信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

ただいま、農閑期ですが…

2010年02月22日 09時30分55秒 | Weblog
皆さん、お元気ですか?

ここ信州の山里は、1年中で一番ヒマな時期です。新年の行事も終え、新旧役員の引継ぎも一段落しました。
農作業については、善光寺平ではそろそろといったところですが、『山(やま)』(※)と呼ばれる我が山里はまだ1ヶ月ほど先です。
犀川の左岸は南斜面なので雪はほとんど消えましたが、右岸は北斜面になっているので、我が畑はまだ10cmほどの雪が残っています。右岸と左岸では雪が消えるのに大体1ヶ月ほどの差があります。

※ 『山(やま)』  正式には『西山(にしやま)地方』と呼ばれ、北アルプスを源流とする犀川と、その北部を東西に流れる土尻川沿いの急傾斜地帯を総称していいます。この地域も特徴があって、農文協という出版社からでている『日本の食生活全集⑳ 聞き書き 長野の食事』では章を独立させて「 西山の食、自然、農業」として紹介されています。著名な本なので町の図書館にはあると思います。興味のある方は一読を。

さて、この寒い時期に私には絶対やっておかねばならないことが2つあります。

一つは、屋敷まわりにある竹林の手入れ。寒い時期に竹を切らなくてはならないんです。ここんとこ休みには1日中竹を切り、枝を払って燃やしています。
というのは、この時期に切った3~4年生の竹は強いし、腐りにくい、と言われています。でも、一部の学者によれば「そんなことはない」と言うのですが、ま、私はこの時期に切ります。畑で使うのはもちろん、暖房用にも重宝します。
それに忘れてはならないもう一つの理由。それはいいタケノコを採るためです。
この近辺はモウソウでなくハチクで、近所の人から「あんたとこのタケノコ、うまいで」と言われているので、なお一層いいタケノコを採りたいですから。2年前までは直売所に出していたのですが、よく売れました。
そうそう、みのもんたの『秘密のケンミンショー』でも紹介されて笑ったのですが、北信の人、サバの水煮の缶詰とタケノコの煮たもの、ホントに大好きですよ。目の色が変わる、と言ってもいいくらいです。わが家では今までに一度か二度、食した程度ですが、今度また紹介しましょう。

あと一つはリンゴの剪定。これは絶対欠かせません。無肥料・超低農薬栽培で、放任と叱られる私ですが剪定は必ずやります。雪に埋もれた中で「ああでもない、こうでもない」と1人思い、時にはリンゴの樹に話しかけながらノコギリを引きハサミを入れるのですが、毎年悔いが残ります。でも剪定すると一層の愛着を感じます。
今日の竹切り作業の中で桑の木を1本切ったのですが、たちまち水が上がってきました。もう樹木の活動が始まったのかもしれません。
そういえば市道から玄関までのアプローチの片側にずらっと植えてあるチューリップの芽が数ミリ、土の中から出ているのが今日初めて見ました。やっぱり今年は早いかもしれません。もしそうなら、リンゴの剪定を急がなくては。気がせいて来ました。

リンゴといえば今回の写真は珍しいでしょう。これはJR信越本線の篠ノ井駅~川中島駅間の西側に位置する、共和地区というリンゴの産地にある農協の玄関に飾ってあった門松です。この農協はリンゴだけを扱う農協なので、一般のJAとは違います。さすがに「リンゴ、リンゴ」です。
昨年、チャールズ皇太子がこの農協とリンゴ園を見に来られたそうで、その足で信濃町に在住のC.W.二コルさんを訪問されたそうですよ。
 ではまた、近いうちに。(2月21日 記)

春の気配

2010年02月11日 11時59分51秒 | Weblog
この数日、暖かくなったかと思うと寒くなったり。変わり目は複雑、ということは人間も天候も同じですね。

今日は『建国記念の日』で仕事は休み。外は時折細かい雨が降る、いかにも寒そうな、雪の日でも囀(さえず)る小鳥ですら啼かない静かな朝です。気温は0℃。普通なら雪のはずなんですが…。やっぱり、春なんでしょうか。
というわけで、珍しくこの『便り』を朝に書いています。そしてオカンは『干し柿の焼酎漬け』作り。
固くなった干し柿を焼酎でつけてみよう、との思いつき。うまくいけばいいのですが。この件については後日報告します。

さて、今日はこんな天気ですので、ちょっと春めいた話を。
直売所には「ウド」「フキッタマ(ふきのとう)」も並び始めました。善光寺平の日当たりのいい場所では、ふきのとうがぽこぽことでています。ふきのとうといえば「フキ味噌」。これはうまい!自分で毎年つくります。おにぎりの中に入れるだけでなく、表面に塗って焼くと、これはもうたまりません。今こうして書いてるだけでも味が思い出され、口の中にジンワリと唾が染み出てきます。市販のビン詰めは、私にはフキの味が薄いように思います。

