La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

ユカタン料理の語源

2023年08月21日 | ユカタン諸々

ユカタン料理を紹介するとき、必ずというわけじゃないが10品のリストなら入ってくる程度の料理にパパツレスというものがある。

 こういうの。

村で売ってたやつ。薄緑のはかぼちゃの種の粉末で作るサルサで、くるくる巻いたタコスの中身は、シンプルなものだとゆで卵、凝った(というほどじゃないが)バージョンだと肉入り。赤いのはおなじみのトマトサルサ。レストランだとゆで卵は輪切りにしてその上に乗せたものもある。

スペイン語というかアルファベットで綴ると(現代マヤ語には独自文字はない)、papadzules で、この dz はマヤ語にあるツァツィツツェツォの発音になる。来たばっかりで最初見たときは、どう発音するのかわからなかった。地名などに結構残ってるんだが、グーグルマップを日本語で開くと、dzi はドシになっているがこれは間違い。

スペイン語にはない綴りなのでこれが入ってるとマヤ語だとわかるんだが、数年前に「パパツレスは今でこそ dzu と書くが実は語源は papa azul=青いお父さん?で、マヤ語は関係ない」という見解が出た。料理自体は昔から伝わるマヤの料理だが、スペルは後付けだという。見解というより、どこかから昔の記事を見つけてきて「ここに証拠が!」って感じか。

で、今回、それより古い日付で語源はマヤ語だと書かれた記事を発見した!という文章に出くわした。

 証拠。「元の言葉はマヤ語の何それ…」

マヤ語は植民地時代に焚書があったりその後メキシコ政府によって使用を禁止されていた時期もあった。執筆者が見つけたのは印刷されたもので、そもそもそんなに古いものではない。まして研究レベルの話なんかじゃなくて、あくまでもユカタンの伝統や文化に興味がある人たちの間での話題。でも、この語源議論ってものが結構ホットなのである。

 似たようなものが最近出てきた。

こちらはコツィートといって要はタコスなんだが、半分折りじゃなくてくるくる巻いてある。メキシコの他の地方ではタキート(ミニ・タコスあるいはタコスちゃん)と呼ぶらしい。【追記:すみません、違いました。何らかの中身が入ってるロール状タコスにサルサ…じゃなくて、本来、コツィートはただくるくる巻いたトルティーヤを揚げてトマトサルサ…なんだそうです】例によってツィ(dzi)と書くが、この「語源、知ってるか?!」とドヤ顔の執筆者曰く、マヤ語の「kots´」が語源だという。こちらの ts は人によっては tz と書くけど(微妙に違う音をごっちゃにしてる可能性あり)サ行とタ行の中間みたいな音 。

でも執筆者曰くのマヤ語がわたしの持ってる辞書にはない。似たような子音並びの言葉が複数あって、それぞれ意味が違う。記事(上の写真)を読んで、ああこれも新たな発見が出続けるパターンだなと思った。

マヤ語には日本語と同じく長音があって、お母さんとカーディガンみたいに同じ伸ばす音でも高さが変わるのと変わらないのとある。その上、子音も、例えばカは2種類あったりする。はっきり言って、スペイン語が母語だと「かあ」と「か」の違いがわからないし、カ行とそれに似た子音に関しては我々も同じ。それでかどうか知らないが、そもそもマヤ語にも「あれ?前見たのとスペル違うじゃん」という言葉もある。アルファベットで書かれ始めた頃からバラバラだったのもあるだろうし、区別がつかないスペイン語人の感覚・不注意でバラバラになってるのもあると想像する。

一方、マヤ語人も、母語話者になればなるほど今度はアルファベットに弱かったりする。教育レベル、つまりひどい歴史のせい。あと、スペイン語や英語などの言語学者でなくマヤ語人自身によるマヤ語の研究がないらしい。

語源が何かの議論なんか、実はほとんどこれが原因なんじゃなかろうか? 上のコツィートだって、記事によると語源はマヤ語の「巻く」だそうだが、村のマヤ人の友達は巻いたものもタコスと言う。

