信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

おコメを作ること

2007年11月03日 07時27分40秒 | Weblog
今年の秋は寂しい秋でした。というのも稲刈りがなかったからです。当然ですよね、コメを作らなかったんですから。自分の作ったコメを食べれないことよりも稲刈りが出来なかったのが寂しかった。作っているときは粘土質のベト(信州弁。土のこと)なのでしんどい作業なのですが。
でも来年は再開しようと、少々荒れた田んぼの修復に取り掛かりました。写真は草を刈り整理してからの耕耘の途中のです。田や畑は耕され、作物が作られているからこそ美しい。
ボクなんぞ田んぼを耕しながら振り返っては曲がりくねった耕耘の跡でさえ、「やっぱりいいなぁ」。少々疲れて目を周囲に泳がせると、紅葉の山が。これまた「いいなぁ」。今年の紅葉は特に美しく感じます。

いまじぶん修復、なんで?かというと、耕耘機を修理というか点検というか、農機具屋さんに預けていたのです。なにしろ1年以上使っていなかったものですから。で機械が戻ってきたので早速作業、というわけです。

さて、この農機具屋さんに行って驚いたこと。まだまだ使える田植え機、耕耘機、刈り取り機(バインダー)が10数台、野ざらしで放置しているのでした。理由を聞くと今年限りで稲作をやめる人たちが置いていった、ということです。そこは小川村。典型的な中山間地です。
理由は簡単。米価の下落。何しろ最初は60Kg7,000円。これは大ショック。ま、最終的には概算で10,450円になったのですがこれでも利益はムリ。なにしろ新潟コシヒカリに応札ゼロなんて記事があったんですから。
「今に食料不足がくる。このままじゃ増産する時には作る人がいなくなってしまう。どうするんだろ」とこの農機具屋さん。まったく同感だ。
政府が鳴り物入りで導入した『担い手』(集落営農や認定農業者─もちろん大規模で単作)ですら、制度が始まった今年の1年目で借金を背負うなどの頓挫の気配。

こんな日本のコメ状態の中での自給率ダウンでついに39%。
これに危機感を持って欲しいのか、気づいて欲しいのか立て続けにNHKが以下のような番組を放送しました。
10月14日(日) NHKスペシャル『ライスショック あなたの主食は誰が作る』 第1回
10月15日(月) 同上 第2回
10月19日(金) 『地域発!どうする日本 「食と農業 未来につなぐには」』
10月20日(土) 『日本のこれから 「どうしますか?わたしたちの主食」』
この4番組を見ていて驚いたのは20日に出ていた東京大学大学院教授の本間正義。
曰く「食料自給率の向上よりも貿易自由化でいろいろな国とお友だち関係をつくっておくほうがいい。そのほうが食料の安定供給につながる」
曰く「わが国は農業に見切りをつけ、農業・農家も市場メカニズムの中で調整されるべき」
唖然。呆然。愕然。これが将来の日本のリーダー・超エリート養成機関の教授のことば?

で、この本間正義さんとはどんな人?と調べると、なるほど納得、例の『経済財政諮問会議』の「農業・EPAワーキンググループ」メンバーでした。これなら仕方ない。でも下記のニュースを知らないわけないと思うのですが。

ちょっとボクの手帳を見ると
『9月7日 食料インフレ ○イタリアのパスタ、米・中の食料価格上昇 ○日本、10月輸入小麦政府売り渡し価格10%上げる ○ロシア、小麦禁輸準備 世界第5位の輸出国 国内価格上昇を抑えるため』
このほかメキシコで「トウモロコシ(主食)寄こせ」。これらはたぶん新聞か何かのニュースを見た時のメモ。
そして今日付の日本農業新聞のトップ記事が『穀物輸出 規制広がる 6カ国が禁輸、課税 相場高騰で自国優先』(ロシア、ウクライナ、セルビア、ベトナム(意外にも世界第2位のコメ輸出国)、インド、アルゼンチン)

農業は農政の逆を行けばよい、とは昔からの教え。小規模・複合・自給が百姓の本道。これまでもこれからもそれは真実、と信じてます私は。
(2007.11.02記)

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