La Ermita の記録

メキシコ隠遁生活の私的記録と報告
 @ユカタン半島。

海藻ラビリンス

2021年05月31日 | ユカタン諸々

自由研究の続き。

えー、テングサだと思って干してあったものは、違う種類だと判明しました。

 これ。

まあ、海藻なんで固まってくるんだけどテングサほどじゃないため大量に使う必要があり、テングサよりずいぶんと海藻くさい寒天になった。子供の頃の記憶(夏休みにばあちゃんの田舎で採ったという程度)はあてにならん!と気づいて調べ始めたら、海藻ラビリンスに迷い込んでしまった。

(9月10日追記)

適当に「海藻くさい寒天」などと書いてあるが、この時できたのはゲルっぽい固まりで、寒天で固まるスッキリしたゼリーとは似て非なるものであった。

 

今まで、この辺りの海藻と真剣に付き合ったことはない。カンクンがある隣の州では、冬になるとサルガソという海藻が大量に流れ着いて嫌われている。ユカタン州はあっちほどではないが多少流れ着くので、フノリにでもならんかと軽い気持ちで採ってきたことがあるが、ならなかったので諦めたきりになっていた。

カナダでスナックがわりに食べられている海藻が、焼くとベーコンの味がすると最近どこかで読んだのと、今回の寒天が残念だったため、海藻をどうにかできんかと思ったわけである。

嫌われ者サルガソでなくても、地元の人間は海藻なるものに見向きもしない。彼らの言う Sushi、つまりメキシコ海苔巻きの海苔も、嫌で裏巻きにするぐらい嫌われている。彼らに食べてもらおうとは思わないが、ニホンジンにとっては大切な栄養素である。これは食べられるものを探し出して食卓に変化を…と思い、まずは採集してきた。

観察してみると、うちの村のビーチには全部で10種類くらいあると思われる。見るからに食欲がわかないのと、大量に流れ着いているものは放っておいた。一番多く流れ着いてるのを食せればよかったんだが、この時点ではそれがサルガソという種類なんだと勘違いしていたため。

     

 一部湯通ししてみた。赤いの以外は、不味い。

ここで、海に生えてる海藻すべてが食料じゃないんだという当然のことに気づき、地元の工科大学院から論文を取り寄せ、千葉大とかの図鑑とにらめっこし、田舎の自治体が村興しに作っているサイトやおばあちゃんの手作り料理的なブログを読みまくった。ちなみに論文は、押し葉標本の写真と学術名と多少ググったくらいの情報であった。

それでも、上の5種のうち、赤いのは刺身のツマにするトサカノリであると判明。ただし、よく観察すると3種類くらいあるように思われる。色は波に洗われて変わるだろうが、枝分かれとか触った感じも微妙に違うものがある。何をやっても固いままのは諦めた。正体はわからない。

あれこれ調べているうちに大量に見かけるものが隣の州でサルガソと呼ばれている海藻とは別物だとわかり、急遽採集してきた。写真を撮るのを忘れたんだが、オゴノリ じゃないかと思われる。あとこれ。

 図鑑で見るスギノリの1種に似ている。

今回調べて初めてわかったんだが、英語かスペイン語で正体がわかって wiki で調べても、それぞれの海藻の日本語ページはない。あんなに食べるのになぜ?と思ったら、ない理由は「あんなに食べるから」であった。学術名じゃなくて食料品の名前のページになっていて、あくまでも生物植物というくくりで扱っている英語西語の wiki ページと連動していないのである。

こうなったら調理方法を試行錯誤し味見を繰り返すしかない。が、その前にこのオゴノリってのが寒天の代用品らしく、あとスギノリってのは別の種類の凝固酵素?を持つらしく、まずは寒天リベンジである。

 また採ってきた。

 湯どおし。

同じ株で変色する部分としない部分がある。よくわからん。おまけによく観察したら、同じものだと思って採ってきたんだが、微妙に違う2種類だと思われる。

 分けて煮てみた。

片方の煮汁は普通に冷蔵庫で固まり、もう片方は常温でガンガン固まった。手作りごはんですよがちょうど切れてたので、茹でた葉(とは言わないんだろうけど)のほうを煮たら、佃煮海苔にならずに固まってしまった。