 全部巻いてあった。開いたのはわたし。

メリダのレストランで巻いてあるのにトマトサルサをかけて粉チーズ振ったものが発祥(レストランによる命名)かもしれないw。

この「ユカタン料理の語源探し」自体が、当地の文化とか伝統に興味がある現在のユカタン人の趣味みたいなもんなのかも。好きにしてください…というか、語源への興味がなくなってしまった。

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 コチニータ・マアククン

…と呼んで南部の村で売られていた。似たような子音の言葉がないのでw、マアクは蓋だと思われる。クンは怪しいが、とりあえず鍋を意味する単語がある。有名なコチニータピビルしか知らなかったが、これは試してみたいし作り方も知りたい(作るとは言ってない)。

  おなじみの、キビ

普段と違って中にチーズが入っているのも買ってみた。ボラ・デ・ケソ(ボールのように丸いチーズ、ユカタン名物)が入っている。こちらの語源はクッペとかクベとか言い方は場所によっていろいろの中東料理。こちらはすでにユカタン語 kibi になっている(料理自体もユカタン好みになってるだろう)。

 海のぶどうでジャム。

完成写真を撮るのを忘れたけど、まあジャムなんで必要ないだろう。まだ走りなので、たくさん作って配るつもり。

 

 昔のプログレソ。

観光振興目的で、今は海岸通りには車は入れない。それについて、危なくなくなってよかったという人と、昔の方が自由でよかったという人の両方いる。個人的には、プログレソはつまらない街になった。


灼熱地獄

2023年06月19日 | メキシコ 日常生活

死んでます。先週からメキシコ全土が熱波に襲われていて、海辺のこのへんでさえ40℃を超えている。カリブ海あたりの国々も同様らしい。メリダの体感気温は50℃。風もいつものようには吹かない。というか、当然だが海水温もめちゃくちゃ上がっているらしい。

気温自体は北部の砂漠っぽいところの方が高くて、45℃なんてところもちらほら。本来ならもう雨季の始まりで、昼間は気温が上がるものの午後に雨が降って下がったりするし、もう夜には結構下がる時期なんだが、全土でカラカラだという。

が、ユカタンの悲劇は湿度が高いこと。そりゃ砂漠のカンカン照りも厳しいだろうけど、このへんでは熱い空気が時間とともに止まっている感じ。何が違うのか、なぜか日本みたいに蒸し暑いとは感じないんだが、ほぼ年中暑いところにもう8年近く、たぶん慣れただけ。

 よくあるユカタンジョーク。

普段からこうやって話題にするくらいで、逆に言えばコンクリートジャングルのメリダでなければ、ユカタンの住民は概して暑さに強い。実際、この暑さが始まった先週、ユカタンの中でも特に暑い南部の友達に大丈夫?と聞いたら、暑いの一言もなく「雨、降ったー!」と喜んでいた。その日の気温は40℃を超えていたんだが、人々は雨を心待ちにしていたのである。ところがその後はほとんど降ってないらしく、暑さもひどくなるが、日本でいう田植えの時期でそっちのほうが深刻らしい。

海辺のこの辺りでも、普段のように「今日は珍しく南風だねー」「明日は暑くなるねー」で済まず、その後ずっと暑いまま。連日暑いんで、ブロック造の家そのものが温まってしまった。水圧確保のために屋根の上に上水タンクがあるんだが、朝方でさえ蛇口から湯が出てくる。昼間は熱くてシャワーも浴びられない。家中で冷たいものと言ったら冷凍庫の中身くらい。涼をとろうにも、海まで行く200メートルの間に死にそうだし、政府からは「11時から午後4時の不要不急の外出は避けましょう」なんて注意が回ってくるほどで、コロナ騒ぎの頃のような非常事態である。

この熱波が始まってすぐ、エアコンの使い過ぎが原因でメリダ中で停電した。当然、他州では熱中症による死者も毎日10人前後出ている。通学をやめてオンライン授業に切り替えた学校もあるらしい。

