ルイスと映画泥棒

中国・韓国映画を中心に毎日観た映画の感想を記録。おすすめ度を☆で採点、☆四つ以上は必見の映画。

「胡同のひまわり」を観た

2006年08月21日 | 映画
中国映画「胡同(ふうとん)のひまわり」を観た。

主人公の出産シーンで始まり、北京の胡同(ふうとん)で成長する過程を描いた映画だ。北京は今、この胡同のような古い住宅を壊し近代的なアパートやマンションに建て替えている。そのスピードは驚くばかりだ。2008年の北京オリンピックを控えているから、中国としては、国の威信をかけて汚い街並みを観光客に見せるわけにはいかないのだ。

物語りは、主人公が生まれる1960年代から2002年頃までの胡同が描かれている。映画でも、まさに取り壊される胡同がこの親子にさまざまな影響を与えていく。

父親は、友人の密告で6年間の強制労働をさせられる。その父親が胡同の家に帰るところから物語りは始まる。父を知らずに育った息子は、なかなか馴染めないが徐々に打ち解けていく。前半はその父と子の確執が描かれている。洗濯物を洗いに川に行き、木陰で昼寝をしていたが、起きると隣で寝ていたはずの父がいない。父は風で飛んで行った服を取りにいっただけだが、不安になった子は、はじめて「パ~」「パ~」と父を呼ぶ。泣かせる前半のクライマックスだ。

母は、新しいアパートに移りたくてたまらないが、抽選になかなか当たらない。賄賂や友人に譲ってもらうが、父が頑固に断ってしまう。最後には偽装離婚までして母はアパートを手に入れるが、父はひとり胡同に住む。息子は結婚し、画家として倉庫を改造して別に住んでいる。胡同が壊される直前に、父はテープにメッセージを残し旅に出てしまう。1年後、息子は子供が生まれ、子供をつれて倉庫の自宅に帰ると、入口には父が置いたと思われるひまわりがある。ひまわりは強制労働から帰った父が胡同の中庭で育てた花である。たんたんと進むストーリーの中で、親子の人生が描かれ、その象徴としてラストシーンにはひまわりが選ばれている。悲喜こもごもの出来事が描かれているが、すべては「ひまわり」のように太陽に向かって花を咲かすというメッセージなのかもしれない。ちなみに、原題は「ひまわり」だけである。「胡同の・・・」は日本向けの題名だ。

久しぶりの時間がゆっくり流れる中国映画に出会った。

ルイスの評価  ★★★★


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