ラテにて

ラテにて


遥か彼方の青い星に　神の体を持つ人たちが住むそうだ
神の精神を持つ我々とは　何もかも対極にあるらしい
一部の勇気ある探求者が　意志で飛ぶ飛行隊を編成して探査に出かけた
そこは何でも溶かす酸素が充満し　意志だけで守るには限界があるみたい

好奇心と警戒心が　ごちゃ混ぜになって興味は尽きない
かの星では科学というものが　宇宙に飛び出そうとしているが
我々とコンタクトが取れるまで　もっと多くの年月が必要との報告がある
それどころか仲間同士で争う　武器としての使い方しか知らない未成熟さだ

この星でも進化の過程で　争いが繰り返された歴史がある
体を成長させる栄養素が　ここにはもともと不十分なのだ
小さな体に大きな頭部の　ラテ人にいわゆる超能力の精神が宿っている
それでも強い精神を保つため　強い体を得ようとする争いがあった

より強い超能力を持った者が　弱い者を排除し栄養素をぶんどる
さらに強いものがそれを倒し　体を大きくし能力を高める
されど気づいてしまったんだ　このまま続けば仲間がどんどん減ってしまうことを
今では王族の一部を残し　あとはみんなで栄養素を分け合おうと取り決めた

我々にも科学なるものが　必要だと指導者間で話題になってる
酸素をわれらの空気に変換する　機能付き人型ボディースーツの研究だ
かの星の栄養素と　我々の持つ何かを交換できるようにコンタクトしたい
互いの星が発展しあう　壮大なプロジェクトの実現を夢に見るのだ

しかしながら夢は夢　科学を受け付けない体質はいかんともしがたい
なぜならば意志の力だけで　たいていのことは出来てしまう
あえて科学を取り入れる必要は　日常生活にまったくないのだから
遠い遠い未来の先　あの青い星と交流し　友情をはぐくみたいといつも願っている