そういうわけで、ほとんど何もせずに家に引きこもり中。

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 丸型のサボテン。

暑さとは関係ない話。隣地の現場のせいで土地の境界近くにあったサボテンパークの柱サボテンが全部ダメになってしまった。施主は買ってきて賠償するとかほざいてたが、この辺の自生のものをコツコツと集めた自慢のサボテンパークである。4角柱から8角柱まで揃えられるとは思えない。少なくとも、開発が進んでこの村の名前の由来になっている種類なんかそもそも売ってない。とりあえず死んでない希少種だけ避難させた。

 キビとポルカン。

ポルカンはキビ以上に珍しいらしく、他州に住んでいる知り合いは誰も知らなかった。詳しいことを書きたいが、暑さでへばってきたのでまたの機会に。


井戸その他

2023年04月26日 | 設備/外構/庭

 相棒が井戸を作った。

水道の問題を解決(来てさえいればうちでの問題なし)して、しばらく経つと今度は停電が4日続く。まぁインフラが弱いのは前からなんだが、ここの問題(といいつつメキシコ中のあちこちでも起きている)は、他国や他州からの移民が増えすぎたからである。以前から人が増えることは気に入らなかったが、ここ2年くらいの増え方は異常だ。

で、飲み水はどうせ買うし生活用水は本来十分なんだが、盆栽やら植木やらにお熱を上げている相棒が、ついに井戸を掘った。少し忙しくて写真を撮れなかったが、動画を作っているそうなのでできたらリンクを貼ります。写真は途中経過。周りにコンクリプロックのカバーを作って開閉できる蓋もつけるらしい。

けど敷地が広くて植物も多いので、確かにただの水やりにもずいぶん使う。ここに生えてるものだからここの地下水でもよかろうと、最近ヒト用に人気の深い井戸(15メートル以上)でなく昔ながらの2、3メートルのらしい。深いのはもちろん機械を使わないと無理なんだが、ちょっとびっくりした。いやはや。

 そのよそ者増えすぎに関するジョーク。

Keb というのはマヤ語の名前。こういうおっさんばかりの村に住んでたつもりなんだが。。。

  村の保健所の改修工事が終わった。

増えてる人とはまったく関係ない。昔からここに住んでる村人が入ってる国民健康保険みたいなのの管轄。我々も何かあったらまずここへ行く。診察料も薬もすべて無料だし今年の看護師はテキパキしたタイプで、とろい個人診療所より使い勝手がいい。

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ユカタン&マヤ文化ネタをいくつか。

 ビーチへ行く準備。

中南米中に商売を広げているメキシコの大パン製造会社のパンの袋に、手を拭いたりするとき使う紙に包んだサンドイッチを入れる。子供のころ家の台所でこれを見ると、今日はビーチに連れてってくれるんだ!と大喜びしたという。

 ちなみに移民が喜ぶ海辺のランチ。カンクンとかもこれ。

 移民が喜ぶ海辺の貸別荘のメニュー。サシーミ。

ああ、もうオサレなガイジンが増えたことに関する苦笑いネタばかりですね。まぁいいや。

  お馴染みのキビ。

説明はこちら。上に書いた保健所は村の中心部にあるので行った日には確実に買えるんだが、前回珍しく保健所の前を通らなかったので欲求不満になっていた。例によって人が多そうなときだけ村はずれに遠征してきていたのを3日逃した(200メートル弱離れた道を通る)ので、かすかに売り声が聞こえたらすぐその道に出て待ち伏せをして、ようやくゲット。

 ハチの子のタコス。

ディープなユカタン料理で、わたしももちろんそうだが今の若い子のほとんどが食べたことないらしい。


ポルカン

2023年02月23日 | ユカタン諸々

しばらくキビ売りの東大寺が来なかったので心配していたが、こないだ保健所に行ったとき売り声が聞こえたので捕まえた。よかった! 廃業したのかと心配していた。

うちの方にまで足を延ばしてなかっただけらしい。いや、来てよ。で、廃業どころか新メニューが増えていた。ポルカン。

 キビ(中央と右)、ポルカン(左)

