2011年08月28日(日) 記
昨日の土曜日、農作業をしながらラジオで民主党代表選の共同記者会見を聞いていました。
ジャーナリストという品格を持ちあわせていない3人の記者たちが次々に発する「オザワ、オザワ」というバカな質問の連続。
「バカか。原発や政策についてもっと質問しろよ」と劣化した記者にあきれながら、彼らの「思惑」とその思惑を「世論」と言い換えてあらぬ方向に引っ張られていく私達の国の姿を考えながら、ダイコンの種を一粒一粒、大地に落としていきました。
そして今日も、ダイコンのウネ作り。
「つるべ落とし」。
最近の夕方はまさにこの通りですね。黄昏時、農具を片付けて家に帰るか帰らないかのうちに夜の帳(とばり)が下りる。
いやあ、季節を肌身に感じることができることだけでも山間地に生活する価値があると思うし、あのミレーの絵画の中を体験できるような気がします。
さて、今日は昨日のお便りの続きです。
この『農家民泊』は、私の地域Sでは昨年から取り組み始めたということを、いつだったか報告しましたね。
もともと隣の地域Nが取り組んでいて、生徒数が多いので受け入れの応援という形で昨年からはじめた。これも言ったかな?この時、我が地域が応援としての受け入れた学校数が2校で、人数は(すいません)不明。
そして今年は、新たに今年から始めた1地域を合わせた3地域で11校、1,825人(そのうち我が地域は683人)でした。
そして来年の予定は17校で約4,400人(このうち500人はO村に応援してもらう)。これにO村への応援として1校80人を引き受ける。
ややこしいですね。要するに急激に数が増えた、それも異常な割合で、ということです。
なぜこんなに急激に増加したのか、いくつかの要因を挙げていました。
一つに、この地域が絵に描いたような典型的な中山間地地域である、ということだそうです。つまりロケーションがいい。
このお便りでたびたび出てくる善光寺平のような平坦地は、学校行事としての『農家体験学習』『農家民泊』の趣旨には合いにくいらしい。ま、確かに善光寺平では西山と呼ばれる当方に比べれば都会だし、農家も大規模でカエルも虫も極端に少ない。
二つに、地理的条件、つまり交通の便がいいこと。
これは意外でした。でも話を聞いてみると納得です。
つまり安曇野、白馬、大町と高速道長野ICを結ぶルートの途中に位置し、中間とはいえないが、まあ中間に近い、という訳です。観光バスによる移動だから、白馬で1泊してここで1泊。あるいは逆コースで、大阪を朝出発し、夕方前にここに着く。なるほど。
三つに、サポート体制が整っている、ということ。
一言で言えば病院のこと。救急病院、24時間体制の病院があること、です。
この病院は、受け入れ家族のなかで我が家が一番遠いのですが、それでも40分もあれば行けます。確かにたとえ一日と言えど人さまの子どもを預かっているのだから万全を期す必要はあります。
最後に、やはり一度来たら気に入る、のだそうです。
もちろんこれは先生方も、ということです。先生方がこの地を気に入って来年も、ということになるようです。
大阪M市の某中学校の校長先生もいたく気に入って、初期の段階からずっと続けてここに来ているという話を聞きました。私はM市をよく知っていますが、確かに地形的にも正反対で、生徒達が1日でもここに来ることは本当にいい体験になると思います。
さらに、先生方の転勤も影響があるようです。
というのは、この経験をした先生が新任校へ行って、その学校がまだやっていなければ「ぜひ」ということで、この地を推挙して下さる。
さらに付け加えて言えば、職業としての農家民宿や学生村ではなく、純粋な農家に泊まり、純粋な農家の生活に接することができるということも魅力となっているのでしょうか。
急激に増えた理由は、上に述べたそんなところにあるようです。
でも、やはり受け入れ数には限度があります。私達3地域を合わせて10校程度2,000人が適正規模ではないか、という話も出て、修学旅行は2年先のことを計画するのにあわせて、再来年のその数を考慮しているところのようです。あるいは隣町に応援を頼もうか、とか。
私自身は、都会の子ども達をできるだけ多く受け入れてあげたいと思っているのですが。
また、秋に受け入れたらどうか、秋のほうが農産物の収穫時期だし都会の子ども達にとっても、農産物の少ない初夏よりいいのではないか、という意見もあるのです。でもやはり公立の中学校ではスケジュール的に、また受験なども考えると今のところ難しいようです。
でも、受験を考える必要のない中学校がこの秋、初めて来ます。それも2泊。W大学高等学院中学部2年生の120人。
色々な問題を抱えながら1歩ずつ進んでいます。
この子達が大人になってもこの体験はきっと忘れず、また将来的には新しいレジャー、新しい休暇の過ごし方も生まれてくるでしょう。そして、農村が経済的な見地以上にその重要性、貴重なものとして再認識してくれるでしょう。こうなれば何よりも嬉しい(農は国の本(もと)、こころの拠りどころ、といわれますものね)。
私は海外旅行などまったく興味がなく、家族の中では私だけがパスポートを持っていません。
ただ、ヨーロッパの田舎で、農家の老夫婦がベッドと朝食だけを提供し(B&B。漫才の島田洋七・洋八じゃありませんよ~)、都会の人が休暇をそこでゆったりと過ごしている、そんな農家を一度でいいから見たいし、泊まってみたいと思っています。
今回は長くなってしまいました。
じゃ、また。