 海こんにゃくである。

これはカラギーナンと呼ばれるアガーじゃないかと思う。

それはいいんだが、問題は抽出方法である。日本で工業生産の技術が確立されたとかで、工業生産に関する論文や特許関連資料を読んでみたが、いまいち分からないというか、海辺の村で資金をかけずにできそうな話じゃない。

・・・とりあえずここまで。海藻は奥が深い。ご先祖さんたちは何百年もかけて食べ方を確立してきたのであろうが、できれば1ヶ月くらいで何らかの食料品という形までたどり着きたい。生なのか干すのかそのままか粉末にするのか、オプションがたくさんあるが1つずつトライしていくしかない。

 そのオゴノリ っぽいのと、発見した別種。

オゴノリ っぽいのはひじきっぽく煮て食べたが、いじるとぶちぶち切れて扱いづらい。洗う手間を考えると感動するほどの味じゃないので、とりあえず保留。もう一種類は生で食べても美味しかったんだが、いかんせんこれしか見つからなかった。

先は長い。続報を待たれよ。


近所の火事など

2021年05月25日 | メキシコ 日常生活

子供の自由研究から少し離れて、最近の出来事など。

 火事があった。

プログレソから隣村まで行く道の向こうで火事があった。先週から雨季に突入したが、10日くらい前にはカラッカラに乾燥していて、多分刈った草を燃やしてたのが広がってしまったんだと思う。

現政権はエコ志向で、ゴミの野焼き禁止条例を作ったんだが、剪定ゴミも燃やしちゃダメになった。不便でたまらないし、手軽に燃やせない(日本でいう粗大ゴミ的な手間がかかる)ので、剪定自体することが減り、そうすると木が伸び放題になってゴミを捨てる輩も増える。その結果、手に負えなくなった地主が重機を入れて木も草もお構いなしにガーッと片付けるようになり、結局はエコどころかハゲ更地ができるという、本末転倒な条例である。

で、なんか煙たかったので「あれ?こんな昼間に誰か燃やしてるのか?(エコ警察が来るのに)」と思ったら、野焼きじゃなくて火事だった。いや、原因は多分野焼き。

この辺には消火栓などないので、消防タンクローリー(上の写真で赤く見える車)が一台来た。火を消しとめるというより、延焼防止で周りの草を湿らせる程度。何十メートルも離れてブロック造の家がある程度の過疎ぐあいなので、建物延焼のリスクは皆無、草さえ燃えなければ何の危険もない。

 小道で渋滞。

燃える危険はないが、煙で前が見えないので隣村まで行く道が通行止めになった。それで普段はひっそりしている小道に車が迂回してきて渋滞。うちの前の行き止まりの道にも入ってきて団子になってたので、出てって交通整理した。

 

昨年は国勢調査の年だったんだが調査中にユカタンにもコロナが来て、そういえばどうなったかな?と思って国立統計地理情報院のサイトを見に行ったら、ちゃんと統計が出ていた。うちは、プログレソから帰ってくる途中、ユニフォームを着た人を見かけて「ああ、今日調査票持ってくるんだな」と思ってたけど、今思えば来なかった。

 ユカタン州に住む外人の数。

上位5カ国なのか、その他大勢の数字が大きすぎて判断に迷うが、とにかく日本も入ってて、去年の時点でユカタン州には37人の日本人が住んでるそうです。何年か前に日本の外務省で把握している数字を調べたら60人ちょっといたんで、メキシコの統計には漏れがあると思われる。現に我々は入ってない(調査されてない)し。

あと、プログレソ市にはカナダ人がすごく多いと言われているが、ノイジーな数人の存在感が多いだけなのか、5カ国に入ってないのが不思議である。どうでもいいけど。

 先住民族の言語を話す人の数。

メキシコには先住民族の言語が60くらいあるそうで、我がユカタン州(yuc)のはマヤ語。田舎に行くと両親祖父母世代はマヤ語を話す家庭も多い。かじる程度だが、小学校でも教えている。この表は、貧困世帯の数ともある程度一致していて、メキシコの課題…的に語られることが多い。

こういう統計は見ていて面白い。ちなみに移住者がめちゃくちゃ増えている体感どおり、実際も増えていた。が、ユカタン州だけでなく全体的に増えている。危ないとかああとか言われるけど、やっぱりみんな暖かいところところに住みたいんだよ。

