミリで正常範囲
肺高血圧もほぼ解消し、右心室収縮期血圧は一応正常範囲の32mmHgに下がりました。

ところで心臓の動きを診断する駆出率(EF)については、術前は74%でしたが術後は69%に下がっています。正常値は50-80%です。
悪くなったの?
術前は左心室の収縮により血液が大動脈に出ていくのと、僧帽弁から逆流して左心房に出ていく、つまり行き先が2つあったのですが、手術により行き先が大動脈だけの1つになったため、駆出率の数値としては悪くなりました。しかし実際にはほとんど100%の血液が大動脈に行くため、体循環する血液量は激増しています。
逆流がレベル4程度まで悪化すると、左心室がぎゅっと収縮して血液を押し出しても、半分ぐらいは逆流して左心房に戻ってしまいます。つまり体に回る血液は半分なんですね。半分ということは実効駆出率は74%÷2ですから37%、このままではかなりの心不全状態です。そこで体循環血液量を確保するため心臓は拡大し、全体のマスが大きくなります。

それでも次第に追いつかなくなり、自覚症状が出てくるようになります。
私は自覚症状が出始めたところで入院、手術になりました。


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