間もなく夏到来。
この次期になるとお客様で発生する故障原因に、熱暴走が見られるようになります。
多くは放熱ファン&ヒートシンクが埃で塞がれることによります。
例えばこの機体も動作中頻繁に電源が落ちると相談頂きお預かりしたものです。
DELL製でよく見られる、本体背面への放熱ファンがCPU放熱ファンを兼ねているケース形状です。
CPU上部の風を誘導するカバーを開けてみるとこのとおり。
埃がびっしりとヒートシンクを塞いでしまっています。
放熱どころか保温されてしまい、CPUの熱はあがる一方になります。
これでは、どんな異常がおきても不思議ではありません。
更にケース前面の蓋をあけてみました。
前面から外気を流入させる穴が見事なまでに塞がっています。
CPUだけでなく、PCのケース内部全体の熱はたまり続けることになります。
放置すると、CPUだけでなくHDDその他も壊れる可能性があります。
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早速清掃
ケース外部の大雑把な部分は掃除機で吸ってしまうのが楽。
エアダスターは繊細な部分にそっと被った埃を吹き飛ばすことには適していますが、ヒートシンクに挟まった埃はとれませんので。
ただし、ノズルの先は余り近づけない事!
特に電子回路には近づけないでください!
ぶつけて小さな部品を折ったりしたらまずいのは言うまでもない事です。
それよりも時期によっては危険なのが静電気。
掃除機の空気の流れは静電気を生じることがあるのです。
風との摩擦で発生した静電気がPCの回路にパチッといったら終わりです。
ですので放熱ファンや部品の隙間などの微妙なところは綿棒でそっと掻き出すのがよいでしょう。
掃除の後はこのとおり。
これで、放熱は確保されるようになりました。
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デスクトップ系パソコンでよくあるのが、CPU自体に放熱ファン&ヒートシンクがついている場合です。
放熱ファンがヒートシンクにネジ固定されているのであれば、放熱ファンを外すと掃除が楽です。
堪能な方以外は、CPUからヒートシンクを剥がす事はやめましょう!
その際CPUを傷めることもあります。
剥がす事は成功しても、再装着の際にはCPU&ヒートシンク設置面の清掃と熱伝導グリス塗布などが必要になります。
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下記に該当する方は、年に数回はパソコンの蓋を開けて中をチェックしたほうがよいでしょう。
1.タバコを吸う。
タバコのヤニがかなり埃をくっつけます。
結構ベタベタしますので、清掃も大変です。
2.布団のある部屋、絨毯のある部屋での利用。
空気中の綿埃が多いので、その分埃が詰まりやすくなります。
3.犬猫を部屋で飼っている方。
ペットの毛も結構内部にたまります。
特に寒い冬場、PCは熱で暖かいので猫が寄り付くこともあります。
あるお客様は前述全てに該当しており、かなり酷いことになっていました。
もしも自分で作業することに不安があれば、堪能な方や、業者に頼んだほうがよいでしょう。
熱で壊れてしまっては、どうしようもありませんから。
かなり大胆なケースですが、動作中にミニタワーの側面蓋を開けて、掃除機で吸引。動いたホコリがメモリソケットでショートを引き起こした例。
マザボはBIOSすら3回に1回上がるかどうかといった状態に。他はメモリが1枚コンタクト部分のパターンがなくなった以外、グラボなどは無事でした。ホコリは凄かったですが。
ケース2。
こちらも掃除機。ただし電源は切っていました。
電源は入るものの、メーカーロゴが出ない。ファンの回転も最高のまま下がらない。POSTすら始まっていないと言うことか。
メモリ外しても変化無し。そこでマザボをしげしげと観察し、リアルタイムクロックのクリア極を探すと、ちゃんと印刷してありました。ジャンパーピンをクリア側に差し替えて、暫時経過した後通常位置へ。
無事起動しました。CMOSをデフォルトロードして起動。元に戻りました。(日付と時間をそのままにして引き渡してしまいました。遺憾。)
ケース3。掃除していてCPUをソケットから抜いちゃった(!)。
IBM Intellistation。CPUクーラーはねじ止めで、外しやすいタイプ。で、ねじを取ってヒートシンクを取ったら、なんとCPUが付いて来たらしい。驚くべきはそのまま戻して(!)電源を入れても壊れなかったこと。
固定レバーはヒートシンクが当るので当然操作できないから、ピンはソケットに入ってはいない。奇跡的にピンが曲がらなかったので、カピカピのグリスで引っ付いたCPUをヒートシンクから剥がして、きれいに除去してから組み付け。楽しい作業でした。
無事起動。缶ビール6本ゲット。
悪いことは言いません。掃除はプロに任せましょう。