信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

我が家への道は『アイスバーン』

2010年01月31日 11時38分41秒 | Weblog
暖かい日になったかと思うと寒い日に戻ったり、こうしてだんだん春に近づいて行くのですね。ところがこんな時期こそ、わが山里(というより除雪が行き届かない我が家周辺)にとって一番やっかいな季節なのです。

つまり、暖かい昼間に雪が融け、この雪解け水が-5~6℃になる夜間に凍り、これが氷を鏡のようにしていきます。アイゼンを履いての歩行でも安心できません。
雪が融けなければまあ安全なのですが。

私も過去5シーズンにいろんなトラブルを経験して、県道までの約800mは何とかクルマで降りれています。
問題は昨年からクルマで通勤するようになったオカン(わが妻)。なにしろこの時期が初体験ですから。
単なる積雪ならそんなに心配しないのですが、ツルツルのアイスバーンでは心配。ちょっとしたミスで崖から転落、ということにもなりかねない。

さて、1月21日(木)のこと。
先に出勤した私は、職場に着くとすぐメールを送りました。
「クルマで降りたけど、氷の上に水状態。こんな滑りやすいこと無いよ。」
「ありがとう。気いつけますね」
やっぱり心配なので再度「バス停まで歩いた方がいいと思うけど…」とメール。
どうしたことか、ホントにどうしたことかすぐに、それに素直に「では歩きます」。
「そんな素直なともちゃん(オカンの名前)、だあ~い好き」と少々おだてを込めて返信。ま、心配の種も無くなって安心して仕事に従事。

10時間後の夜6時過ぎ、ケータイに電話。「オトーサン、クルマが落ちた! どうしよう!」
「バスで行ったんと違うんか」
「あの時は歩いて行くと言ったけど、実はクルマで行ってん」

ボクもバカ、バカ、バカだった。普段素直に従うわけがない嫁ハンだということがわかっているのに、何故かその時は信じ切っていて不覚にも「そんな素直なともちゃん、だあ~い好き」なんて大バカなメールを打ってしまったのだ、クソッ。

話を聞くとアイスバーンのところは無事通り過ぎて、自宅まであと100mあるかないかの所まで来てホッとしたのか、ハンドルの自由が利かなくなって脱輪、雪の中に突っ込んでしまったという。もちろん自力では脱出できないのでJAFさんのお世話になりました。

写真はその翌日に撮った現場。怪我もなかったので、ま、オカンにはいい経験になったことでしょう。それに、つれあいのアドバイスもたまには聞かなければ、とも思ってくれた、かな? 思って欲しいよ、な。
(ちなみに、3年ほど前、丁度この反対側で某最大手の宅配業者が脱輪したことがあり、それ以降冬期は配達してくれなくなりましたよ、コイズミさん(少し離れたところで同じように脱輪した郵便屋さんは、歩いてでも配達してくれてます))。

久しぶりです。再開します。まずは『おやき』から。

2010年01月30日 10時46分43秒 | Weblog
このブログを休んで、早いものでもう2年。申し訳ありません。そろそろ復活です。

この2年間、変化の少ない信州の山里にも、いろんなことが起こったり発見したことがあって、このブログに書き残せなかったことに忸怩(じくじ)たる思いをずっと抱えていました。
ですが、仕事の契約も3月末まで。これからは以前のように時間に縛られることもなくなりますので、そろそろ復活を、というわけで、これからは気長にゆったりと続けていくつもりです。どうか以前に変わらずご愛読下さい。

さて復刊第1号の話題は、信州の郷土食の代表『おやき』。皆さんご存知ですか。
『おやき』とは野沢菜やナスなどの野菜、切干大根の煮たもの、おから(卯の花)、あんこ等を小麦粉で包んで、焼いたり、蒸したり、最近では揚げたりしたものもでてきています。なかなか美味しいもので、私は大好きです。コンビニでもスーパーでも普通にどこにでも売っています。信州に来なさったら、ぜひ食べてみてください。

さてこの「焼く」と「蒸す」の違いは地域の違いによります。地域とは、つまり囲炉裏があるかないかの違いになります。囲炉裏のある地域は「焼く」、無い地域は「蒸す」。
人は皆、里(さと)と呼ぶ善光寺平(ぜんこうじたいら)の平野部は「蒸しおやき」。
人は皆、山(やま)と呼ぶわが山里は、当然「焼きおやき」。
この「蒸しおやき」も笹の葉で包んで蒸すところもあれば、何も包まずにそのまま蒸すところもあります。
「焼きおやき」も、囲炉裏にぶら下がっている『ほうろく鍋』(底の平たい鉄鍋。関西のすき焼き鍋を大きくしたようなもの)でジックリ焼いたものと、おやきの表面を軽く焼いたのち、灰の中に入れて蒸し焼きにするものがあります。
わが山里は後者。

ムラ人の知人など、昔は夕飯といえばおやきを2個~3個。囲炉裏の中から取り出して灰を払いながら食った、と話しておられる。
この話を聞いて、ここの人は少食だなと、ず~っと1月24日の今日の今日まで思っていました。
ところが今日、過疎のムラの中でひっそりと出している「おやきの店」で、昔のままの「灰焼きおやき」を買ってびっくりしました。写真がそれです(切ったのは、野沢菜とタマネギ)。
一般的におやきは直径10cm位まで、厚さは2~3cm、半円球のいちばん厚いところでせいぜい5cmもあれば大きいほうでしょうか。皆さんは『炭団(たどん)』てご存知ですか。野球のボールといってもいいかな、丁度それくらいの大きさでした。これでは2個程度で満腹になるはず。
ストーブの上の土鍋からうどんをすくい上げつつ、このおやきで夕食にしたのですが1個がせいぜいでした。
ちなみに皮の固かったこと。上の歯ならともかく、下の歯を食い込ませようとしたら歯がおかしくなるくらい固かった。でも、でもですよ。噛んでいるとこれが味がでてくるんです。

この『おやき』については、まだまだ語りつくせない話がたくさんあります。また機会があれば紹介します。では、また。