2010.11.15(月) 記
この秋、柿が全くといっていいほどの不作です。裏年とはいえ、こんなことは初めてです。
上の写真は畑の前の渋柿。写真の部分のわずか10数個のみ成っていて、それ以外は全くなし。大きな木なのですが。
下の写真は敷地内の物置の横にある、葉が赤いのが甘柿で、緑色が渋柿。
画面で見る限りアマは成っているようですが、少ないですね。シブも例年、重さで物置の屋根まで垂れ下がってくるのですが、ご覧のとおりです。
昨年から本格的に干し柿を作り出したのですが、100個できるかどうか。少なくとも500個は作りたいのですが。
なぜなんでしょう。夏の猛暑だけでは説明がつかない。というのは少し離れたところの柿は豊作とはいえないまでも、ま、そこそこ成っている。個体差なのかなぁ。分らない。
この地域は犀川の川霧でいい柿ができる、といわれているのですが、これほど少ないとどうにもなりません。あ、そうそう。クルミも量は少ないし、実の大きさが小さい。ドングリも今年は見ない。
これでは山の動物たちが里に下りてくるのは当然です。この冬をどう乗り切るんだろ、可哀想に。
TPPに加入した数年先の日本を見るような気がする。
さて話題を変えます。
10月中旬から信州の各地で『新そば祭り』が開かれます。キノコの時期になるとウキウキするように、今年はどこの『新そば祭り』にいこうかな、と少々浮き足立ちます。
信州はもちろん「そばどころ」なのですが、長野全部が日常食、というわけではありません。
とくにわが山里は「西山」といわれる地域で、昔はコメよりコムギが多く作られ、その結果「粉食(こなしょく)」が日常食だったようす。、うどん、おやき、すいとん、薄焼きなどでした。
10月23日、美麻村新行(みあさむらしんぎょう。現 大町市美麻新行)の新行高原そばを食べに行きました。
ここは昔から有名なところで、地粉(じごな。その土地で取れた小麦や蕎麦の粉をいう)を100%使っているそうです。店の形態も、普通のいわゆる食堂のような形態もあれば、農家の座敷のようなところで食べさせるところもあります。
で、ある1軒のお店に行きました。
何もない農村の中にある店なのですが、長野、松本ナンバーはもちろん、他県ナンバーの車も多くいます。順番待ちで、約45分。店の前では農産物の直売コーナーもあって、待っている客同士の会話も盛んです。
これはどこの店でも同じような形をとっています。私たちは「青とうがらし(なんばん)味噌」を買いました。試食したのですが辛い辛い。おにぎりを少し焼いて、この味噌を塗って、もう一度焼くと実に美味い。これに味噌汁があれば充分。
畳に座り、出てきたものがこれ。
かつおだしで味は良いが、そばの入ってる器を見てがっくり。
そして、一口食べて、「こんなもんか」。
しかし、食べ進むにつれてどんどんおいしさが感じられてくる。
せいろに幾本かしか残らない時分には、このそばは「うまい!」となった。
店を出てからオカンに聞くと、やはり最初は「なに、これ」という感じだったそうだけれど、だんだんおいしさが口の中に広がってきた、という。
『新そばまつり』はまだもう少しあちらこちらで続く。飯山の戸狩もうまかった。もちろん戸隠もうまい。安曇野の一般観光客向けの店も意外においしかった。それぞれの土地独自のそばが楽しめる。『そば多様性』ということか。文化をはじめ生物も考え方も『多様性』がおもしろいし、大切だな。
「信州そば」とは書いていないし、そんなのぼりも立てていないある店でのこと。
そこは北海道産のそば粉を使っているのですが(店主から直接聞きました)、「信州のそばはやっぱりうまい」というお客様にはどう答えたらよいか、少々困るそうです(この店はネットでも紹介されている有名店ですが、書き込みにも同じようなものがあるそうです)。
どういうわけか、そばに関してはごたくを並べたくなりますが、そばは素直に、通(つう)ぶらずに、おいしければおいしい、あれっと思えば思いながら、音を立てて啜りながら食べましょう。
年内までは「新そば」といいます。信州のそばはやはりうまい。ぜひ食べにきてください。