マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

かつを出汁をとる

2007年12月29日 | お玉で出汁を覚えよう
日本料理で欠かせないのが、「かつを出汁」だ。

まずは、「かつを出汁」のとり方を教えよう。

でも、この方法はあくまでも海外の日本料理店用である。

今まで世界中を渡り歩いてきたが、日本の懐石料理のような上品な「かつを出汁」では、外人のお客さんには好まれない。

しっかりと味が無いと、椀物や蒸し物をつくってお客さんに出しても『味が無い』と、お客さんから突っ返されてしまう。

特に中国人がそうで、食にうるさい彼らは、遠慮も何もなく、突っ返してくる。

ただし、日本人も同じで最近は、しっかり味のついた椀が喜ばれるようだ。

さて、まずは「昆布」だが、できたら利尻産の分厚い物を用意する。
といっても、海外で調達する訳だから思うようにはいかないと思うので、幾つか食材会社の物を取り寄せ使ってみるしかない。

次に「かつを」だが、今は「フレッシュパック」に入った、業務用の「削りかつを」が、割合簡単に海外でも入手できるようになったので、これも、幾つかサンプルを取り寄せて使ってみるしかない。なるべく血合いの少ない物を選ぶと良いだろう。「昆布」も「かつを」も、実際に使ってみないと、どの位の時間で味が出るのかは判らないので、とにかく、いろいろな種類を使って比べてみるしかない。

さて、「だし」を引く手順を説明する。

1)昆布を乾いた布きんで、綺麗に拭く。この時に表面に付いている粉はなるべく取らないようにする。この粉は海水が作り出した旨み成分(マンニット)なので、これを取ってしまってはもったいない。昆布は15cm角位にカットすると良いだろう。

2)鍋に水(浄水)を2リットル入れ、火に掛けて昆布を入れる。火は中火位で良い。しばらくすると、鍋のまわりから小さな泡が出てくるので、弱火にする。
それから、約15分間、じっくりと昆布の旨みを引き出す。

3)昆布の旨みが十分に出たら、昆布を取り出して「アク」を取り除く。この「アク」が出るころには、昆布の旨みが十分に出ているはずだ。

4)鍋はそのまま弱火にし、お玉一杯分の差し水をして、「削りかつを」を大きくひとつかみ入れる。美味しいお茶を入れる場合と同じで、沸騰した湯に「削りかつを」を入れると、エグイ味となってしまう。差し水をすることによって、温度を85℃~90℃位にして、ゆっくりと「かつを」の旨みを引き出してやる。約20分間弱火で煮て「かつを」の旨みが十分に出たら布で濾してやる。

この方法で、「かつを出汁」を取ると、「削りかつを」の旨みはすべて出てしまうので、「追いがつを」をして2番出汁は取らない。

この出汁には「昆布」と「かつを」の旨みが十分に引き出されているはずだ。

料理に使う時に、味が濃ければ、水で薄めて使ってやればいいし、逆に味が薄ければ「追いがつを」をしてやればいい。1日に何百人ものお客様を相手にする料理店では、出汁の味が薄ければ、「顆粒の本だし」を少し入れてやるのもいいだろう。お客さんを待たせないのも飲食業では大切なことだと思う。






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