８月２７日(土)菅さん退陣

８月２７日(土)菅さん退陣

菅首相は２９日に新しい民主党代表が決まった後に辞任することになった。去年６月から１年３ヶ月、これも短命内閣だった。近頃の日本の首相はころころ代わって、外国に覚えてもらうのも覚束ないのではないかと思えるほどである。

菅さんはその任期中にいったい何をしたのだろうか。評価は菅さんの言葉を借りるまでもなく「後世の人々の判断に委ね」るしかないけれども、少なくとも沖縄・普天間基地移転について希望的観測を前面に出し、それが実現不可能であることを悟ると、さっさと政権を投げ出した鳩山前首相に比べれば、その粘り腰は見上げたものであると思う。

菅さん自身「やるべきことはやった。一定の達成感を感じている」と語ったとおり、前任者に比べたらいろいろなことに手をつけた。しかし一方で手を広げすぎて政策の焦点がぼやけたことも否めない。そして熟慮を欠いた軽はずみな発言も目立った。

例えば高齢化社会で福祉の充実を図るためには、消費税率の引き上げが不可欠だという考えを言い出したのは勇気の要ることではあったが、説明不足で国民の反感を買った。

政権後半では、それこそ想定外の大震災に見舞われ、その対応に追われた。「原発に依存しない社会」と言い出したのも福島第一原発のメルトダウンが明らかになった後であり、将来のエネルギー政策の具体的スケジュールも描けないままの退陣となった。

「指導力不足」、「軽はずみ発言」など負のイメージが付きまとった菅政権の後を誰が引き継ぐことになるのか分からないが、誰がなっても大幅赤字財政を初めとする政権を取り巻く環境は変わらず、難しい運営を強いられることは明らかである。

分裂含みの民主党が党代表選びが終わったら果たして挙党一致の党運営、政権構築だできるのだろうか。はなはだ疑問である。

中村 啓子、ナレーター（転載）

プロフィール記事
中村 啓子 なかむら けいこ
「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません・・・」「留守番電話サービスセンターへおつなぎします。・・・」携帯電話を利用していると、毎日耳にするこの声。この声のこそ、ナレーター中村啓子なのです。
　そのキャリアは、長く、テレビ・ラジオ・企業のVTRなど各方面での活躍は言うまでもありません。NTT-DoCoMoの音声ガイダンスをはじめ、電話の時報、エレベター、エスカレーターなど、日常生活のほとんどの場面で、その声を聞くことができます。民放番組のナレーションを担当したり、また、皇室の特別番組等でもその声を聞くことができます。
声質は言うまでもなく、ナチュラルで、美しい響きを持っています。深みのある低音、柔らかく品の良い中音域、美しい高音域と、聞けば誰もが納得する美しい声の持ち主です。
　正確無比のそのナレーションに、制作に携わる多くのスタッフから絶大な信頼を得ています。アクセント、滑舌、イントネーション、プロミネンスなど、何に置いても、現在日本のナレーターの最高峰を極めていることは誰も否定できません。
近年では、後に続く優れたナレーターの育成のためにナレータースクールOKEIKOで講師をしています。

■中村 啓子


■中村啓子～声の部屋～

８月２６日(金)クズのこと

秋の七草の一つ「クズ」が空き地や川沿いの土手などを覆い尽くしている。繁殖力がきわめて旺盛な植物である。その性質が買われて土壌浸食防止の目的で諸外国に導入されたが、１９３０年代にアメリカ南部に移入されたものは、気候と土壌が合ったのかコントロールできないほどの雑草になって大騒ぎになったことがある。

日本では荒地や利用されていない河川敷などを占拠しているだけで、良質のデンプンが得られる植物として利用されている。太く長い塊根は１本で３０ｋｇを超すものもあり、約２０％のデンプンを含んでいる。

デンプンをとるのは蔓が枯れた冬の作業である。掘り起こした塊根を叩き潰して何度も水に曝す作業を繰り返すと真っ白なデンプンが沈殿する。それを乾燥させて砕いたものが本葛粉である。ジャガイモから大量に生産されるデンプンに比べて高価であるが、高級料理や和菓子での需要が多い。

とかく邪魔者扱いされるクズであるが、他にも利用されている。長く伸びた蔓を刈り取って大釜で茹でてから地中に埋めて発酵させ、それを水で揉み洗いして得られた繊維で織った布が「葛布」でかつては袴などに加工されたりしたが、今では衣料として使われることはほとんどなくなった。しかし、丈夫で野趣に富んでいるので襖や壁に貼ったり装本用の布として珍重されている。

