信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

『八ヶ岳倶楽部』③から秋まで  その4 夏の終わりの畑で

2010年10月29日 22時28分37秒 | Weblog

2010.10.29(金) 記

畑ではずっと、農薬はもちろん化学肥料は使わず、わずかの鶏糞とナタネ油粕、土壌の中和剤として苦土石灰を畑に撒く程度。あとは落ち葉を鋤き込むのみ。草は作物の植わっているところは抜いて、それ以外は放任している。
できた野菜類は大小ばらばら、形も揃わないが、まあ、自家用として不足はなかった。それに買ってきた野菜と比べると、味は濃くうまかったように思う。特にトマトの味の差は歴然だった。

今年は意識的に、市場に出せるような姿かたちのものを作ろうと、大阪に帰った義兄が残してくれた化学肥料を使うことにした。果菜類の中でもナス、ピーマン、シシトウの3種類に限定使用。化学肥料の使いはじめとしては、これでいいだろう。
結果は、農技術は別として、苗を植えた春の天候も原因の一つだと思うが、どういう訳かナスはダメ。ピーマン、シシトウはまあまあの出来。

ところがピーマンの2本が、ある日突然急に元気がなくなったかと思うと写真のようにびっしりと虫がつき、さらに元気がなくなった。他の元気なピーマンには全く虫はついていない。

チッソ過多の作物には病気になりやすく、虫もつきやすい、虫がつくのはチッソの過多分を消費しようとする自然のバランス作用のなせるワザと、ある本には書いてあった。

それが正しいかどうかわからない。あるいは猛暑が原因なのかもしれない。しかし2本だけというのは、不思議だ。こんなことは今まで全くなく、今回が初めてだった。

動物の世界では、肉食動物の犠牲になる草食動物は、子ども、ケガや病気で弱っているもの、老いたものであるという。これは自然界の摂理であるから、この2本のピーマンも何らかの原因で弱者になっていたのだろう。でも、その原因はなんだろう。ちなみにこの虫は、抜いて重ねた草の下、マメ類やサツマイモの根元にいることはいるが、こんなに群れていることはない。

次ぎは、モロッコインゲンを片付けるために切った根元からでてくる水の様子。切るとたちまち根元が濡れてくるほどの勢いだった。
これはすごかった。水がどんどん上がってくる。例えが悪くて申し訳ないが、まるで斬首された首から吹き出てくる血のように思えて、切ったことを後悔した。


最後に。
今年は何かひとつ、地野菜(伝統野菜)を作ろうと、春先に『善光寺きゅうり』というものを3本、初めて植えた。
苗屋さんで購入の際、たまたま担当者が不在だったので社長に育て方を聞いたが、よく知らなかったようだ。「つる性」と教えられて、普通のきゅうりとゴーヤーの間に網を張ったが、本当は地這い(じばい)。狭い畝での地這いは気の毒だったし、収穫も大変だった。
写真は8月3日のものですが、左のズングリムックリな2本が『善光寺きゅうり』です。

若い物でも太いが、キュウリとゴーヤーに隠れて収穫が遅れたものは、直径10cm以上長さは30cmにもなっていて、まるで巨大なウリといってもいいくらいだった。
糠漬けにしたが、キュウリとは違う食感で実にうまい。なぜ忘れかけられているのだろう。
これも流通に乗りにくいためか、収量が少ないためか、料理法を知らないためか。その理由はわからない。

いずれにしろ、畑の中はおもしろい。

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『八ヶ岳倶楽部』③から秋まで  その3 『栂池自然園』の秋は「ま~だだょ」

2010年10月28日 18時44分00秒 | Weblog
2010.10.28(木) 記

写真は昨夜27日午後8時前の、国道19号線際に設置されている温度計。な、な、なんと3℃です。

このまま気温が下がって雨だと、間違いなく積雪となる。まだスタッドレスタイヤに変えていないし、困った。今日は県の東の山々で初冠雪がありました。

帰宅後ストーブに火を入れると、普段はあまり家に寄り付かないお母さんネコの「ハチ」もいつの間にか帰ってきて、娘の「テン」や兄貴格のイヌの「ロク」とともに椅子の上でまどろみます(息子の「クー」は隅に置いてある自分のネコグラで寝ているので、写っていません)。
冬に見られるこんな何気ない風景が、なんともいえない幸福感を覚えます。


私が信州の冬が好きなのは、雪が深深と降り続き、雪に埋もれた家の中では、ストーブの赤い火を囲んで犬もネコも家人も一緒になってゆったりと過ごしている…そんな季節だからです。


さて昨日の前置きはそのくらいにして、今日は遅い秋についてのお便りです。

写真は10月2日(土)、『栂池自然園』で一番奥まった、白馬大雪渓が見える場所に近い所の木道を歩く、オカンです。右(パソコンによっては下)は顔破一笑(少しはオレにそんな顔を見せ! と、心の中で独り言)