 こんなの。

前にメリダで一回食べたが、あまり印象に残ってない。でもこのキビ屋はメリダのより美味しいので買ってみた。面白い形だねと言ったら、これが普通なんだという。

カンっていうのはマヤ語でヘビです。チチェン・イッツァのあの春分秋分にピラミッドを這って降りてくるというヘビの神さま、あれ、ククルカンというんですが、そのカン。カンクンのカンもそう。で、ポルは頭という意味らしい。なるほどヘビの頭ですか、見えるような見えないようなw。けどメリダで食べた平べったい、薄いコロッケみたいなのよりはヘビである。

  中に豆。

生地はトウモロコシの粉とラード。ふーん、美味しい。

キビと同じく、キャベツとハバネロをライムの汁で和えたものが付け合せで、一口ずつかじるという。

 のせた。

いやー、これは美味しい。

うちは特に豆のファンというわけじゃない(ほら、良質なたんばく源だとかああとか)んであまりこういう食べ物を注文することがないが、これは美味しい。ここのキビ屋からだったら、いつでも買いたい。

キビ同様、メキシコの他の州に住んでいる人たちは知らないようだった。調べた人が、白い豆じゃないかと言ってたが、白と茶色と2種類あって、白い豆は非常に珍しく高価なので、もちろん村人は茶色い普通の豆を使う。形も、調べて出てくるレシピのはみんな薄い丸型だが、これは昔から作ってるんじゃない人のレシピが大量に出回っているという、ネットでよくある話ですね。

ちなみに、ポルカンのことをピエドリータ(スペイン語で小石)とも呼ぶ。村の人曰く、実は別物で、ポルカンの方が柔らかいらしい。


スペイン人がユカタン半島を無視した理由

2022年09月26日 | ユカタン諸々

FBのグループや地元のワッツアップグループなどで見聞きしたことや、興味を持って少し調べてわかった文化ネタと歴史ネタをちらほら。(ハリケーンシーズンに備えてスス払いとか壁拭きなどの大掃除しかしてないので、ほとんど外出してない。あと、最近蚊がすごくて家のすぐ外にさえ出たくない。)

 スペイン人のルート。

メキシコ人に一番嫌われてるのがエルナン・コルテスだが、彼のルートがこちら。長年の謎。

 右が大西洋でスペインはそっちから来た(念のため)

で、キューバのハバナから、まずはユカタン半島西岸へ。これはわかる。で、なぜ北岸を無視してオレンジ色のとこまで行ったのか。これが謎だった。陸路を行かないにしろ、今我々が住んでいるあたりは?と思っていたのである。

最近、当時の(といってもコルテスの40年くらい後)宣教師が書いたユカタンレポートみたいのを見つけて読んだら、なんと「山がないので、海上から何も見えず気づかなかった」と書いてあった! 上の図では少し北に回っているのが気になるが、それは簡略図だからというか、まぁどうせ誰にも(行った本人たちにも)正確なルートはわからないのであろう。とにかく、確かにこの辺は真っ平らである。

 地平線。

メリダ - プログレソ自動車道からうちの村へ向かうバイパスに出る立体交差からの Google 先生だが、マジで目の前に広がる何もない大地はすごい。初めて来た人はみんな感動する。この写真でほんの30度くらい。360度、真っ平ら。

 海抜。

メリダ10メートル、プログレソなんかゼロ(それもセンチ表記)!

