シネブログ

このブログは映画に関する記事を書いています☆

『硫黄島からの手紙』

2006年12月10日 00時00分54秒 | 映画レビュー
製作年度:2006年
上映時間:141分
監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙 、二宮和也 、伊原剛志 、加瀬亮 、中村獅童 、裕木奈江
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、日本軍の最重要拠点である硫黄島に新たな指揮官、栗林忠道中将が降り立つ。アメリカ留学の経験を持つ栗林は、無意味な精神論が幅を利かせていた軍の体質を改め、合理的な体制を整えていく。上官の理不尽な体罰に苦しめられ絶望を感じていた西郷も、栗林の登場にかすかな希望を抱き始める。栗林の進歩的な言動に古参将校たちが反発を強める一方、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技金メダリストの“バロン西”こと西竹一中佐のような理解者も増えていった。そんな中、圧倒的な戦力のアメリカ軍を迎え撃つため、栗林は島中を張り巡らせた地下要塞の構築を進めていく…。

コメント:
第一部の『父親たちの星条旗』、そして第二部の『硫黄島からの手紙』。
この2作品を観て共通して言えることは、どちらの兵も皆、自分の命と本国にいる家族を守るためにやむ終えず戦わされていたということだ。生き抜くためには、自分たちと同じ気持ちであろう敵の兵をも殺さなければならないという、極限の状態が戦争なのである。

当時の日本兵は『お国のため、天皇のため』と言い聞かされ、自分の信念でもないことをやらされ死んでいった。
そんな中、本作で登場する西郷は現代的な若者の考えだと思う。
彼は戦争や国のことなんかどうでもよく、ただ本国に取り残してきた家族のために生きて帰りたいという気持ちを持っている。
自分がもし同じ立場だったら彼と同じ行動を取るだろう。
国や上官に愚痴ったり、敵側に投降してでもその戦場から逃げ出そうとする。
これこそが本来人間が忘れてはいけないもので、一番主張しなければならない気持ちだと思う。
国のために命を捨てることは正直無駄なことで、最後まで生き残って何かを伝えることの方が余程大事なことではないだろうか?
それもできなかった時代だと思うと胸が痛くてたまらない。

劇中様々な立場の人間が登場するが、皆生きて帰りたいという気持ちは共通である。
そんなメッセージがこれだけうまく伝わってくる映画を作ったクリント・イーストウッドはさすがだと思う。
日本とアメリカ両方の視点から製作したこの硫黄島の戦いは、いろんな人に観てもらって、そして戦争の悲惨さを知ってもらいたい。


最新の画像もっと見る