[個人史]: 男と女、恋愛、性、1980年代中後期、 羽田、 旭川
旭川発の プロペラ機が羽田に着いた 後、
女性のこころを静めるのも 私の仕事 である。 なぜか ふらっと旅に出た先では たいがいこのような展開になってしまう。
すっかり 闇に覆われた 空港で立ち往生もできない。 彼女をなだめすかして モノレールに乗り JR浜松町駅 まで出た。
浜松町駅はかつて私が 通勤に使っていた駅 だから 少しは様子が分かる。 以前見かけた駅中レストランに誘って食事をしながら話を聞いた。
いきさつはこうだ。
彼女に好きな彼が出来た。 彼女は結婚したかった。 両親に反対された。 彼女は彼と結婚したかった。 彼と彼女は二人で北海道に駆け落ちした。 最初は優しかった彼が次第に暴力を振るうようになった。 始めは彼女も我慢したが耐えられなくなった。 何度も彼から逃げ出した。 逃げ出すたびに彼に見つかって引き戻されて また暴力を振るわれた。 スキをみて彼女は逃げた。 そしてやはり空港で見つかって引き戻された。 今日 彼のスキをついて逃げ出し 初めて彼に見つからずに飛行機に乗る事ができた ...。
<家にお帰り..>
彼女は 両親に反抗して駆け落ちし、家を出たのだから、 絶対に両親の許しは得られない。 と、悩んでいたのだ。
彼女が 「家に帰ろう」 と勇気を得るまで 30分ばかりも説得をつづけただろうか。
「家に帰る」 との決心を確認して 自宅に電話することを勧めた。 するとまた彼女の 勇気が萎えた。 再び 30分ほど説得を続け ようやく 両親の住む自宅に電話する決心を固めた。
手持ちのテレホンカードを渡し、励ますと 彼女は 店の外の(駅の) 公衆電話へと向かった。
<安心>
店内で待つ事数分。 彼女は電話出来ただろうか? 親御さんと話は出来ただろうか? と彼女の帰りを待った。
再び店内に姿を見せた彼女は 「嬉しい! 両親は駅まで迎えに来てくれると云ってくれた。 本当に良かった。 うれしい。」 そう云いながら 笑顔で戻って来た。
<頑張れ!>
横須賀線の乗車券とグリーン車の切符を買い与え、 私が下車する 横浜駅までの間 繰り返し彼女を励ました。 彼女が 横須賀駅で両親と再会するまで その心が萎えないよう祈りながら 彼女一人を残して 私は横浜駅で降り、 その日の 旅 を終えた。
※注: 当時の私は電車で 横須賀に行った事が無く 京急線も利用した事が無かった。 もし彼女を乗せる電車を間違えたとしたら 理由 はそれだけである。
(完)
関連記事
06/17 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(6) ・・・ 遠距離(後)
06/17 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(5) ・・・ 遠距離(前)
05/23 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(4) ・・・ 本記事
05/23 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(3) ・・・ 旭川発(前)
05/10 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(2) ・・・ 水子供養
05/08 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(1) ・・・ 約束
11/02 子供が教えたつきあい方・接し方(2) - 信号機で
旭川発の プロペラ機が羽田に着いた 後、
女性のこころを静めるのも 私の仕事 である。 なぜか ふらっと旅に出た先では たいがいこのような展開になってしまう。
すっかり 闇に覆われた 空港で立ち往生もできない。 彼女をなだめすかして モノレールに乗り JR浜松町駅 まで出た。
浜松町駅はかつて私が 通勤に使っていた駅 だから 少しは様子が分かる。 以前見かけた駅中レストランに誘って食事をしながら話を聞いた。
いきさつはこうだ。
彼女に好きな彼が出来た。 彼女は結婚したかった。 両親に反対された。 彼女は彼と結婚したかった。 彼と彼女は二人で北海道に駆け落ちした。 最初は優しかった彼が次第に暴力を振るうようになった。 始めは彼女も我慢したが耐えられなくなった。 何度も彼から逃げ出した。 逃げ出すたびに彼に見つかって引き戻されて また暴力を振るわれた。 スキをみて彼女は逃げた。 そしてやはり空港で見つかって引き戻された。 今日 彼のスキをついて逃げ出し 初めて彼に見つからずに飛行機に乗る事ができた ...。
<家にお帰り..>
彼女は 両親に反抗して駆け落ちし、家を出たのだから、 絶対に両親の許しは得られない。 と、悩んでいたのだ。
彼女が 「家に帰ろう」 と勇気を得るまで 30分ばかりも説得をつづけただろうか。
「家に帰る」 との決心を確認して 自宅に電話することを勧めた。 するとまた彼女の 勇気が萎えた。 再び 30分ほど説得を続け ようやく 両親の住む自宅に電話する決心を固めた。
手持ちのテレホンカードを渡し、励ますと 彼女は 店の外の(駅の) 公衆電話へと向かった。
<安心>
店内で待つ事数分。 彼女は電話出来ただろうか? 親御さんと話は出来ただろうか? と彼女の帰りを待った。
再び店内に姿を見せた彼女は 「嬉しい! 両親は駅まで迎えに来てくれると云ってくれた。 本当に良かった。 うれしい。」 そう云いながら 笑顔で戻って来た。
<頑張れ!>
横須賀線の乗車券とグリーン車の切符を買い与え、 私が下車する 横浜駅までの間 繰り返し彼女を励ました。 彼女が 横須賀駅で両親と再会するまで その心が萎えないよう祈りながら 彼女一人を残して 私は横浜駅で降り、 その日の 旅 を終えた。
※注: 当時の私は電車で 横須賀に行った事が無く 京急線も利用した事が無かった。 もし彼女を乗せる電車を間違えたとしたら 理由 はそれだけである。
(完)
関連記事
06/17 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(6) ・・・ 遠距離(後)
06/17 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(5) ・・・ 遠距離(前)
05/23 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(4) ・・・ 本記事
05/23 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(3) ・・・ 旭川発(前)
05/10 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(2) ・・・ 水子供養
05/08 ジョージィは見た! 『男と女』 の物語(1) ・・・ 約束
11/02 子供が教えたつきあい方・接し方(2) - 信号機で