 半島の地形。

半島の中心部で多少高くなっている緑の部分は、有名なウシュマル遺跡の少し南で、一番標高が高いところで210メートル。半島の付け根の西側、くびれたところからさらに西にシエラマドレ山脈があって最高点は3300メートルを超える。山が一番メキシコ湾に迫ってるところがベラクルスで、そりゃぁスペイン人もそこ目指して行くだろう。謎が解けてよかった。

いやー、気がつかなかったのが理由だとは気がつかなかった。

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 マヤの少女

持っている本の題が『母語(である)スペイン語』で、スペイン語は母語じゃない!と文化グループで大きな議論になっていた。ちなみに母国語って言い方はあまりしないそうですよ、奥さん。

マヤ語をおろそかにしている、という議論。意見を集約すると、①(連邦)政府の施策が悪い、②(州)政府の方針は間違っていないが実行できてない、③悪いのはコンプレックスを感じている親。

①についてはいろいろ情報があるが、要は独立後の結束を狙って「みんなメキシコ人(民族間でゴタゴタ言わない)!」という政策がとられてきたことを批判している。②は、他の州同様、先住民文化を大切にしようという姿勢は明らかだが、一時すべての公立学校でマヤ語の授業があったのが必須じゃなくなった。授業がある学校がだんだん減っている。メリダの友達も、自分が通った小学校では今はないと話していた。③がなかなか興味深い。メキシコの他の地域に比べて先住民文化への誇りが大きいとなんとなく感じているが、やはり子供にはマヤ語の前にきちんとスペイン語を…と考える親が多い。気持ちはわかる、当たり前ったら当たり前。

田舎の公立小学校教員をしている知り合いによると、父兄とは生徒の通訳を通して面談していたらしい。そのバイリンガル世代がだんだん育ってきて街へ出ると、ほとんどマヤ語は使わなくなる。その子供世代になると話せない…という流れである。方言を話す人が高齢化してだんだん減ってる程度の話なら日本でもよく聞くが、ここでは侵略という歴史があるため、なかなか複雑だ。

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後は細かい話なんで、写真だけで。

 イィス・ワァハ 。

新米ならぬ初物トウモロコシで作るトルティーヤ。ニシュタマルというアルカリ化プロセスなしで粉にして水と混ぜて焼く。タコスにしないでおやつみたいに食べるらしい。

 昔はユカタンに鉄道が通っていた。

F. C. U. というのはユカタン鉄道連合のことで、当時の貨車にそのロゴが入っている。駅での写真は多いけど、ロゴが写り込んだ写真は珍しい。F. C. U. は 1968年に(メキシコ)南部鉄道連合に入って組織解散した。まぁ、いつの世もユカタン州は我が道を行きたがる。

 トルタ・デ・キビ

キビはこちら。写真はユカタン政府が作ったプロモーション画像。で、キビはユカタン名物なんだが、パンに挟んだトルタ・デ・キビもそうか?と議論になっていた。言われてみれば、メリダではキビだけを売っていた。トルタがあるのはプログレソだけ。

意見①トルタ・デ・キビは既にユカタン名物になった、②あくまでプログレソ名物、③そもそもレバノン料理なんだから不毛な議論。えーと、どっちでもいいです。わたしは焼きそばパンとかポテサラ・サンドとか嫌いなんで、キビだけの方が好き。


サポテ・ネグロなど

2022年04月25日 | ユカタン諸々

親は来て良し行って良し。いつもの2人きり(と犬猫)の生活が、どれほど快適だったか思い知る。

パパパッとここんとこ食べたものを。

 マメイのシャーベット

ここにどういう味か書いてある。いかにも美味しそうに書いてあるが、実は本心ではイモくさい果物だと思っている。なんというか、トロピカルじゃないし、もったりした果肉といい、実際焼き芋に通じるもっさりした味といい、切って食べると、美味しいけどどんくさい。

が、これが牛乳と非常に相性がよくて、上品なデザートになる。よくレシピにあるのは、エバミルクとかコンデンスミルクとかバニラエッセンスとか面倒くさいものばかりぶち込んだアイスクリームだが、ちょっとこの暑さでは甘さがきつい。潰してただの牛乳混ぜて凍らすだけのほうが美味しい。