もっと馴染み深いのは漢方の葛根（かっこん）であろう。血行を良くし、血糖値を下げ、解熱作用もあるなど利用範囲が広い。

花の季節は今である。葉腋から出た総状花序に紫紅色の花をたくさんつける。この花が芳香を放つことをご存知だろうか。

ネオンテトラ（転載）

クリニックへ行く

８月２４日(水)紳助さんの引退

８月２４日(水)紳助さんの引退

タレントの島田紳助さんが昨夜記者会見し突然引退を表明した。理由は暴力団と過去に親交があり、それは「ルール違反」であると気づいたからだという。その「親交」がどの程度のものであり、金銭がらみのことがあったのかどうかも分からないが、人気タレントが引退するというのはよほどの覚悟があってのことだろう。

芸能人が暴力団との関わりを指摘され、批判されたことは過去にも何件かあった。しかし、それを理由に引退したことはなかった。人気が高いタレントほど芸能生活を続けたいと思うのは当然だと思う。そして世間もそれを許してきた。

そうした過去の事例と今回の紳助さんの場合はどこが違うのだろうか。歌手の北島三郎さんと山本譲二さんが広域暴力団稲川会の新年会に出席したことが静岡県警の調査で発覚した事例(１９８６年)や俳優の勝新太郎さんが暴力団幹部の誕生パーティーに出席した事例(１９８７年)、近いところでは歌手の細川たかしさんや小林旭さんら５人が暴力団組長らとゴルフコンペをした事例(２００８年)などでは、誰一人として引退していない。

上記の例はどれも外部の調査で発覚したにも関わらずである。それに対して紳助さんは誰に指摘されたわけでもない。黙っていれば分からなかったかもしれない。しかし彼自らの倫理感覚に照らして許されることではないと自覚し、暴力団との関わりを告白し仕事も辞めると宣言した。これは大きな違いである。

このことをどう評価するか。バレそうになったから先手を打った、傷つく前にさっさと身を引いたと見ることもできようし、いさぎよいと賛辞を送ることもできよう。小生はタレントが何をしようがほとんど関心がないけれども、紳助さんは人気絶大の芸能人らしく「幕引きの美学」を演出してみせたかったのではないかと見ている。

８月２３日(火)要注意

８月２３日(火)要注意

めくじらを立てるほどのことでもないが、先日NHKテレビを観ていて明らかに誤用と思われる言葉に出会った。その言葉は「見合わせる」で、余震の大きな揺れで送電が止まったJR路線について「停電のため運転を見合わせています」と言っていた。

これは変だ。「見合わせる」と言うのは、その気になれば実行できるのに行動に移すことを控える意味である。しかし、停電で送電が止まったら列車を走らせたくても不可能なのだから「運転見合わせ」という表現は明らかに間違いである。正しくは「停電のため列車の運行ができなくなっています」とでも言うべきである。

交通情報を伝えるJR職員が震災いらいずっと運転できなくなっているローカル線について「運転を見合わせています」と言うのも同様に間違いである。

もう一つ、このごろ使う人が多くなって気になっている言葉がある。それは何々「させていただきます」あるいは「させていただきました」と言う表現である。

話し方、話す人によって同じ言葉を使っても印象が大きく異なるるから、一把一からげに決め付けるわけには行かないけれども、この表現は一見へり下ったふりをして他人を欺く手法として使われているような気がしてならない。

とくに権力者がこの表現を使うとそう感じる。つまり「させていただく」と言いながら、実は「オレが決めて実行するのだからお前ら黙っていろ」と有無を言わせぬ態度が見え見えな場合がある。こうなるともう謙譲の気持ちのひとかけらもなくなって、横柄な態度ばかりが際立つ逆効果を生む。「させていただく」を連発する人物は要注意だと思っている。

２０１１年８月２２日(月)居住禁止

２０１１年８月２２日(月)居住禁止

政府は福島第一原発事故による放射線量が高い地域の土地を国が借り上げ、住民の居住を長期間禁止することを検討しているという。対象地域が具体的に示されておらず、居住禁止の期間も不明なので、対象になる可能性がある地域の住民の間に不安が高まっている。

長期にわたり住民への健康被害を考えれば、居住禁止地域を設けるのはやむを得ないかもしれない。しかし、その前に汚染を除去して住民が再び戻れるのはいつごろになるのかなど、具体的な計画を示して住民の納得を得る必要がある。