ちょうどこの尾根筋が、独身時代のある年の晩夏、友人のミネ君と2人で縦走した白馬大池~白馬三山~不帰劔~唐松岳~八方尾根コースになります。

自然園の『紅葉まつり』は翌日の10月3日まで。
ところが今年はこの時期でもまだ紅葉はじめの状態。例年に比べ7日~10日遅いそうで、最盛期にはそれはそれは見事な紅葉が訪れた人々を包みこんでくれます。

もう一枚別の場所の写真。



私は大阪の箕面公園の紅葉が好きでお気に入りのひとつですが、北アルプスの深山の紅葉風景は文字通り『錦繍』で、重厚さを感じさせます。加えて、画面右のオオシラビソ、ちらほら見える幹の白いダケカンバが彩りを添えてくれるのもいいですね。来年はぜひ皆さんもどうぞ。

お勧めは早朝です。太陽の光で『照る山もみじ』の印象が随分違います。午前の光が絶対お勧めです。また、駐車場には他県ナンバーでびっしりですので(車中泊?)、駐車場所の確保からも早朝がいいでしょう。

午後の早めに『栂池自然園』を降りて、温泉行きです。
小谷村といえば『小谷温泉』。山中の1軒宿、『山田旅館』へ直行です。


ここも独身の頃、1週間ほど滞在したことがあります。旅館部と湯治部があって、たずねた時期がちょうど農繁期を終えた農家が、特に女性が多く来ていました。
今年はまだ農作業が続いている時期だったのか、観光客や中高年の登山客の姿ばかりです。周囲の山はくすんだ緑。秋はまだ先、といった感じ。

さて、日帰り入浴をお願いすると、午後3時までの受付でダメ。そこをなんとかお願いするとOK。40年近い再会の湯でした。浴室は記憶よりずっとずっと小さかったのですが、湯はやっぱりいいですね。


「私も行きたい」と思った方にアドバイスを。
信州の温泉宿での一浴(いちよく。旅館によっては立寄り入浴、日帰り入浴とも言う)は、午後3時までの受付が多いのでご注意を。その理由は宿泊者優先だから。
なお、以前訪問した時は山田温泉のここが最奥だったのですが、今はさらにその奥に公衆露天風呂と村営の宿ができています。露天風呂は遅くまでやっているようです。

では、また。

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『八ヶ岳倶楽部』③から秋まで  その2 女と男

2010年10月27日 00時22分38秒 | Weblog

2010.10.26(火) 記

急に寒くなりました。
2~3日前「『ユキムシ』を見た」と聞いたのですが、この虫が出てくると近々雪が降るということなので「まだそんなことはないやろ」とタカをくくっていました。でもどうも現実的になりそうです。
今日は『鍋』。

さて、今日のお話です。
とりあえず表題を『男と女』にしましたが、『ヘビ』にしようか、少々迷いました。
でも、まあ聞いてください。

以前のブログにも少し触れたことがあったと思いますが、このあたりはよくヘビを見かけました(過去形に注目!)。要二サンの畑に接したコンクリート道では2~3匹のマムシがかたまって日向ぼっこをしていたり、玄関前の大きなヤマザクラの枝から落ちてきたり(脳震盪を起しているヘビを見た最初で最後。大笑いをしました)、挨拶もなく家の中に入ってきたり、天井裏ではカサカサと這っている音が聞こえたり。

この屋根裏に住んでいるヘビは、目撃者である息子によると「白ヘビ」ということなので、彼だか彼女だかの安寧を私は常に願っています。その理由は、おいおいお分かりいただけるでしょう。

さて、これほどヘビとは接する機会が多かったにもかかわらず、この2年ほど全く見なくなった。直近で見たのが2年前の夏で、裏においてあるプロパンボンベを見に行った時に出会った50cmほどのきれいなヤマカガシ。
これは無毒といわれていたようですがどうも有毒らしい。が、極めて平和的で、他の気配を感じると姿を隠してしまう。一方のマムシは、人間が寄っても犬が寄っても逃げず、じっと様子を窺う。

で、ヘビを見なくなった理由は?
ズバリ、正解はネコ!