 いつもの東大寺のキビ。

米と小麦粉とトウモロコシ粉ばかりだと、たまにこういう雑穀っぽいものが食べたくなる。

 コチニータ・ネグロのトルタ。

えー、こちらはわたくしの勘違いでして、村人が「今日これ作るよー」と投稿するFBグループで見たもの。コチニータというのはユカタンの誇る豚肉料理でわたくしも絶対間違いようがないんだが、そのネグロ(黒)なるもの?に村人も「えーっ、ほしいほしい!」と反応していたのですぐさま予約して1キロ買ってみた。

 こういう販売スタンド

 こういう料理

が、実は少し前にメリダのシェフが発表した創作料理で、伝統料理のうちのさらに通なやつ…なんてことはなく、哀れ田舎の漁村民が目新しさに飛びついていただけであった。

ユカタン料理に、レイェノ・ネグロという七面鳥の黒い煮込みがあって、なんとも複雑な味で美味しいんだが、それを豚肉にしただけ。でも、ここははっきり言って七面鳥なんかより豚肉が美味しいので、普通のレイェノ・ネグロより味自体はとてもよかった。ただ、普通のコチニータのほうが美味しいと思う。

挟んでいるパンは、ここでは「フランスの」と呼ばれているパンで、凄くふわふわして美味しい。フランス移民のレシピを受け継いでいる…と言われているが、あのバケットのバカ固さを知っている身には、???としか思えない。販売スタンドでパンも売ってるので一緒に買ってくる。

 レイェノ・ネグロ味のラード

豚肉なんで冷めると脂分が固まるので、それだけすくって取っておく。タマレスというメキシコ料理(ここのはバナナの葉で包む)があって、それを作るときに使う。…というか、ラードを使う料理は多い。

 はちみつ。

ユカタンは養蜂業が盛んだが、中でもメリポナという針がないミツバチのはちみつは高級とされる。何百年も前からマヤの人たちがしている手法。普通のミツバチみたいな巣じゃなくて、ゴルフボール大の壺を作って、そこに蜜を貯めていく(蜂が)。

 タウチ。

スペイン語で、サポテ・ネグロ。サポテというこれまた柿みたいなサツマイモみたいな果物があって、その中の黒バージョン。黒のほうが美味しいとされる。というか、この辺は木になる果物というとこのサポテ系がとても多く(確か、上に書いたマメイもそう)、白黒だけじゃなくてグラデーション的に色も大きさもいろいろある。あるにはあるが、庭に生えてる…という感じで、やっぱり市場に出回るのは白か黒。黒の方が希少。メキシコの他の地域では旬はもう少し後らしいが、ここではだいたい4月ごろに見かける。

切った写真を撮るのを忘れた。果肉が真っ黒でギョッとする。味は、熟しすぎた柿(こればっかりだなw)にダークチョコをたっぷり混ぜたプリンみたいです。複雑。2つに切ってスプーンですくって食べる。

 ハバネロ。

メリダのメルカド(市場)に行ったので、プログレソや村では叶わない「ハバネロの中でも激辛のやつだけを選る」という至上の買い物をした。ハバネロはスペイン語の発音ではアバネロになるが、もとはカリブあたりのどこかの民族の話す言語の言葉(ああ、キューバのハバナとかと同じ)で、ちゃんとハというらしい。そのためかどうか知らないが、ユカタンではハとアの中間みたいな感じで、もろスペイン語のアバネロと言う人は少ない。

 お手製の激辛サルサ

ハバネロは緑のより橙色ののほうが辛いと言われているが、全体としては間違ってないけど実は個体差が結構ある。きれいなオレンジ色をしていても全然辛くない(当社比)スカもある。見たって分からないが、実はヘタのあたりに鼻を近づけると、ちゃんと辛いやつは外からでもツンとくる。

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その他、最近のアレコレ。

 メリダ − プログレソ自動車道の出口付近。

 チラシを配るプログレソ市長。

市管轄のサービス、警察とか救急車とか(この2つは行政的には同じ組織だが、911じゃなくてローカルナンバーでは分かれている)、水道局とか市役所とかの電話番号が書かれている。セマナサンタの休みで観光客と海水浴客が押し寄せるので、ウェルカム仕草ですね。

