今日テレビの歌番組を見ていたら、「ちあき・なおみ」の「喝采」という歌をやっていた。
「いつものように、幕が開き・・・」という、彼女の代表的ヒット曲である。
「歌の中にドラマがある」、彼女の歌を評して良く言われる言葉だが、この歌を聞いているとその意味が良く分かる。
自身の経験を歌にしているような歌詞だが、実際はフィクションらしい。
そんなことを感じさせないような歌唱力で、聞くものの心をわし掴みにするようなところがある。
歌は歌手と作詞家、作曲家、編曲者の織りなす総合芸術であると思う。
だが、異色作「夜へ急ぐ人」を聞くと、表現者としての歌い手の重さをひしひしと感じる。
この歌を歌っている時その姿は、「鬼気迫るものがある」という言葉を当てはめたい。
ポルトガルの歌手「アマリア・ロドリゲス」のファドを翻訳して歌った曲に、「霧笛」というのがある。
「あなたの飲んだワインに毒を入れたわ。それは私の愛のあかしです。」
とんでもない歌詞を、さらりと歌っている。
「感心する音楽より、感動する音楽を」。
まさしくその言葉がぴったりと当てはまる歌手、それが「ちあき・なおみ」と言えよう。
芸能活動のバックアップをしてくれていた最愛の夫を亡くし、芸能界からきっぱりと身を引いたというドラマティックな潔さも素晴らしい。
子供がいるかどうかは知らないが、今は静かに幸せな人生を過ごしていることを願いたい。