 

 メリダの交通標識。

よくご覧ください。この先セントロ(中心部・歴史的地区)の標識の下に、バーガーキング。こういう私企業の看板?が結構ある。まあ、目印だと言われればそうだが、しょっちゅうつぶれたり引っ越したりするのに、無駄にならないんだろうか。ただでさえ走り慣れない道路なのに余計な情報が目に入ってくるもんだから、免許取り立ての頃は本当に閉口した。

 

 村の水屋(飲料水を売っている店)の注意喚起張り紙。

大きいヤシの木をピンクに塗って目立つようにしている店で、ヤシの木なんでヤシの実が付いている。落ちてくるから真下に車止めるなという意味です。

メキシコでは水道水は飲めない。飲料水は、都会はデリバリーサービスが多いが、村ではみんな大きなボトルを持って買いに行く。来た当時はデリバリーだろうが何だろうが面倒だったが、もう慣れた。どっちかというと、うどんとか大量の水で茹でたいときにケチりたくなるのがたまにきず。

 

  夜、猫が遊んでいた虫。

体の側面に発光する部分があって、目が光ってるように見える。コードギアスみたいでかっこいい。調べたら、ヒカリコメツキというらしい。確かに、猫に追いかけられてコメツキムシみたいに跳ねていた。


苦汁と塩

2021年05月17日 | ユカタン諸々

こないだから干している海水の続き。

 干し始めて1週間くらい。

漂白剤の5リットル入りボトル(空)を海に持っていって、ちょっと深いとこ(あたしはサメが怖い人間なので、ほんのちょっとw。水深2メートルくらい)で汲んだ。漂白剤は、何用洗剤とかじゃなくて、原始的?というか昔はよく売ってた、もろ漂白剤。濃度によって消毒具合を変えられるので、プリミティブな社会では重宝する。上水タンクに入れたり、井戸の蚊(ぼうふら)を殺したり、フツーに薄めて殺菌したり、いざという時には飲み水にもできる。

友達が買ってきてくれたケーキのプラ箱(直径25センチくらい)に汲んできた海水を入れて日向に放っておいたら、毎日深さ1センチ分くらいの水が蒸発してってるようだった。

以前、豆腐を作ろうと思ったとき、マヤ時代からの塩田(こんなとこ)まで半分蒸発した塩水を汲みに行こうかと思ったんだが、多少なりとも観光地化してて汚い足で入る人もいるのでやめた。そのときは塩化マグネシウムの粉末を健康オタク御用達店で買ったんだが、まあコロナで暇だし、どのくらいかかるのかなー?と始めてみたのである。

 2週間後くらい。

底に結晶がたまってきたので、液体と分けてみた。この段階の液体はもう苦いが、まだ塩辛さが残っている。

 底の結晶だけ集めてみた。

天然塩である。甘くて美味しい。

 20日弱で苦汁完成。

成分分析とかできないので、舐めてみて塩辛さを感じなくなったところでやめ。もちろんめちゃくちゃ苦い。そして、皿の左側の塩が最初に分離した塩で、右側のがその後で結晶した塩。塩化ナトリウム以外のミネラルがどんどん結晶し始めた塩ってことで、これの甘さ・美味しさは半端ない。

手作り豆腐についての記事には、豆乳の温度や濃さ以外に苦汁の量にも注意しろとか書いてある。原液なら何cc とかいう話なんだが、ふと、このできた苦汁は「原液」なんだろな?と疑問に思った。調べると、原液を謳ってる商品では塩化マグネシウム含有量が100cc 中何ミリグラムとか書いてある。で、海水中に含まれるミネラルがどうとか、それらの溶解度がどうとか調べて計算したら、何となく似たような数字になったので、晴れて原液と認定した(勝手に)。

おまけに天日作り。どっかで売れないか?(爆)

ともかくこの天日苦汁で豆腐を作ってみたいが、メリダに行って(しょぼいのしか売ってないが)大豆を買ってこなきゃならない。乞うご期待。

で、それより感動ものなのが副産物である塩で、これはもう、うちの村のビーチが汚染でもされない限り、どこかで塩を買うことは二度とないと断言できる。

おまけに、苦汁製造の途中までで蒸発させるのをやめた液体(塩分ミネラル分が多い)も確保して、こいつは干物の漬け汁にする。ああ、海って偉大だよ。

 

