百物語改め「九一三・六物語」

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容疑者Xの献身の数学的内容【四色問題、リーマン予想、誰にも解けない問題】

2016-02-07 | 数学

ガリレオシリーズ「容疑者Xの献身」にいくつか数学的な内容あったので
それについて少し書きます。
主に湯川(=ガリレオ= 福山雅治)と石神(= 堤真一)のやりとりです。

 

↑数学者石神(堤真一)と物理学者湯川 (福山雅治)

 



・リーマン予想
石神がリーマン予想の否定の証明を精査するシーンがあります。
結論として石神は証明が間違いであったと言っています。
リーマン予想は
「ゼータ関数の非自明な零点の実部はすべて1/2である」
というものです。
すなわちゼータ関数の非自明で実部が1/2でない零点を
例示した証明に対して、石神はその間違いを指摘したと思われます。
石神も少し話していますが、リーマン予想は素数の分布に関わる予想でもあります。


・四色問題
学生時代の石神が四色問題(あるいは四色定理)の証明をしようとしているシーンがあります。
「どんな地図も4色あれば隣り合う国が違う色になるように塗り分けられる」というものです。
既に四色問題は証明されていたのになぜあらためて証明しようとしているかというと、
既存の証明がエレガントでないからです。
アッペルとハーケンという数学者が、有限個のグラフ(点と線の集まり)の問題に
帰着させてコンピュータで(ある意味強引に)解きました。
エレガントでないエレファントな(象、すなわち巨大な)証明とも言われています。
石神はこれに対してエレガントな(簡潔な)証明を与えようとしていたということになります。


・誰にも解けない問題
湯川が石神に問いかけるシーンがあります。
「数学の新しい問題を1つ思いついたんだ。
①誰にも解けない問題を作るのと、
②その問題を解くのとでは
どちらが難しいか。
ただし、答えは必ず存在するとする。」

だれにも解けない問題である以上②は不可能のはずです。
①については可能であるか否か考えが分かれるところでしょう。
数学には解けない問題というのが存在して、
例えば「連続体仮説」はZFという体系で証明も反証もできないことがわかっています。
ですが「答えが存在する」という条件を満たすかどうかが問題になります。
可算無限より大きい集合を扱うことになるので数学者の間でも意見が分かれそうな気がします。


可算無限の範囲で考えられるものであれば、どういうものがあるでしょう。
どのような体系においてもその体系で停止性の判定ができないプログラムが存在します。
なので
「プログラムPは停止するか?」という形の問題が①の答えとして考えられます。
プログラムは停止するかしないかのどちらかなので答えが存在するという
条件を満たしているように思えます。
(ただし、誰にも解けないということを証明することはできません。
どうせなら
「プログラムの停止を判定する神託のついたプログラムPは停止するか」
とかいう問題を作ればなんとかなりそうな気もします。よくわかりません)
ただ、このシーン、物理学者と数学者が話しているという点が厄介です。
ボクの学生時代の経験から言って、「答えが存在するか否か」のとらえ方は
物理をする者と数学をする者で違う気がします。
物理学者は実験により検証可能な範囲以外は考察の対象外にしている
(つまり答えが存在しないと考えている)気がします。
対して数学者は検証可能かどうかは置いといて答えは存在する(あるいは神は知っている)
と考えている気がします。
(数学者のなかでも直観主義論理なんかは考え方が違うでしょうが・・・)

湯川の問いかけに対して結局石神は答えませんでしたが、
実際二人がこの問題を話したら「答えが存在するかどうか」
の部分でおもしろい議論が期待できそうです。





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