よかったら、読んでみてね
ゆうこ:私は、商店街の片隅で占いをやっている、「恋愛偏差値少な目ゆうこ」。
今日も、世の中の迷える子羊を待っています。夕方4時30分。小腹から大腹になりかけたころ、お客さんがやってきました。
???:こんにちは。ここ、いいですか?
ゆうこ:はい、どうぞ。あなたのお名前は?
???:「ゆずふうみ ゆずこ」です。
ゆうこ:じゃあ、もちろん、みんなからは…。
ゆずちゃん:「ゆずちゃん」って呼ばれてます。
ゆうこ:展開が早いわねぇ。じゃあ、ズバリ、ゆずちゃんのお悩みは?
ゆずちゃん:あのー、悩みを聞いてもらうんじゃなくて、今、数独がしたいんです。
ゆうこ:えっ、そうなんだぁ。私もやりたい。昨日の夜からちょっとイライラしてるんで。
ゆずちゃん:何かあったんですか?昨日の夜に。
ゆうこ:そうなの。ちょっと聞いてくれる?昨日の夜ね、私が食べようと楽しみにしてたイチゴ大福を、お姉ちゃんに食べられちゃったの。悔しぃー。
ゆずちゃん:食べ物の恨みは、恐ろしいですからね。名前書いとけばよかったのに、大きく。
「『ゆ』のたべもの」って。
ゆうこ:まぁ、いつの間に、私の名前の最初の一文字を。「『まるゆ』の食べもの」って、書いてたんだけど、でもダメだったのよぉ。わぁーん。
ゆずちゃん:かわいそ、泣かないでぇ。「『まるゆ』って書いてても、食べられたの?おかしいなぁ。どうして?
ゆうこ:私の名前は、ゆうこでしょ。お姉ちゃんの名前は…聞いて驚いて。なんと、「ゆうゆうこ」なのよぉ。わぁーん。
ゆずちゃん:えっ!?ゆうゆうこ?変わった名前の付け方しますね、親御さんも。
ゆうこ:そうなのよっ。初めての子だったので、お風呂のお湯をなみなみいっぱい入れて、そこに浸かったとき、お湯がいっぱい流れても、ゆうゆうとしてられる大人物になってほしいってことで。
ゆずちゃん:それで、「ゆうゆうこ」って名前なんですか。お姉ちゃんは。
ゆうこ:そうなの。
ゆずちゃん:で、後から生まれたゆうこさんは、1つ「ゆう」の字が少ないんだ。それもまた、なんか…
ゆうこ:ひどいでしょ。サンタフェ家では、大人物は1人でいいって。あとは普通でいいって言うのよ。
ゆずちゃん:なんか、数独どころじゃなくなったみたい。帰ろうかな。
ゆうこ:えー、まだ帰らないで。ほんと下の子って、いっつも損してるわぁ。ゆずちゃんは、御兄弟いるの?
ゆずちゃん:しっかり者の姉が1人います。名前は、「ゆずふうみ・クール・れいとう・ヤフ・ド・コースター」です。
ゆうこ:えっ、それが名前なの?また変わった名前付けられたわねぇ、お姉ちゃんも。
ゆずちゃん:一番目の子は、とかく温室育ちになりやすいので、それを危惧した両親が、真逆の名前を付けたんです。
ゆうこ:うちもどうかと思うけど、ゆずこちゃんちも難儀だわねぇ。お姉ちゃん、どう?最近の様子は。
ゆずちゃん:それが、ミスからミスターに変更しました。そして、今後一切お風呂に入らないで、シャワーで済ますって言ってました。なぜだかわかんないですけど。
ゆうこ:まあ、まさしくミスターフローレスね。かなりのダジャレだけど。ゆずこちゃん、そろそろ声を合わせて言おうか。
ゆずちゃん:あ、はい。せえの。
二人:一大事解決!
ゆずちゃん:サンキューゆうこ。
ゆうこ:はぁー、なんとか今回も解決したわぁ。ゆずこちゃん、またね。今度来たら、数独やろうね。
みんなにあるもの、名前と誕生日。私にないもの、お金と彼氏。恋愛偏差値少な目ゆうこでした。
前回は岡本圭人くんでしたが、今回は薮宏太くん編です。
見つめ合う、視線の先に、桜もち。3時のおやつに、ちょうどいい。ほうほうほでした