マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

定価はいくら?(仕入れと在庫管理)その2

2008年01月27日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
中国では大きなスーパーマーケットや百貨店以外、定価は存在しないし、買い物では、いつも高い値段をふっかけられる。

ただし、それらの商品を売っている連中には悪いことをしているという気持ちは微塵もないだろう。

お金を持っている人から、たくさんのお金をもらうことは、中国人にとっては、あたり前のことで、言い換えれば誰もが知っている中国社会のルールで暗黙の了解と言ってもよい。
しかし、その中国社会の暗黙のルールを知らない日本人からすると、騙されたということになってしまう。

今まで、いろいろな国に行ってきたが、人を騙す人はどの国にもいる。日本にも悪質なマルチ商法に引っ掛かっている人はごまんといる。

よく、渋谷駅の周辺や新宿の歌舞伎町などで、こういうマルチ商法の勧誘を目撃するが、こういう勧誘からの声に足を止め、話を聞いている人がいることが理解できない。世の中に、そんなに旨い話などあるはずは無いからだ。

そして、そういう引っ掛かりやすい人には共通点が見られる。

それは「お人好し」の顔をしていることだ。

そういう人が中国に来て買い物をして騙されたと怒るのは、お門違いだと思う。
中国の暗黙のルールを知らなかっただけなのだ。

ところで、自分はよく街で中国人に道を聞かれる。なぜ、日本人に道を尋ねるのか不思議なのだが、きっと「お人好し」の顔をしているのだろう。。。

さて、お店の「仕入れ」の話しをしよう。

前にも書いたが、店長兼料理長になるまで、いろいろなゴタゴタがあったが、お店に来てから4か月後に正式に店長となり店の運営を完全に任されるようになった。

それまでは、店の管理は飲食店の管理会社から派遣されていた店長が行っていたのだが、管理会社には警察とかお役所の対応だけをお願いして、店の管理すべてを自分一人で行うことにした。

なぜなら、人、物、金の流れを把握できなければ、決してうまく行かないからだ。

そして、まずは以前から不思議に思っていた、店の仕入れについて調べてみることにした。

仕入れは、キッチンの一番若いスタッフが市場に行っていたのだが、仕入れ台帳も何も無い状況だった。

そこで、約1か月間、毎日、彼が市場へ仕入れに行く時は必ず同行した。

まず、不思議に思ったのが領収書をどの店でもくれない。しかたがなく手書きのメモを書いてもらうのだが、金額を書くだけで、数量も日付もこちらが書いてくれと言わないと書いてくれないし、ひどい時は新聞紙の端をちぎって金額だけを書くというありさまだ。

仕入れは、市場内の幾つかの店でするのだが、毎月、月末になると、そのメモの束(領収書?)を持って、ある1軒の店に行く。そして、その店で1か月分の仕入れの合計金額を正式な領収書(ファーピヨ)にしてもらう。

しかし、聞いたところによると、たとえば、1ヶ月の仕入れが、3万元だったとすると、3万元の領収書を書いてもらうのだが、こちらが貰う領収書の金額は3万元で、カーボン紙で複写されたもう1枚のその店の控えは「0」が一つ少なくなって、3千元になっているようだ。

どの店も領収書を出したがらないのは、税金を国に払いたくないからで、こういうことで中国という国が成り立っていることが不思議だ。

さて、1か月間、店の仕入れ担当の若いキッチンスタッフと一緒に市場に仕入れに行ったが、いつも同じ店から買っている。

そこで、次の月は自分の右腕候補として採用し、通訳もしてもらっているスタッフと一緒に同じ市場に価格調査に行ったところ、驚くべきことが分かった。

たとえば、今まで1斤(500g)を30元で仕入れたいた赤貝は20元が適正価格だったし、海老等に付いては倍近い金額で仕入れていたのだ。

それから店に戻り、直ぐに仕入れのスタッフを呼んで、話をしたところ「面子」があるので決して自分の悲は認めない。しかし、その日に彼は自分から店を去って行った。
仕入れ担当をしていた彼には、毎月5千元以上の副収入があっただろう・・・

彼が店を去ってからは、仕入れは、一人を担当に決めないで毎日交代とし、キッチンスタッフとホールスタッフの女の子と必ず2名で行かせている。少しでも不正を防ぐ為だ。

そして、毎日、その日に仕入れた全品目の数量と価格を仕入れ台帳に記入するようにし、もし、価格に少しでも動きがあれば、自分で市場に行って確認するようにしている。

不正ができる環境を与えてしまえば、誰にでも「でき心」が芽生えてしまうだろう。

不正ができないシステムをつくることで、初めて人と人との信頼関係が生まれるのではないだろうか。。。
















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1 コメント

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定価 (jjken)
2008-01-28 13:14:28
Sabai dee mai khurp?
定価というのは、いつから日本では当たり前になったのですかね?
封建制が崩れてからでしょうか?
多分、昔も日本は定価は普通でなく売主と買い手との
交渉が普通だったのではと察します
私も最初、海外へ出てアジア諸国でこの定価不在には少しまいりましたが、今ではそれが常識感覚になりつつあります。
まあ、身分で値段が違うというのもある種納得できる気もします。
超えられない格差があって、その低層の人々向けの価格で必ずしも買えるという決まりは無いとも思います。
それに、外国にいると現地語ができるできないで、また違ってきますしねーー。
あんまりべらぼうなぼったくりで無ければ、まあそこそこローカル価格をGETできれば良しかなと思ったりしてます。
定価不在の場所では、先ず相場を知るまではぼったくられるというのは勉強代といったところですかね!?
ベトナムなんかは、本当に価格交渉に疲れますけども!

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