maruの下手の横好き写真とつぶやき
写真を撮ったり、音楽(クラシック・ロック)をよく聴き、読書は古典(主に哲学中心)がメインです。全体主義社会の動きに警戒。
 



ダグラス・マレーが書いた、「大衆の狂気」という本を読んだ後、別の本を読みながら、もう一冊同じ著者の「西洋の自死」という本も読みました。

500ページの厚みは重厚感あります。電子書籍では重さは分かりませんね。重さも読書に影響する。読み終わった後の達成感とかも違うだろうなと思います。

この本は2017年販売され、2018年に邦訳が出たもので、主に難民・移民問題を、中心に欧州の抱える闇を深くえぐる・・・ある意味リベラルな欧米人が見たくない・聞きたくない問題を露わにしています。

両著とも、差別問題が絡む話になりますが、差別はいけないという世の中の流れに対し、問題提起するだけで差別主義者や極右とかのレッテルを貼り、問題を直視しなかったばかりに大問題が沸き起こったという内容です。問題をはぐらかしたり隠蔽する側が非難されず、実は正論を言っていた人達が非難されまくるという状況(コロナでも同じような感じ)・・・のスケールの大きさに目がくらみます。

おそらく、極右や人種差別主義者のいう事と似ているから、自分たちはリベラルは絶対に差別しないぞ!みたいな意地で何が何でも正義を貫き、一度決めた事を撤回するとそいつらに攻撃されて不利になるからと、方向転換できずに自らドツボにハマっている感じがします。

まあ、確かに一部の差別主義者もいますよね。でも同じ事を言っているから、同じグループとは限らない。今の世の中こういう事が多いです。

自虐史観というと、日本独特の空気だと思っていましたが、欧州でも結構強烈だというのも驚きでした。まあ、そらそうです、植民地支配にしろ、差別にしろ、中東・アフリカなど自分達の都合で国境線引いたりで好き勝手やってる印象もぬぐえませんからねえ。日本の方がマシだったりする。欧米人としては自分達が世界の最先端で他の地域は遅れた人達と思っていた訳で・・・

その反省もあって、難民は積極的に受け入れるべしというのが、コンセンサスになっており、気づけばそれが度を越えて、元々住んでいた人たちを脅かすようになったとき、どうするのか?という問題が露わになります。自分たちの国のアイデンティティに係る問題です。

果たして、自国民が少数派になっても自分たちの国なんだろうか。

 

こっから、また長くなるので読みたい人だけどうぞ。

 

各国で共通しているのは、政治指導者や人道主義者は、難民はお金を稼いだら自分の国に帰ると思っていたという事です。途中から、自分の国に同化し自国民として生活する、納税者になって国に貢献すると説明するに至る(この辺、いまの日本ですね)。でも実際は永住化し子供が増え、かつ母国から家族を呼び寄せるし、出生率も高いので、人口比率がくるってくるという問題に直面します。

そして人種問題という枠を超え、実は重要なのは宗教問題だったと分かってきます。日本の場合、宗教には寛容だからお互いに好きにすれば・・・という人は多いでしょうが、一神教の国ではそうはいかない。おらが神様を侮辱すんのかコラ! となるのは必至です。永住化しても、イスラム教の人達がコーランを捨てる訳もなく、お互いに軋轢も生じます。もっと言えば、恨みを持っている人や、侮辱されたらテロも辞さない人たちもいる。いずれ同化して自国民になると言っていたリベラルな人は、自分勝手な思い込みをしていたに過ぎなかった。

さらに、難民かと思ったら実は経済移民だったり、とにかく人道主義を掲げ押し寄せる人々を受け入れるも、実際問題として移住した先で、そこの文化を尊重し、あたかもその国民になりきるような真似はしないけれど、優遇されたりするので、元々の国民は何故自分たちより優遇されるのか?という問題も起こる。分断の始まりです。

移民業者も熱心にポンコツ船に押し込めて移民を送り出せば、イタリアなどの警備隊が助けてくれる。だから燃料も片道分でOKみたいになり、もっと粗悪な船で・・・となる。確かに移民の人達も大変ではある。

けれど、いざ生活して不満が高まれば、ギャングと化したりで治安もかなり悪化する。(2019年に私はドイツに出張しましたが、ドイツの空港での検査は厳しかった。10年以上前は、そんな感じは一切なかったのに。)

ところが、実態は報じられず・・・政権批判に向かうから・・・でも被害者は出てきて・・・でも隠蔽され・・・

政治家は、受け入れる難民(移民)は高い能力を持つ専門の人とか知識人とか説明するそうな・・・明らかに人数は異常で、実態は欧州では不要な単純労働者が大半という。

性被害(白人への復讐と思えるような、明らかに計画性を持つ集団的なものもある)も増えるが、警察も本気にならず(差別と思われるからか政府からの要請でしょう。アメリカでも似た動きがあります)、反論すると差別はいけませんとメルケルなど指導者に言われ、エリート知識人も後押しする・・・そんな訳で、実態が明らかになるに従って極右政党と言われる政治家が躍進する結果になっている。日本のニュースでは実態は分かりませんね。

この流れを知ると、本当にメディアの言う極右は極右なのか?差別主義者の政党なのか?という疑問が沸きます。単に、このままでは自国の安全やアイデンティティが脅かされると思っているだけなのでは? もちろん、当初は移民反対と大声で叫んでいただろうし、怖い思想の極右と思われてしまうのも無理は無かったかもしれませんが、世界は右傾化しているという決まり文句が出てきて久しい。思想の争いが起こってます。自分の直観で今は左傾化が激しいと思います。

重要なのは、右も左もバランスを欠いたらダメで、難しいけれどバランスを保つことが大切だと思っています。

正直コロナでもそうですが、リベラルという人達の多くは、患者を隔離せよとか、全国民にPCR検査とか、平気で言ってましたからね。理想を高く掲げるあまり、無茶をするのがリベラル思考のいけない部分な気がします。(これに科学技術信仰が加わって、専門家を妄信してしまう。)

難民・移民に戻すと、何が何でも来るなとか、肌の色が違う人は出ていけとか、こんなのが悪いのは当たり前。そんな当たり前の事はもういい、分かっているよと思うのです。今の問題は、そいうい次元の事ではない。大問題なのは善意には違いない移民受け入れが失敗したとき、これに対する答えを我々が持っていないという事でしょう。

移民を強制送還するのか?なんてできっこないし、それこそおかしい。世の中には、逆に戻れない決断が沢山あるのですが、理想に燃えすぎて現実が見えなくなったり、お金に目が眩むと道を間違えてしまうようです。

既にいくつかの都市では白人が過半数割れしており、今後そういう都市が増えていくのは間違いない時代がきており、短期的には混乱するんじゃないかなあと・・・長期でみれば、もしかすると良い結果になるかも・・・しれません。これは誰にも予測がつかないのですが、国境も人種も宗教もなくなるジョンレノンの世界は、現段階では少なくとも現実的ではありませんから・・・とはいえ、このインフレやら戦争やらが起こる不透明感満載の現在の出来事というのが気になります。



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