シネブログ

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『鳥』

2007年05月22日 23時40分19秒 | 映画レビュー
原題 THE BIRDS
製作年度:1963年
上映時間:120分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ティッピー・ヘドレン 、ロッド・テイラー 、スザンヌ・プレシェット 、ジェシカ・タンディ 、ヴェロニカ・カートライト 、ドリーン・ラング
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
ある日、何の理由もなしに、鳥たちが人間を襲い始めた……。たった一つのシチュエーションをもとにあらゆる恐怖を引き出した、ヒッチコックのサスペンス・ドラマの傑作。一羽のカモメに額を傷つけられる予兆から、群れをなして襲い来るラストまで、恐怖映画のお手本のような演出が素晴らしい。



コメント:
普段何気に目にする”鳥”をここまで恐怖の対象に仕立てたヒッチコックはさすがだ。本作を観て鳥恐怖症になってしまったという話をよく聞くが、まさにそうなっても仕方がないほど鳥を恐怖に感じる作品である。子供が観ると大変なことになるだろう。

まあそれは言い過ぎにしろ、それにしても1967年に製作した映画にしてはよくできている。当時はCGなどあるはずもなく、やっと合成という技術が盛んになり始めたころ。そういう時代ということもあって、鳥の襲撃を撮影するにはかなり苦労したそうだ。だがCGを使ったからといってこれを越えるほどの作品ができるかといわれると、それは無理だと思う。

ヒッチコックの手腕は”鳥”の見せ方に注力されている。例えば、メラニーが学校の前でタバコを吸いながら待っているシーン。彼女の後ろではジャングルジムに鳥が一羽、三羽、十羽、百羽と徐々に増えていく。観客は「まだかまだか」と見ているが次第にジャングルジムは真っ黒に染まる。やっとのことでその状態に気付いたメラニーは恐怖に怯えながら学校に避難。その後一気に襲い掛かる鳥の大群!!このシーンは本当に長いのだが、その時間の取り方とカメラワークがとても巧い。観客をじらせるだけじらしといて、一気に恐怖を爆発させる演出には脱帽した。実際このシーンで使った鳥はほとんどが作り物なのだが、その数が多く見えてしまうのは人間の錯覚のせいだとか。その辺のアイディアもさすがだなぁと思った。

最後の家の中で繰り広げられる”人間”と”鳥”の攻防は恐怖の連続。外から聞こえる鳥の鳴き声がなんともいえない恐怖を醸し出し、目に見えない演出で観客をどん底に。家の外に出れば世界を埋め尽くさんばかりの鳥の大群。襲ってはこないがその待ち伏せるような態度に恐怖を感じる。そして最大の恐怖といえば、襲ってくる理由が何もないということ。理由なしの攻撃こそ最大の恐怖ということを証明している。

普段身近に存在する動物を題材にした作品だけに、なかなかリアルな恐怖を感じる映画であった。
あなたはこの恐怖に耐えられるだろうか?