ってか、上の写真で見るように停めて配ってるもんだから、さらなる渋滞を生んでるんだが、そんなことはお構いなし。

 

  口腔外科のクリニック。

2年前相棒が世話になった医者で、老母がインプラントを入れた。いつもはクラゲとかサンゴ礁とかの動画が流れてるんだが、最後の診察のときはなぜか桜のになっていた。日本贔屓のメキシコ人は、「ニホン=サクラ!」と1年中写真なんかを見て喜んでいる。同様に、今の時期に紅葉の写真なんかも回ってくるが、日本人にはうざくて仕方ない。が、年老いて長時間の治療に何度も耐えたので、ドクターが気を回したらしい。まあ、きれいですよね、ホントは。いつ見ても。

 

 仏像ホテル。

ここでも何度か進捗を報告している、アジア料理レストラン(本人たち曰く)が、ようやくオープンし、アジア料理でさえないスナックのセクションの他に、なんちゃって中華(メキシコ中華)のほうも持ち帰りサービスだけは始まった。で、まあ、こんなもんか…と思っていたら、相変わらず笑わせてくれる。晒し首ですよ、奥さん。お釈迦様のバチが当たるよ…


お正月

2022年01月06日 | ユカタン諸々

あけましておめでとうございます。

ユカタンで6回目のお正月。今年は人が増えているのに加えてカレンダーに恵まれ(メキシコでは祝日は1日のみだが2日が日曜日だった)ため、今までで一番うるさかった。0時に花火を上げるのが習わしだがこれまではなかったのが、今年は300メートルくらい離れた別荘数カ所で上げていた。花火というかパン!ヒューーーパァン‼︎と爆竹みたいな感じで、花は開きません。犬が怖がって可哀想だった。

  お飾り。

左の注連縄はつる草で、右は麦わらで。形にはなるが、普通のやつを作りたいのに、モダンとかアレンジ系になってしまった。エノコログサみたいな雑草で去年作ったののほうが注連縄らしい色できれい。

 お供え。

 初日の出の少し前。

 国旗掲揚。

 初海。

 お雑煮

お供えは現地米を撞いて海藻で固めたものだが、こちらは餅粉でつくった求肥。撞いたほうが餅らしい味だが、寒天を使ってるので温められないのがネック。ま、カッコだけ。

今年もまたーりと引退老人生活を楽しもうと思います。皆様もいい一年になりますように。

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 キビ。説明はこちら。

  レンズ豆のもやし。

 子豚ビーチの看板。

 猫。


ユカタンの野菜・チャヤと、スナック・キビ

2021年04月13日 | ユカタン諸々

3ヶ月くらい前から、朝の9時前後にかすかに「東ー大ー寺ー」みたいな売り声がきこえてくるようになった。何かを売っている声だとはわかる(ってか、他にない)んだが、3ブロックくらい離れたとこを走っている海岸沿いの小道を移動しているらしく、あっという間に遠ざかる。

長らく謎だったのが、セマナサンタの休暇(イースターみたいなもん?)で呼び止めて買う人が多かったのか、いつもより近づく(音量が多少大きくなる)のがゆっくりだったので、これは追いつけるかもと思い、声の主のところまで駆けつけてみた。

「東ー大ー寺ー(とおーだいーじー)」に聞こえたのは、トールター・イ・キービ(トルタとキビ)であった。トルタは、ハンバーガーに使うバンズに何か挟んだもので(村以外ではラグビーボールの形のパン)、キビは中東の食べ物(カタカナではクッバとかクッベとか書かれることが多い)。トルタの具はいろいろあるんだが、この売り子のトルタはそのキビをパンに挟んだものであった。

 お姉ちゃん二人のバイクによる移動販売

 買ったトルタとキビ

 付け合わせのキャベツとハバネロはおまけ

メリダでも道の角なんかでよく売ってるんだが、彼女たちのはめちゃくちゃ美味しかった。本場中東のものとは多少違うだろうが(中東でも地域によってバラエティがある)、なんとこのキビ、ユカタンだけでしか売っていないと判明した。