行事では、善光寺さんの『灯明まつり』が始まり、数え7年毎に行われる諏訪大社『御柱祭』の観覧席の予約受付が始まりました。
私たちが大阪からこの地へIターンしたのが、前回の『御柱祭』が終わってすぐでしたので、早いものでそろそろ満6年になります。

わがムラの鎮守さま『吉原神社』でも、『御柱祭』があります。1ヶ月ほど前でしたか、御柱祭を実施するかしないか、このことだけを決めるムラの総会が開かれました。反対意見も無く10分ほどで決まったのですが、伝統行事だから引き続いて行うというのでなく、そのつどムラ人の総意で決めるんですね、新鮮でした。
今年は私にとって初めての『御柱祭』体験となります。あの傾斜のきつい長い石段を引っ張り揚げるそうです。前回は110人の小さなムラに500人以上の見物人が訪れ、20ほどの屋台店も出て盛況だったそうで、どんなのか今から楽しみです。
一方諏訪大社のほうの御柱祭では、JAの日帰りツアーに参加すると希望者は御柱曳行に加わることができるそうなので、これもやってみたい。何しろ次回は6年先で「トシがトシなんだから」と周囲のものに言われそうですから。

さてながぁ~い前置きは置いておいて、本日のメインの話は、冬の中に垣間見える春の気配です。
1月17日の話ですからちょっと前になります。安曇野の中心地、穂高温泉を目的に周辺をドライブしたときのことです。
安曇野の典型的な風景といえば、屋敷林に囲まれたなまこ壁の蔵を持つ大きな茅葺農家。昔の風情はなくなりましたが、現在もわずかに残っています。その屋敷をクルマの中から偶然見つけました。すぐ止めて探訪のため玄関へ。座敷で数人の家人が談笑していたので引き返しましたが、大糸線をはさんだ反対側に道祖神さま。そして安曇野のシンボル、有明山。絵に描いたような『安曇野の風景』でした。

写真は、「♪春は名のみの 風の寒さや…」(『早春賦』)を彷彿とさせる風景。暖かくなったらサイクリングで道祖神めぐりはいかがですか。本当にいいですよ、ぜひ信州に遊びにいらっしゃい。私も2年ほど前サイクリングをしたのですが、この時は軽トラに自転車を乗せて…なので、旅してるという感じではなかった。家が近くというのも良し悪し、ですわ。(2月11日 記)

山里の立春

2010年02月04日 06時20分00秒 | Weblog
寒いですね。節分の今夜、皆さんのところはいかがですか。
山に囲まれているので、台風の時さえ風なんぞあまり吹かない我が山寓(それが証拠に、2階の相当部分が紙障子だけで、雨戸と言うものがしつらえてないんです。真冬でも外とは紙1枚です)。今朝は珍しく吹雪いて、縁側はもちろん玄関の中まで雪が吹き込んできました。

昨日は休みだったので、ハンドラッセル1丁で80歳近いお隣のご主人と下の県道まで除雪したにもかかわらず、今朝は出勤時間にはすでに10cmくらい積もっており、夜の帰宅時は大丈夫かな、とまじめに心配でした。

ここらあたりは雪は最高まあ40cm程度まで、気温は一冬で-10℃が5~6回ほど、です。何年か前に一度、-15℃を経験したことがあります。この時は便器の水タンクは凍って割れ、朝起きると掛け布団の息の当たる所がパリパリするほどでした。

今年は寒い寒いと言いますが、まだ暖かいような気がします。観測している限り-10℃はまだ1回。写真は、その日の朝8時半の温度計です。

今夜はよく冷えます。ストーブに薪をどんどん放り込んでいるのですが、足元が寒いです。近くの気温測定ポイントの予想最低気温が-8℃と言っていましたので、明朝は-10℃になるかも知れません。


いま、家族みんなでストーブを囲んでいます。
イビキをかいて横たわっている犬のロク、ネコグラにいる母猫のハチ、オカンは読書、私はブログ書き。聞こえるのは沸いているヤカンの音のみ。
雪がしんしんと降る寒い北国のこんな夜。本当にいいものです。

一年中で一番寒い時期が立春から1週間、といいます。もう少しの辛抱。
これが過ぎれば、あの『信州の春』がやってきます。これがたまりません。
あ、そうそう、千昌夫さんの『北国の春』。これ、信州のことなんですよ、ご存知でしたか?わたしもてっきり東北のどこか、と思っていたのですが。(2月3日夜 記)