最近は2階の一室を書斎代わりに使っているのですが、ある日2階に上がってみると1m近いヘビが写真のように伸びているのにビックリしました。


犯人は娘ネコの「テン」。
先のヤマカガシはもちろん餌食になっていますし、別のある日はヘビを咥えたまま家中を走り回って、オカンと二人で追い掛け回したのも「テン」です。これが彼女。


写真を撮ると迷惑そうな顔をしてガンを飛ばしてきます。夏でも温かい蒲団の上でしか寝ませんし、寝る時以外は私たちにあまり関心を示しません。

一方、息子ネコの「クー」。
私たちの寝室に出入りするためにテンが破った障子の桟枠から、朝の5時半ちょうどに、部屋に入ろうと試みもせず、ただ覗き見しながらミャーミャーと朝食を要求し、食べた後は日長一日涼しい玄関の框に置いてある座布団の上で写真の通り。


どうも自然界ではオスよりメスのほうが逞しい、と思うのです。

人間の世界でも、いやそんなに世界を大きくせずに夫婦単位で見ても、男より女のほうが生物学的に強いと思うのは、結婚して30年以上虐げられた男の私の『ひがめ』でしょうか。
あなたの家庭は、い・か・が?

追伸
私の数日前のツイッターで「NHKは、中国のたかが100人程度の反日デモを報道しているが、もっと報道すべきものがあるはず」とつぶやきました。
今、検察特捜部や小沢議員に関しての検察審査会問題の結果が、私たちの国のあり方を大きく左右します。日本の民主主義そのものが問われているこの重要な問題に関連して10月24日(日)東京で、自発的な市民による1,000人デモが行われました。ところが100人程度の反日デモを報道しているNHKをはじめ全てのマスコミはこのデモを報道していません。同じデモでもどちらが重要な、報道に値するデモでしょうか。そこに隠れた意図があるように私は思っています。

このブログを読んでいただいている皆様に、このデモの意義と様子を知っていただきたく、下にURLを貼り付けました。ぜひご覧下さい。

http://twitcasting.tv/to_be_real/movie/630818

http://twitcasting.tv/to_be_real/movie/630587

http://www.asyura2.com/10/senkyo98/msg/172.html

http://www.asyura2.com/10/senkyo98/msg/160.html


『八ヶ岳倶楽部』③から秋まで  その1 この夏全般

2010年10月25日 10時17分16秒 | Weblog

2010.10.25(月) 記

昨夜来から今朝まで、雨です。
相変わらず不定期なブログで、お詫びとともに、来訪してくださってお礼申し上げます。
『八ヶ岳倶楽部』③から早や1ヵ月半経ってしまいました。暑い、暑いと言っていたのが嘘のよう。今の信州は炬燵が必要となりました。

月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也(松尾芭蕉 『奥の細道』)
行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず(鴨長明 『方丈記』)
ちょっと違うか。

あの続きは『倶楽部』の中の雑木林のこと、柳生さんの奥さんとオカンと始めての愉快な出会いの様子のことなどをお便りするつもりでした。

その日から今日の10月25日、随分経過してしまって、お便りするタイミングを失してしまいました。また八ヶ岳には行くことがあると思うので、その機会にお便りすることにしましょう。

さて、その間何もなかったかというと、いろんなことがこの平穏な山里にもありました。


今年の夏は信州も暑かった。
昼間は33~34℃、時には36℃になったこともありましたが、さすが信州、昼間は蒸し暑いということもなく、夜間は窓を少し開けていれば夏蒲団を掛けなければ寒く感じるほどのしのぎやすさで、結局この夏も扇風機は物置部屋から出さずじまいでした。

お米も猛暑の影響か、一等米の割合が全国平均で60数%らしいですが信州米は96~97%と断トツに良かったようです。
これを見ると昼間の暑さより夜間の気温のほうが、生き物にとって大きく影響するようです。

野菜も「高い、高い」とマスコミが報道していました。確かに値段札を写したTV画面をみると、なんとまあ、ここでは考えられないほど高い。
でもわが家ではそんな影響は全くこうむりませんでした。ほんの少しの土地を耕すだけで食料の安全保障ができた、というわけです。安全・安心に加えて味が全然違う。
写真はある日の献立です。買ったのはサケとほんのわずかの量のベーコンだけで、ニンジン、キュウリ、ゴーヤ、ナス、ツルムラサキは家の前の土からの贈り物です。



これを国家単位で見れば、輸入量はゼロ、GDP(国民総生産)にも貢献度は極端に低いけれど、つまり経済での数字はかなり低いけれど、食生活に関しては豊かな生活を送っている、といえます(経済の数字、世論調査の数字、TV視聴率の数字。みんな作為とトリックがあるようです。このことについてはまた別の機会に)。

現在、TPPへの加入か否か(農産物の自由化の問題)、農業の大規模化、農家の高齢化、相変わらず某国からの毒入り農産物の流入(「安い」なら毒でも良い?)などいろんな課題を抱えていますが、小さな農業や農産物の流通のありかた、ロシアの『ダーチャ』方式などをもう一度考え直すべきじゃないか。
このブログでは何度も繰り返しますが、食糧問題や農村問題は、消費地である都市・都会にすむ住民の問題である、と再確認した猛暑の夏でした。

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