舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

宇宙ちゃんと分解くん

2009-12-05 23:50:29 | 徒然話
「♪私の名前は宇宙ちゃん」あるいは「♪僕の名前は分解くん」で始まるコマーシャルをご存知でしょうか?
「宇宙ちゃん」は、宇宙人に会える日を待ちわびながら、全身を青く塗って生活する女の子の話。
「分解くん」は、何でも手当り次第に分解してしまう男の子の話です。

私はこのCMがとにかく大好きなんですね。
特に「宇宙ちゃん」編。宇宙ちゃん本人よりも、全身青塗りの女の子を普通に受け入れている家庭や学校が、実に素晴らしいと思うのです。
なぜならば、私自身が「宇宙ちゃん」だったからです。
...もちろん私も幼少時代は青塗りだったって意味ではありません(笑)。

「青い染料は身体に悪いからダメ」とかそういうことは、この問題の本筋から離れているので抜きにしましょう。
じゃあ、この染料は一切身体に害がないという設定で(笑)。

見るからに異質な子供に対して、学校や社会、家庭はどう接するか。
幸い私の家庭は宇宙ちゃんを容認する家庭でした。母も「染料が身体に悪くないなら構わない」と太鼓判を押してくれました(笑)。

しかし残念ながら、私の行った学校はそうではありませんでした。
私が学校時代のことを思い出す時に、決まって呼び起こされるのは、「周りに迷惑をかけている訳じゃないのに、何故、彼らは私に構わないでいてくれなかったんだろう?」という思いです。
これは別に最初から他人を拒絶している訳ではなく、私の得意な嗜好や言動に対する周りの反応に思ったことです。

確かに、どう贔屓目に見ても私はヘンな子供でした。
なんたって給食で出されるまで魚の切り身を見たことのなかった人間です。幼稚園の先生に「そんなに部屋の中にばっかりいると、お尻から根っこが生えちゃうよ」とか言われても、「なワケないし」とクソ可愛くないことを言いつつヲタク遊びに励んでいた人間です。
たいてい、一人で何か考えているので、自覚はありませんがセルフ百面相とかもしていたことでしょう。

明らかに扱いづらいタイプですが、どうぞ冷静に考えてみてください、さっきも言ったとおり私は誰にも迷惑をかけていない。
物を壊したり、他の子供にちょっかいを出したりしないだけでなく、「嘘をついたらダメ」「物を盗んではダメ」みたいな人間としての一般常識は、誰に叩き込まれた訳でもなく身につけました。
つまり、こういうタイプの人間が大きくなっても、著しく偏った大人にはなるかもしれませんが、決して必ずしもグレたり問題を起こす大人になったりする訳ではないということです。

であれば、何もわざわざそういう子供の特異性をつぶす必要はないということですよね。
大体、つぶそうと思ってつぶれるほど、こういう特殊な子供はヤワじゃありません。何しろ自分の周りに鋼鉄よりなお堅固な鎧を纏っています。
この鎧は周りとの間に壁を作っているのではなく、あらゆる攻撃を跳ね返すための鎧です。周りから圧力が加わろうが、煮られようが焼かれようが、中の人間はケロッとしています。

よく、いじめられたり進路で悩んだりして自殺した子供の話を聞くと、その子にはこの便利で快適な鎧がなかったんだなあと、深く同情してしまいます。
鎧はすなわち自分の世界ですから、たとえ現在の環境に苦しんで行き詰まっても、それだけが世界のすべてじゃないと分っているために、必要以上に落ち込まないで済むのです。
「井の中の蛙大海を知らず、されど空の高さを知る」とは、まさにこのことです。
だから、私に過度に干渉しようとしたり、ときに矯正しようと思った人達は、まったくの骨折り損のくたびれ儲けだった訳です。

ただ、今言ったように、鎧は「壁」ではないので、周りで何が起きているかは見えています。ま、外から石とか投げられたり焼かれたりしてたら、そりゃイヤですよね。
ちょうど、真夏に密閉された室内から窓を見たら虫がビッシリ付いている状態に似ています。虫が入ってこないのは分っていてもやっぱり気持悪いものです。

そうするとやはり、自分自身もそうであった経験から、「宇宙ちゃん」に寛大な世の中であって欲しいと、切に願わずにいられません。
べつに協力的であれとは言いません。ただ、どれほど異様に見えても、確固たる信念を持って何かをしている子供に対して、それがいけないことや危険なこと(それこそあの青い染料が身体に悪いとか)でないかぎり、そのままにさせてあげて欲しいのです。

20年前の宇宙ちゃんだった私にも、寛大な人は沢山いました。
私の長所に本人より早く気づいてくださった恩師であったり、明らかにヘンな私と偏見なく付き合ってくれた友人であったり。
そういう人たちに救われて、今の私があると思っています。

宇宙ちゃんを受け入れられるような世の中であれば、たぶんもっとクリエイティヴな人間が表立って増えると思います。しかも、そういう人が活躍する場がもっと増える筈です。
普通の人と違う考え方が出来る人は、世の中を変える力を秘めているかもしれませんから、その特殊な思考回路をむしろ伸ばした方がきっと世の中のためになるでしょう。
ま、私あたりは只の変人ですけどね(笑)。

ちなみに私は「分解くん」もあながち悪くないと思っています。
マミちゃんは「私だったら怒るよ」と言っていましたが。
私だったら、とりあえず元に戻すように言ってみて、直せなかったり直す気がなかったらその時は怒るけど、元通り直せたらそれはかなり貴重な才能ですから、逆に褒めると思います。
ってか、それ以前に、あんなに分解したがる子供なら、分解されてもいい物を沢山与えてあげた方がいいような気もします。

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