 最近のビーチ。

水平線に夕日が沈むだけでなく、朝日も海から出る。


狩猟採集民族

2021年05月06日 | ユカタン諸々

相変わらずうちの周りだけでちょろちょろ。自然が豊かで退屈しない。

 野生のトマト

道端に生えていた。少し酸っぱめはよしとして、小さくても皮は同じなもんだから皮の存在感が強くてあんまり美味しくない。

  ココナツを収穫する人

斜向かいの木ボーボーの土地に植わってるココを採っていいかと聞かれたので、人んちだから何とも…と答えたら、採っていた。

 そして共犯にされた。

 

本格的に冬が去ったので、隣村の桟橋まで行ってみた。もう結構暑くなってたが、4月上旬まではたまに寒くない寒波ってのが来る(意味、聞かないでください)。この辺の人曰く、それを過ぎないとあまり魚が獲れない。

 イワシの子供

ここは春の前に盛夏がくるので5月が一番暑くて「うだる、死ぬ、活動止まる」暑さで、それを過ぎると「フツーに暑い」。そうなると、こんなメダカみたいなのじゃなくて普通のイワシになる。

 桟橋で釣りをする人々

慣れた人たちは早朝に網でイワシをとってそれを餌にアジとかなんかよくわからない全長30センチくらいの魚を釣る。

 我々は、まずイワシ。

  干して煮干しにした。

うどんを打って食べたら美味しかったが、煮干しで出汁をとるのなんてもう何十年ぶりかで、ちょっと出し過ぎた。もっとさらっと沸騰したら出すくらいでよさそう。

 うちの村のビーチはこんな感じ。

最近は海岸侵食が結構な問題で、対策で木製の砂止堤があちこちに作られている。そのおかげだと思うが、波がないときに行くとイワシもいることを発見した。が、桟橋から網を投げるのと勝手が違って全然獲れない。ただいま対策を検討中。

 

 

うちの敷地内にある豆の一種。ユカタン文化&歴史を語り合うグループで、これと同じ種類の豆の白いやつが美味しいと話していたので、うちのはどピンクだが収穫してみた。どピンクの部分が果肉で、黒いのが種。

本当に食べられるんだろうかと調べたら、マニラタマリンドというらしい。が、ここのタマリンドとはあまり関係がないらしい。とはいえ、メキシコ人が梅干しを試食して「タマリンドに似てる」と言ったとかで、梅干しにする梅に困って毎年いろいろ試している者としてはまず梅干しを試したい。

 塩ふったらすぐ酢が出てきた。

梅酢ならぬ、豆酢。さて、どうなることやら。

 

 テングサ

かの有名なカンクンがある隣の州では、サルガソという海藻の漂着が結構な問題になっている。使いようがない(基本的に日本や韓国以外では海藻なんか厄介者以外の何物でもない)しビーチが汚く見えるというので嫌われている。

うちの村のあたりはそれほどひどくはなくて、かつ冬を過ぎればほとんどいなくなる。で、こないだ見かけない海藻が漂ってるなと思ってよく見たら、おそらくテングサ。というわけで干し始めた。うまくすれば一週間後には寒天入りのあんみつ!

(9月10日追記)

上に書いたことは全くの間違いで、この時干しているのはトサカノリ、かつテングサ探しは苦難の道であった。

 

 海水も干してみている

これはにがりを作るため。黒い印が、一週間前の水位で、あと2日くらいでかんせいするんじゃなかろうか。メリダの健康オタクショップまで行って塩化マグネシウムの粉末を買ったりしたんだが、まさかこんなに早く蒸発するとは思わなかった。成分分析ができないので、味見して苦汁だと思った時点で干すのをやめる。

 

おまけ。

 うちの敷地内でインスタってるお姉ちゃんたち

セマナサンタの休み中にはあちこち人が溢れ、おまけに最近はどんどん開発が進んで別荘も増えたんで、我が家の緑化計画が役に立ったらしい。「この辺なら建造物が何も映らない」とか言いながら入ってきて、ポーズを取り合っていた。