 メリダでは持参のテーブルで場所は固定ってのが多い

メキシコ中で売ってると思っていた理由は、レバノン移民が多いと聞いていたから。日本と同じく100年以上前に移民団があった。子孫(2世3世…)なのかその後も移民として増えているのかは知らないが、たしかに多い。有名どころでは世界長者番付け常連の起業家とか、コロンビアだと歌手のシャキーラとか。

メキシコ中に移民はいるが、彼らのソウルフードの1つが売られているのはユカタンだけだったのである。詳しい友だち曰く、まだ植民地だった頃に移住してきた人が、同じくクッバがあるギリシャの移民に、生計を立てるために作って売れと勧められたという。

そうじゃなくてもメキシコ料理だと思い込んでたらユカタン料理だったってことがよくあるんだが、まさかキビまでそうだとは知らなかった。

 

同じく2年ほど前にユカタン料理だと知ったものに、ブラソ・デ・レイナ(女王/王妃の腕)がある。

 こんなの。

こちらは、他州に住む人たちがいつもブラソ・デ・レイナだと紹介しているのがロールケーキであることに気づいて、調べて判明した。トウモロコシの生地でゆで卵を包んだタマレスみたいな料理で、この緑の葉野菜がチャヤ(下のはバナナの葉)。村では、ゆで卵とチャヤを混ぜてチャヤの葉っぱで巻いたものもある。

で、そのチャヤも他州ではほとんど知られていないと判明した。

 こんな葉っぱ。

料理に入れたりジュースにしたり…と万能。ほうれん草みたいな硬さで、もっとクセのない味で、とてつもなく栄養が豊富という優れものです。

ちょっと調べたら2メートル弱くらいの高さまで育って、かつじゃんじゃん葉をつけるらしく、近所の家々が見えなくなるように進めている「敷地の内外に木を植える」計画にもってこいじゃないか。村の友だちに聞いたら、枝をぶった切って地面に刺したら結構簡単につくという。雑な挿し木である。

  枝をもらって植えた

 早くつくように、葉は収穫

 さっそく草餅

ヨモギに似たような草で作ったりいろいろ試したんだが、これはうまく行った。ほのかに苦くて春の味がする。

栄養を考えると緑のものはいつも欲しいんだが、しなしなじゃない葉野菜を選んで買うのは難しい。そういうのは他州やユカタンの内陸部から来るので、海沿いの村ではなかなかお目にかからない(輸送技術が発展してない)。これでしなびた葉野菜を買わなくて済むし、目隠しになるし、最高だ。早く育ちますように。


蚊帳

2018年06月13日 | メキシコ 日常生活

去年はこれほどじゃなかったと思うんだが、ここんとこ雨が多い。メリダだけでなく、チェレムでも降る。結構強い。風も強くて横殴りなので、そのたびに犬や犬小屋の面倒を見なきゃならない。

というのも、晴れていれば日陰を作ってやりたいんだが、それが雨嫌いの犬どもが避難するには都合が悪いのである。もう説明するのも面倒なほど面倒くさい。

広い家の窓を閉めて回るのも面倒。日本では雨となるとだいたい終日で、夕立ってのはいいなぁなどと思っていたが、エアコン嫌いには窓の開け閉めが大変だ。閉めるとムッとするから降ってなければ開けたいが、何しろ夕立だから突然来るし、晴れてもまだ降っていたりする。

 それはともかく、植物が元気。 

 そして、蚊も元気。

日本で買った蚊帳を持ってきてもらったので、さっそく吊るした。部屋がでかいし天井が高いので、吊すのも大変だ。そして、猫の餌食になっている。

 

 メリダのキビスタンド。

キビというのは、それこそ黍っぽい穀物で作っただんごみたいなもんで、玉ねぎとかサルサを挟んで食べる。おそらく中東料理。

 こんなの。美味しい。

小さく見えて、けっこう腹は膨れる。