また土地借り上げの金額をどれくらいに設定するのかも未定のようだ。住み慣れた土地へ戻れない期間の生活保障をどうするのかも含めて、きめ細かい検討が必要だと思う。

また土地借り上げによって住んでいた住民への損害賠償の一部に当てるつもりらしいが、借りっぱなしで放置したのでは土地は荒れるばかりである。人の手が入らなくなれば農地が荒地に変わり、再び耕作可能な土地に戻すのは容易でない。

土地は借り上げるにしても、住宅はどうするつもりだろう。この点も不明である。住宅は人が住まなければ急速に荒れて廃墟になる。その補償はどうするつもりなのだろう。対象地域になる可能性が高い地域の住民は不安でたまらないのではないか。

どうも政府の考えることは住民の目線に立っているとは思えない。菅首相は最後のお勤めとして２７日に福島市で開催される「原子力災害復興再生協議会」に出席する予定である。その折に関係自治体・住民に対してどのような説明をするのか注目している。

８月２１日(日)サトイモとイカの煮物

８月２１日(日)サトイモとイカの煮物

今朝は雨がしとしと降っている。午後にはもっと強くなり明日にかけて降り続くらしい。乾燥気味だった菜園には恵みの雨であるが、大雨は地盤が緩んだ被災地には要注意である。

気温も一転して肌寒いほどまで下がった。今日は２２℃ぐらいにしかならないそうだ。９月下旬ころの気温である。つい先日まで３０℃を越す日が続いていたのがウソのようだ。これぐらいの気温になると煮物が恋しくなる。

ジャガイモ・ニンジン・ゴボウ・サツマイモなど根菜類の煮物、切干大根とヒジキの煮物など、いわゆるおふくろの味は子どものころから食べなれているから飽きることがない。土つきのサトイモが出回るころに作るイカとの煮つけもうまい。

小さめのサトイモは丸ごと、大きめのものは一口大に切って塩でぬめりを取り下茹でしておく。足とワタ、軟骨を取ったイカは良く洗ってから輪切りにする。この両者だけを出し汁で煮れば見た目がきれいな煮物になる。

しかし小生はイカのワタと足・耳の部分も一緒に煮て茶色になったものが好きである。イカは煮過ぎないことが肝心だ。火が通ったらいったん取り出して置いて、サトイモが十分柔らかくなったところで戻して味を絡める方が失敗しない。色が悪くて味が濃厚で少なからず下種っぽいが、乙にすました煮物よりはこの方が断然うまいと思う。

氏素性は争えぬと言うが、小生はどうやら会席料理向きの人間ではないようだ。

８月２０日(土)ムチン

８月２０日(土)ムチン

以前に一度書いたことだがネバネバする食品が好きである。納豆、とろろ、オクラなどネバネバするものを一日一食は食べている。別に健康にいいと思っているからではない。とにかく好きなのである。今朝はすりおろした長いもに、刻んだオクラとツルムラサキと生卵を混ぜた得体の知れないものを作って、熱々のご飯にかけて食べた。とろろ芋単品と違って複雑な味がしてうまかった。

ネバネバ物質は糖とたんぱく質が結合した物質でできている。この糖たんぱく質を総称してムチンと呼んでいる。それを多く含む食品は上記の納豆、とろろ、オクラなどのほかに、サトイモ、モロヘイヤ、レンコン、ナメコ、昆布、モズク、ジュンサイなどである。こう並べてみると、そのどれもが好物なのには驚いてしまう。

それではネバネバ食品を好んで食べれば何かいいことがあるのだろうか。結論を先に言うとムチンは胃炎や胃潰瘍の予防効果やアレルギー症状の改善効果が期待される程度で、医学的に実証されたわけではないそうだ。

これにはいささかがっかりさせられるが、むかしから納豆や山芋には強精作用があると言われてきた。こちらの方はどうなのだろうか。納豆やとろろは好んで食べているが、考えられる効果はムチンに含まれる天然グルタミン酸が細胞を若返らせる効果である。日本人が概して実年齢より若く見られることや世界一の長寿国になったこととも関係があるかもしれない。ただしこれも確実にそうだとは言えない。

と言うわけで積極的なネバネバ食品効果にはなかなか到達できないが、ムチンが血糖値上昇を抑え悪玉コレステロール値を下げる作用があることは知られている。さらに世界最年少で高校・大学卒業の記録を持つ日系アメリカ人、マイケル・カーニ君が大の納豆好きだからといって、納豆を食べれば頭がよくなる保証もない。ただ納豆に含まれるグルタミン酸に脳の働きを活性化させる作用があるとはいえそうである。

まあ、ネバネバ食品に期待するほどの効果がなくてもいいではないか。うまいと思って食べるのがいちばんだ。しかもこれらの食品はどれも安いところがいい。