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(つづき)彼は幸福ではありません、自分は満足だと表明していても — そしてクラリスは、子供を失った悲しみから癒されることもなく、遅かれ早かれ結核になってしまうことでしょう。ジルベール・ドゥプレーヌはといえば、奇妙なことに、クラリスが独り身になると、心が離れてしまったようです…
(ヴィオレット) ぞっとするようなことばかりですわ。
(アリアーヌ、調子を切り換えて。) 義姉はしばらくの間、私と共に山地で過ごしに来るでしょう。そのうち、あなたに、義姉の処へ会いに来ていただくことも、できないことではないでしょう。
(ヴィオレット) でも… どんな建て前で?
(アリアーヌ) 率直に言って、あなたが会うだけで彼女は元気がつくだろうと、私は思っています。それに、私の友だちどうしが知り合うことは、私の好むところです。
(ヴィオレット) 彼女は知っているのですか?…
(アリアーヌ) あなたのことは話しています。察しているかもしれません。
(ヴィオレット) かなり骨が折れますわ。
(アリアーヌ) 手紙で詳しく書きます。でも、長く私についてお知らせすることなく過ぎることもあるかもしれません。(つづく)
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(つづき)驚きになってはならないでしょう。私は、規則正しい文通相手になったことは一度も無いのです。それに、私の健康状態がそれを許さなかったでしょう。
(ヴィオレット) あなたに言わねばならないことがあります… ジェロームがさっき来たのです。彼は暗澹としていて、とても緊迫していました。
(アリアーヌ) 彼は、私がまさに出発しようとしている時は、いつもそうなのです。
(ヴィオレット) わたしがあなたに隠す権利の無い、ほかのことがあります… (言うのをやめる。)
(アリアーヌ) 心配せずにおっしゃい、あなた。私は何でも傾聴できるとご存じよね。
(ヴィオレット) 初めて、彼はわたしに言ったのです、決心がついた、と… 離婚して、わたしと結婚することの。
(アリアーヌ) 彼は本気で言ったの?
(ヴィオレット) 完全に本気でした。
(アリアーヌ) それで、あなたは何と返事したの?
(ヴィオレット) わたしは抵抗しました。それは不可能であることを彼に解らせようとしました。
(アリアーヌ) どうして不可能であると?
(ヴィオレット) そして… わたし、起ったことをあなたに説明することも出来ません… 彼は確かに、わたしが同意していると信じました。
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(アリアーヌ) それで、本当は?
(ヴィオレット、とても低い声で。) 分かりません。多分… それはあなた次第です。
(アリアーヌ、長い沈黙の後で。) あなた、結局あなたは、最も幸福なことは何も私に告げてくれることは出来なかったようですね。この出来事は…
(ヴィオレット) 出来事ではありません。
(アリアーヌ) 私がそれを望んだとは、私は率直に言うことができません。だいいち、私がこんな病気になってからというもの、ああ、そういうことが何を意味し得るのか、もうよく分からないのです… それに、ねえ、人は自分で欲するようには強くないのです… 今日終わってしまう私たちの生活の時代のなかには、たくさんの悲しいこと、たくさんの心を引き裂くことと並んで、深い感謝の感情なしには思うことのできない時期がありました。
(ヴィオレット) 灼けるような愛惜なしには、とは、どうして仰らないのですか?
(アリアーヌ) いいえ、ヴィオレット、はっきり言いますよ。私に愛惜の念があったのは、ずっと昔のことで、私が試練を経ていなかった時期です。その試練から、人は遂に大人になって出てくるのです。過ぎ去ったことへの感情は、私にとっては、すべての辛酸を免除されたものです。その感情に伴っているものは、むしろ、一種の(つづく)
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(つづき)荘厳で… そう、こう言えると思いますね… 宗教的な感動なのです。それは、おそらく、死ぬ瞬間に私が体験するものでしょう、私の意識が依然としてはっきりしているならば…
(ヴィオレット) あなたはそんな高い処を飛翔していらっしゃる… そしてわたしは、地面を這いずりまわっているのですね、路上のあらゆる石にぶつかりながら。
(アリアーヌ) 私は飛翔などしていませんよ、ヴィオレット。私があなたにそんな印象を与えていたって、私自身には私はひとりの喜劇役者に見えています。
(ヴィオレット) もし、わたしがあなたの立場で、あなたがわたしの立場なら、あなたはわたしをぞっとさせるでしょう… わたしは独りごちるでしょう、彼女は自分の目的に達した、と。
(アリアーヌ) あなたは、そんなことは全然思わないでしょう。だいいち、私の立場、あなたの立場って、何を意味しているの? あなたが私の立場になることは、私の苦痛に充ちた過去があなたのものになった場合にしか、あり得ないでしょう。
(ヴィオレット) 恥じ入りますわ…
(アリアーヌ) それが、あなたが経験することになる、最後の感情ですね… つまり、いいですか、あなたが私を問い質していた時、あなたが、自分はひとつの袋小路に巻き込まれていると嘆きこぼしていた時、私が強く感じていたのは、ほかの出口は無い、ということ、必要なのは、決断が(つづく)
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(つづき)ジェロームから出ることだ、ということでした。決断は彼からしか生じ得ないのです。私たちは、どんなものも、急がせたり、手荒に扱ったりすることはできないのです — でも、このことを、私はあなたに言う権利はありませんでした。あなたが憤慨していたから。
(ヴィオレット) わたし、いまは、大きな悲しみしか覚えません。
(アリアーヌ) これは、混乱であって、苦悶ではありません。私の言うことを信じて… ただ、私が知りたいことは… あなたの考えでは、何がジェロームを、こんなまったく新しい態度で、将来のことを考えるようにさせたのでしょうか?
(ヴィオレット、動揺して。) わたしはほんとうに、自分でも、何が起ったのか、解らないのです… この曖昧な状況は、彼にとって、我慢のならないものになったのです。
(アリアーヌ) 曖昧な、ということで、何を理解しているの? ヴィオレット。
(ヴィオレット) あなたとわたしの間に生じた親しさです。
(アリアーヌ、厳しく。) すると、あなたは彼に、私があなたたちの関係を知っているとは、言わなかったの?
(ヴィオレット) 言っていません… わたしは、彼に言うと、あなたに約束していましたけれど。でも… 彼がわたしに開いたこの二重なものが、彼を新しい状態の中に投げ入れていたのです。(つづく)