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(フェルナンド) 私の妹はたいへんあなたの関心を惹いていますが、私のほうはもう関心の対象ではないですね。
(アリアーヌ) とんでもないことをおっしゃらないで。私は、あなたより完全な回復状態をほとんど見たことがありません。ドロー医師は、しょっちゅう私にあなたのことを、いくらか誇って話題にしますよ。
(フェルナンド) ええ、ええ、私は結構な例でしょうね。(ヴィオレットに。)セルジュ・フランシャールがきょうの午後、彼が話したサナトリウムのことで伝言を私に頼んできたの。そこはグランセと言って、グルノーブルの近くなのよ。そこに、法外の安価でモニクを受け入れさせることができると、彼は確信しているわ。彼の奥さんの一友人のおかげだって。あの愚妻さんが結構な人間関係をお持ちだと、信じなければならないわね。
(アリアーヌ) でも完璧じゃないの! 私がグランセをとてもよく知っていることを、あなたはご存じよね。私自身が創設者のひとりなのよ…
(フェルナンド) なんという偶然の一致!
(アリアーヌ) 必要があれば私が一言言うのは簡単だわ…
(ヴィオレット) ほんとうにありがとうございます。でも、それは必要ないでしょう。
(アリアーヌ) というのは、もちろん、マダム・フランシャールが…
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(フェルナンド) けれども、あなたがかなりご親切でいらっしゃるのなら… これはもうひとつチャンスが増えたことになるわ。
(ヴィオレット) いいえ、いいえ、フェルナンド、わたしはマダム・ルプリユールのご親切を濫用したくないのよ。
(アリアーヌ) 濫用とはとんでもない。でも、フランシャール夫妻はあなたにこのささやかな奉仕をして嬉しいことでしょう… あなたは私に事情を知らせてくれますよね? 約束してくださいますか? (アリアーヌ、フェルナンドとヴィオレットに伴われて外へ出る。後二者は少し経ってから戻ってくる。)
(フェルナンド) あなたたちは世界で最高のお友だちどうしね。素晴らしいわ…
(ヴィオレット、沈黙の後に。) 素晴らしい… どうして、あなたが偶然の一致と言ったとき、彼女は微笑したのかしら?
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第四幕
二か月後、場所はロニー、アリアーヌの家の中。明るい大きな部屋で、ガラスの嵌まった二つの大窓から、広大な地平線へと開放されている。右側に、一台のグランド・ピアノ。
(204頁は白紙)